U-21韓国戦


U-21韓国 vs U-21日本

GK:1 松井謙弥
DF:2 千葉和彦、7 田中輝和→17 前田俊介(後半26分)、5 柳楽智和、3 細貝萌
MF:19 渡邊圭二→20 乾貴士(後半33分)、10 本田拓也、13 谷口博之(cap)、8 水野晃樹、12 上田康太
FW:11 カレン・ロバート→15 津田知宏(後半42分)


前半終了。


最悪の前半だった。韓国に決定力さえあれば大差が付いていてもおかしくない。山本監督の時もこれほど酷い試合はなかった。U-19の方が遥かにマシ。BSがなくてNHKの再放送で見ようとしている人は、前半の視聴を止めておいた方が時間を有効に使えそう。

     カレン
 渡辺  本田  水野
    谷口 細貝
上田 千葉 柳楽 田中  
      松井


これだけ選手の適性を無視した起用法も珍しいよ*1。SBもファーストトップもトップ下いないのに、4-2-3-1(3センター気味)を選択する意図が分からない。3センターにしても守備的過ぎる。水野をWBより守備負担の少ないSHで使いたいからだろうか。それにしても犠牲が大きすぎる。完全なテストモード。


カレンは典型的なスピード型セカンド・トップで、空中戦とポストワークを苦手としており、彼を1トップに据えて平山がいるかのような放り込みサッカーを志向するのは無理がありすぎる。これなら電柱サッカーの方がまだマシ。ハイボールに勝てる電柱FWがいないなら、その面子にあったサッカーを志向して欲しかった。


今シーズン序盤のジュビロ低迷の最大の要因となったカレンの1トップ起用を、よりによって日韓戦で復活させるとは、反町監督Jリーグを見ていないんだろうか。機能するはずがない。


しかも1トップをフォローすべきトップ下気味のポジションには、J1で試合に出ている選手*2がいるのに連れて行かず、大学生の守備的MF本田をコンバート*3。ピッチ上にはカレン以外に攻撃的な選手が水野しかいない。案の定、カレンが前線で孤立。これなら本職の乾先発の方がまだ良かった。


左サイドは、上田より攻撃性能のない渡辺がSHで、より守備力のない*4上田がSB。バランスがおかしすぎる。ジュビロボランチにはファブリシオ、菊地がいるから左SB起用されているわけで*5、展開役ボランチで使われている時の方が機能しているのは明白。梶山、枝村、青山敏らがいるならボランチで使われないのは分かるけど、今シーズン一度もJリーグに出ていない細貝に押し退けられる理由が分からない。


CB、ボランチ、トップ下のセンターラインに、まともなビルドアップの出来る選手が一人もいないのも問題。これではまともな攻撃構築は無理。J1で実績のある谷口も、川崎での中村憲剛のような展開力を補完して入れるレジスタタイプの選手と組んでこそ活きるわけで、細貝のような守備タイプとのダブルボランチは補完性が低く、チームバランスが悪くなってしまう。ボランチがここまでゲームを作れないと厳しい。チーム全体にビルドアップの意識もなくて、すぐに前に放り込んでしまう。ハイボールを競ってくれる長身FWもいないのに。これが反町監督のやりたいサッカーなんだろうか。


マイボールにしてもプレッシャーに負けて、パスミス多発でカウンターを喰らう為、リスクを恐れて単純にロングボールを蹴る攻撃構成が増えてくる。そして相手ボールに。一対一でも突破できないし、何とか繋ごうとしても、まずは消極的にバックパス、そしてバックラインでゆっくりボールを回して各駅停車。プレッシャーの薄いSBから展開しようとしても、前の選手の動き出しが殆どないからパスの出し所がなく、CBに横パスで戻して、前からプレッシャーをかけられて、CBが不正確なロングボールを蹴って簡単に相手ボールにしてしまう。そして守勢に回り、ラインはズルズル下がる。その繰り返し。


放り込みサッカーをやっているのに、1トップは空中戦が超苦手で、ポストプレーも得意でないカレンという矛盾。彼はポストワークを得意とするファーストトップの周りを衛星的に動いたり、2ラインの間で前を向いてこそ活きる典型的なセカンドトップ。後方からハイボールを放り込む攻撃構築では機能するはずがない。1トップのカレンが前線で全く起点になれなかったため、全体を押し上げられなかった。これなら長身FWに放り込んだ方がまだ潔かったよ。


CBに青山、水本の2枚看板を欠く守備も不安定。ボールの奪われ方が悪すぎるし、被カウンターの際に、後ろにカバーがいない状況でも一発でボールを奪いに行こうとするから、抜かれると即決定的ピンチを招いてしまっている。本職でない上田、Jリーグで試合に出ていない田中の両SBの守備も不安定。全体が間延びして、ポジショニングもおかしいから、プレスも機能不全。個々の1対1の勝負にも負けている。韓国の決定力不足に助けられているだけで、大差がついていてもおかしくない。


このまま無残に負けたら何が残るんだろう。ベストメンバーではないというエクスキューズもあるんだろうけど、前回とのスタメン総入れ替えも、家長、枝村、小林といった離脱者の代役を呼ばないのも、それを選択したのは監督のわけだから言い訳は出来ない。とにかくシステムと選手配置がおかしすぎる。カレンの1トップは即刻止めて欲しい。韓国に来てまで実験に付き合わされる選手達が気の毒だ。


試合終了。

*1:これがポリバレントを求める弊害だろうか。意味を履き違えているような。カレンが1トップで機能しないのも、ポリバレント性がないからと駄目出しされるんですかね。

*2:入れ替えとなった中国戦スタメン以外にも、今節に先発出場してゴールを決めた船谷と中山、他にもトップ下適正のある寺田、コウロキ、狩野なんかがいる。

*3:大人の事情で大学生を使わなくてはならない縛りがあるなら、せめて本職の選手を使って欲しい。これならWYで駄目だった早稲田の兵藤の方がまだ良い。

*4:上田のSBはジュビロでも守備の穴になっていて、今節も大久保のマークミスでに簡単にゴールを許している。サ

*5:左SBには服部もいるけれど、アジウソンは若手育成を主眼に置いているから上田が優先される。ジュビロでも機能していないけど、育成の為だから仕方ない。

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サウジ戦メンバー

▽GK 川口能活(磐田)、山岸範宏(浦和)、西川周作(大分)

▽DF 三都主アレサンドロ(浦和)、加地亮(G大阪)、田中マルクス闘莉王(浦和)、駒野友一(広島)、伊野波雅彦(東京)、青山直晃(清水)

▽MF 羽生直剛(千葉)、中村憲剛(川崎F)、鈴木啓太(浦和)、野沢拓也(鹿島)、阿部勇樹(千葉)、田中隼磨(横浜)、今野泰幸(東京)、山岸智(千葉)、長谷部誠(浦和)、本田圭佑(名古屋)

▽FW 巻誠一郎(千葉)、我那覇和樹(川崎F)、高松大樹(大分)、前田遼一(磐田)、佐藤寿人(広島)


播戸、佐藤勇、水本が負傷で召集外。という事は、リーグ戦不調の千葉からは最多の6人だったということか。そんな教え子の千葉勢優先ということを除けば*1、概ね妥当なメンバー選考だとは思う。GK以外でベテランといえるのはサントスくらい。これまでと同じように、先を見据えたメンバー選考ですね。

  • GK

いつものメンツ。

  • DF

山口、負傷の水本が外れて、U-21から伊野波、青山が招集。Jリーグでも活躍している青山はともかく、伊野波のパフォーマンスはそれほどでもないので不思議。CB出場し4失点した川崎戦での守備はザルだった。複数ポジションをこなすユーテリティ性と将来性重視枠だろうか。

  • MF

病気の遠藤、腰痛の佐藤勇、二川が外れて、播戸、本田と野沢が初召集。本田は左アウトサイド、野沢はシャドーでの起用だろうか。2人とも運動量よりテクニックに特長のあるタイプ。選考に置いて、これまでより技術面を重視した印象を受ける。


マリノスでレギュラーを外された隼磨も変わらず召集。調子を落とした何名かがメンバー外になっているのに、それほど好調ではない隼磨が召集され続けるという事は、どうやらオシムの信頼は厚いようだ。マリノスならメンバー外の山瀬の方が調子が良いとは思うけど、ポジション・役割の被りそうな野沢と羽生、山岸との比較で外れた模様。マリノスで孤軍奮闘中の山瀬が劣ってるとは思わないけどね。それよりも、Jリーグで一番活躍しているサイドアタッカーをMFに選んで欲しいんだが。

  • FW

怪我の播戸が外れて、前田、高松が初招集。不調の巻の代役候補と思っていたので、巻が選ばれているのに、高松と前田が同時に2人も選ばれるとは意外。巻は今の調子で選ばれるようだから、今後も外される可能性は少ないでしょうね。


メンバーを見ても、やはり日本は他の同格の代表チームと比べてFWの質が低い。ベテランの久保や西澤が衰えたのもあって、今は群雄割拠、というか良くも悪くも五十歩百歩。Jリーグや代表の実績では現メンバーより遥かに上の高原が、ブンデスリーグであれだけ苦労している事こそ日本人FWのレベルを証左している。まあ、最近は割と好調だけどね。


それはともかく、FWの選考基準には好感が持てる。この5人は、怪我の播戸を除いた日本人得点ランク上位の5名。巻の12ゴールに高松と前田が並んだら*2、即召集する。勿論、それ以外の基準もあるんだろうけど、FWはゴール数重視の基準は明快で分かりやすいし、実効性も伴なっている。FWの価値基準はやはりゴール数。現時点でのスタメンはゴール数の多い我那覇と寿人が妥当でしょう。


他の外れた候補FWも、ゴール数で上回ればチャンスは十分ある。門戸は開かれている。レッズで控えの田中達也も引き続きメンバー外だけど、レギュラーになってゴールを量産すれば復帰するでしょう。今回選ばれていないスピード系セカンドトップ*3では、大分の松橋、名古屋の杉本が有望株で、台頭が望まれる。大久保も依然ポテンシャルは高い。


いまだに柳沢、久保、玉田といった知名度の高い前体制の代表常連FWの待望論もあるようだけど、「現代表よりゴール数が明らかに少ない」という反論で一蹴できると思う*4。3人ともコンディション不良なのかゴール以外でも活躍していないし、落選しているのは妥当。知名度で代表が選ばれると思っている人は、実際の試合をよく見た方が良い。


では初招集選手についての雑感。

*1:立ち上げ時期に自身のフィロソフィーを理解する教え子を優先する方針に一定の理解は出来るし、阿部、羽生、負傷の水本なんかの召集は適正だと思うけどね。

*2:高松はPKも含めての数字だけど、そこはあまり関係ないようだ。

*3:寿人はスピード系というより、嗅覚と動き出し勝負のボックス系ストライカーだからね。

*4:そもそもゴール決めずにコンディション不良でも序列重視で選ばれていた前体性のFWの招集基準がおかしかった。それで「急にボール来たから」でしょ。

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サウジ戦

U-19日本 2-1 U-19サウジアラビア
日本 7分 河原和寿、89分 青木孝太
サウジ 81分 アル・ビシ(PK)

     森島康仁 河原和寿


梅崎司     柏木陽介    田中亜土夢
          青山隼
堤俊輔              内田篤人
     福元洋平  槙野智章
          林彰洋

河原和寿青木孝太
田中亜土夢山本真希
柏木陽介森重真人


現状でのベストメンバーですな。本番に入っても色々と模索していたようだけど、とうとう左SBは見つからなかった。

  • 試合雑感


前半はサウジが柏木にマンマークをつけてくるという、普段とは違う受身の布陣。日本は試合開始から気持ちが乗っていて、かなりアグレッシブなサッカーをやれていた。梅崎のドリブル、田中のフリーラン、内田の攻撃参加とサイドからの仕掛けがアグレッシブで、柏木、河原、森島が絡んだ攻撃はよく機能した。


そして内田の突破から得たセットプレー、柏木のFKを河原がニアで合わせて幸先よく先制。その後もサイドを中心にリズムよく攻める。同格以上の相手との試合の中では、これまで一番良い出だしだったと思う。


ただその後が良くない。このチームの悪いところは、劣勢になって押し込まれると、それを挽回できない所。前からのプレスが効いて、高い位置でボールを奪って自分達のリズムで試合を進めている時は良くても、同格以上の相手に守勢にまわると、とにかくリトリートして低い位置に守備ブロックを作ろうとしても、ゾーン守備の完成度の低さもあって、それが殆ど機能しない。コンパクトを維持できず、DFラインとボランチの間にスペースが出来てしまう。ただ守備陣の個力で跳ね返すだけ。


そしてチームに丁寧なビルドアップの意識がない。押し込まれた状況でマイボールにしても、自陣深くの低い位置から相手陣内までボールを運ぶ術がないから、無闇やたらに長いボールを蹴ってしまう。そして、高確率でセカンドボールを拾われ、せっかくのマイボールを失ってまた守勢にまわる。ここ数年の年代別代表でおなじみの放り込みサッカー・シンドロームですな。


この試合でも、徐々にサウジの個人技に押され気味となり、低い位置に押し込まれてしまう。楔に対してトップの森島と河原がボールを納められなくなってきて、ラインを押し上げる時間が作れない。中盤もサウジのプレッシャーの前にパスを繋げず、結局いつものようにロングボール主体の攻撃構築を余儀なくされる。そしてセカンドボールを拾われて二次三次攻撃を受ける。


後半はサウジが受身の姿勢を捨て、攻勢に出た事もあり、さらに押し込まれる展開。悪癖である放り込み主体の攻撃構築が増えてきて、攻撃は散発的なものになってしまう。DFラインとボランチの間が空き、そこを利用されてしまう。青木の投入で多少盛り返すも、数少ないチャンス物にできず。守備陣の粘りや、バーに救われたりと、何とか凌ぐも、どことなく悪いムードに。


とうとう、セットプレーから森島がPKを与えてしまい、それを決められて同点に追いつかれる。その後も全体がひきすぎて間延びし、セカンドボールを拾えず、空いたバイタルエリアからフリーでミドルを打たれるなどピンチの連続。福本のシュートブロックや、林の好セーブで何とか凌ぐ展開。こちらも負けじと決定機を作るが決め切れない。


そして試合終了間際、柏木のシュートのこぼれに反応した青木が、急にボールが来ても慌てず、落ち着いたステップワークから相手の股を抜いた素晴らしいシュート、GKは一歩も動けずそのままゴールに吸い込まれた。歓喜の勝ち越しの決勝ゴール。素晴らしい。その後は梅崎のキープなどで時間を稼ぎ、そのまま逃げ切って勝利、見事にU-20ワールドカップ*1出場権を手に入れた。

*1:この呼び名はしっくりこないので、ここでは今後もWYと表記するかもしれない。

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U-21日本代表

▽GK 松井謙弥(磐田)、佐藤昭大(広島)

▽DF 千葉和彦(新潟)、田中輝和(大宮)、鎌田次郎流経大)、柳楽智和(福岡)、小林祐三(柏)、細貝萌(浦和)

▽MF 渡辺圭二(名古屋)、本田拓也(法大)、谷口博之(川崎)、水野晃樹(千葉)上田康太(磐田)、家長昭博(G大阪)、枝村匠馬(清水)、乾貴士(滋賀・野洲高)

▽FW カレン・ロバート(磐田)、萬代宏樹(仙台)、津田知宏(名古屋)、前田俊介(広島)


11月14日の日中韓サッカーU-21代表交流戦、対U-21韓国代表の召集メンバー。反町構想での控え主体といった印象かな。


昇格争い中の柏、残留争い中の福岡、優勝争い中のガンバや川崎からは召集。前回の中国戦でレギュラーだった選手は招集外。反町監督は幅広く人材を試したいらしいけど、フル代表の西川、青山直は日本代表を優先、他の選手もA代表に初招集された可能性もある。

      萬代
   カレン 枝村
家長        水野
   上田  谷口
  千葉 小林 柳楽
      松井


布陣かなり予想しづらいけど、1トップ2シャドーの3-4-2-1継続なら、こんな感じかしら。


谷口、上田、枝村とJ1レギュラーのボランチが3人居るから、中国戦のように枝村をシャドーの位置に上げて起用するかもしれない。家長、水野の両サイドだと、攻撃力は強力な反面、守備に不安大の組み合わせ。中盤はかなり良いけど、キープ力と展開力を兼ね備える梶山と本田を欠くので、攻撃構築には苦労するかもしれない。


層の厚い中盤はともかく、守備陣はかなりの格落ち感。FWにも反町監督の好きな1トップ向きの電柱CFがいない*1。萬代って背はでかいけど、純粋なポストタイプではないからね。前線でボールが収まりそうにないし、この守備陣だと押し込まれるだろうから、かなり苦戦するだろうね。せっかくの中盤が守備だけに追われるかもしれない。


せっかくアウェーの日韓戦に、控え主体で挑むのは少々勿体無い。恐らく韓国は前回の中国より強いだろうから、かなり良い強化になると思うんだが。フル代表と被っているから仕方ないけど、西川、青山といった守備の軸は呼んで欲しかった。日程が悪い。韓国のメンバー構成にもよるけど、このメンバーでは苦戦必至。どうせベストで行かないなら、Jリーグでの平等性を重視して各チーム一人でも良かったと思う*2


  • 乾の抜擢

*1:アウェーの中国戦はスピード型セカンドトップの苔口が1トップだったけど、似たタイプのカレン1トップだけはやらないでくれよ。それでジュビロはシーズン序盤を棒に振ったんだから。

*2:この数日後に対戦する2チームでいうなら、ジュビロから3人も海外拉致で、FC東京から0人って割に合わない。ジンギュも拉致られるかもしれないのに。勝手な都合だけど。

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