大阪ダービー

名波が移籍したセレッソ、そして注目の大阪ダービーの雑感。

◇G大阪 3−1 C大阪
[得点]39分:播戸竜二、44分:藤本康太(C)、77分:播戸竜二、83分:遠藤保仁

ガンバ大阪
藤ヶ谷陽介シジクレイ宮本恒靖入江徹寺田紳一(55分加地亮)、明神智和橋本英郎二川孝広(79分フェルナンジーニョ)、前田雅文(55分遠藤保仁)、播戸竜二マグノアウベス

セレッソ大阪
吉田宗弘前田和哉ブルーノ・クアドロス■、柳本啓成山田卓也■、宮本卓也藤本康太古橋達弥(74分徳重隆明)、森島寛晃(46分名波浩)、西澤明訓大久保嘉人(81分柿本倫明

この試合もチームとしての攻撃構築力に大きな差があった。まあこの2チームの差はそれだけでない、大きなものがあるのだけど。


ガンバが序盤から難度も決定機を作り出し、セレッソは水際で食い止める。解説はセレッソの守備が素晴らしいみたいに褒めてたけど、水際で食い止めた事より、決定的場面にまで何度も持っていかれること自体が問題だと感じた。


ガンバは基本技術が高く、後方からの、ビルドアップも、前線の楔の落しも正確。基本的に明神と橋本のダブルボランチは守備的タイプ同士の組み合わせだけど、特筆する展開力や攻撃力はなくても、2人とも蹴る止めるの基本技術はしっかりしている。そこにトップ下の二川が広い視野からの正確なパスで彩りを加える。チームの軸である遠藤の温存も、致命的にはなっていない。


後半に温存されていた遠藤と加地が投入されると攻撃はさらにスムーズになり、二川が使われるシーンも目立ってくる。今日の二川は、遠征疲れもあって特筆する出来ではなかったけど、正確なパスで攻撃構築したり、前線へ飛び出してゴールを狙うなど、出し手としても受け手としても良かった。日本人でこれくらいテクとパスセンスがあると、出し手としてしか機能しないことが多いし、自分が主役にならないと消える選手が多いので、ある意味希少な存在。代表キャップ0なのが意外なくらい。これで個人打開も出来れば代表定着していただろうから、そこが課題かな。


それにしても今の播戸の勢いは凄い。二川の鋭いパスに反応し、DFを切り返しで交わした1点目、二川のシュートの跳ね返りを予測したかのような2点目、持ち前の得点感覚を如何なく発揮している。まあもっと決められるシーンもあったけど。代表FW陣とも遜色ないでしょう。90分あたりの平均得点ではトップでないかな。現代表FW4人も好選手なので難しいかもしれないけど。スーパーサブとしても面白いかも。

宮本と山田のダブルボランチは組み合わせとしてどうだろう。どちらも良い所はあるけど、攻撃を組み立てる能力が殆どない。セレッソはDFの展開力も水準以下なので、後方からのビルドアップの段階で安易なミスを乱発し、決定機を作られてしまう。これは個々の守備能力や守備組織、それ以前の問題で、相手に悪い状態でボールカットされすぎると、即失点の危機。これでは攻撃も巧くいかない。J屈指のポストプレーヤーである西澤にも楔のパスが入らない。流れの中で可能性を感じるのは大久保の個人突破からのみ。

後半に名波が入った後はパス回しが若干改善された。特別凄い展開やスルーパスを見せなくても、彼の気の利いたダイレクトパスや、配給や動き出しのコーチングだけでも、人とボールの動きがスムーズになる。このチームに与える影響は果てしなく大きい。今のジュビロに最も必要なのはこういうものでないから、まあ移籍も本人にとって良かったんだと前向きになろう。優秀なアタッカーは多くいても、中盤に攻撃構築能力に優れたパサーのいないセレッソなら、なにも名波でなくても、上田でも船谷でも役に立ったのかもしれない。なんせ河村が異質に見えるくらいだから。

でもその名波に良い状態でボールが入る事が少ないし、ボール保持時の周囲の動き出しも足りない。それに名波をチェックするのは橋本と明神という、J屈指の守備的MF。全盛期の名波なら、この状況でも何とかしただろうけど、今それを求めるのも酷で、周囲も名波に活かされるだけでなく、もっと名波をフォローしなくてはならない。

それは選手だけでなく、監督も名波のやりやすいように選手配置する必要がある。セレッソの中で、名波のパスと相性の良い選手は、動き出しの早い森島、スピードのある大久保だろう。古橋にしても、守備負担の多い3バックのサイドより前線に配置した方が活きると思う。その森島と名波を入れ替えにして、同時に使わない采配も疑問だし、古橋を徳重、大久保を柿本に代えてしまう采配も疑問。名波が監督やった方が良い気がするのは気のせいか。まあ冗談。でも西沢と柿本の長身2トップは組み合わせとして良くないよ。プレーエリアも役割も被る。


セレッソは前線の動き出しのなさと、ビルドアップの拙さで、後半もミスの連発し、そこからのカウンターでピンチの連続。最後は名波にまで、今日のセレッソ・クオリティーが乗り移ってしまったのか、軽いボールタッチをシジクレイに奪われて、そこからのカウンターで失点を招いていしまう。


この場面、シジクレイがボール奪取した後の、ガンバの前線の動き出しが素晴らしい。シジクレイのロングボールがマグノに入った後も、中へ2人も走りこんでいる。だからマグノのシュートが弾かれた後、こぼれ球に詰めて得点する事が出来る。パス出し手だけでなく、受け手の動き出しの差も、ガンバとセレッソとでは大きく感じられた。


とにかくセレッソは攻守に影響大のボランチの配給を改善する必要がある。名波が最も活きるボランチの位置で使うのは守備面の問題で難しいのなら、メンタル的に問題ない時であれば、そこそこボールの捌ける河村の復帰が待望視される。名波が加入後はセレッソの試合を全て見てるけど、名波ドーピングの注入された河村はかなり効いている。でもメンタル的に波がありすぎる選手なので全幅の信頼は置けない。そういえばボランチの下村はどうして試合に出ていないんだろう。ファビーニョと組んだ昨年かなり良かったのだけどね。

とにかく名波の加入したセレッソには頑張って残留してもらいたいです。好きな選手も多いし。