06-07シーズン 組み合わせ雑感

UEFAチャンピオンズリーグについて、開幕する前に雑感を。


グループA
チェルシーイングランド
FCバルセロナ(スペイン)
ヴェルダー・ブレーメン(ドイツ)
レプルキ・ソフィア(ブルガリア


死のグループ」と表現したいところだけど、やはりバルサチェルシーの2クラブが抜けていると思う*1。ただ最激戦区には変わりない。


チェルシーはプレミアではイマイチ調子が上がっていない。ダフ、グジョンセンギャラスといった功労者達を切って*2バラックシェフチェンコ、コールといったビッグネームを補強。昨シーズンまでの4-3-3から、ウイング排除の4-4-2にシステム変更して戦ってるけど、まだフィットしていない。J・コールの負傷も痛い。でも戦力的にここで崩れるのは想像しづらい。


バルサは戦術コーチであったテンカーテの離脱がどう響くかだけど、継続路線のうえ戦力そのものもアップしているので2位以内には入るでしょう。チェルシーとの直接対決は楽しみ。リーガ開幕戦で決勝ゴールしたグジョンセンの恩返しに期待ですな。テュラムザンブロッタを補強も大きい。昨シーズン唯一の穴だったオレゲールの右SBのポジションはこれで大丈夫。イニエスタ、メッシに続くカンテラからの新戦力でいえば、ドス・サントスがブレイクするかもしれない。


ブラジル有数のクラッキであるジエゴが再生*3したブレーメンは、個人的に今シーズンのCLのダークホース候補だったのだけど、流石にこのグループだと厳しいよ。開幕からブンデスでの3試合を見ても、相変わらず波が激しすぎる。キーマンのジエゴも波が激しいし、執拗なマークを受けると消えがちなのがネック*4。嵌れば直接対決で2強を脅かす事もあるだろうけど、下手するとソフィアに取りこぼす事もありそう。まあ、愚直なまでのハイライン攻撃サッカーで魅せてもらいたいですな。成長途上の長身CBメルテザッカーの加入は小さくない。でもハイラインを維持するなら、アトレチコペレアみたいな快速タイプの方が必須と思うけど。


グループB
スパルタク・モスクワ(ロシア)
スポルティング・リスボンポルトガル
インテル・ミラノ(イタリア)
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)

インテルバイエルンが2強。バイエルンバラック放出の影響、インテルは大量補強ゆえのネタ・クオリティー発動の懸念と、不安要素はあれど、ここは順当に突破してくるでしょうね。

インテルは毎度の事ながら選手個々の層と質なら優勝候補筆頭ですよ。ただし伝統的にそれがチーム力に結びつかない。今オフは、中盤はヴェーロンとピサロといった司令塔タイプを放出し、ヴィエラとダクールでより守備を意識した補強。FWでは快速マルティンスを放出して、クレスポズラタンと大型化。サイドはゼ・マリア、セーザル、キリ・ゴンザレスといったSHを放出して、マクスウェル、グロッソマイコンとSBを補強。相変わらず補強に一貫性はないんだが、新加入したタレントの質は文句ない。嵌れば強烈。でもどこかでインテル・クオリティーが発動するだろうね。大量補強の煽りを受けて、アドリアーノが控えにされそうだから、そのうち内紛が起きそう。


バイエルンはなんといってもバラックの穴を埋められるのか、フリー移籍で出て行かれたので、補強にも苦労していて、何とかバルサからファンボメルを獲得。アグレッシブな守備や前線への飛び出しという点では補完できるかもしれないけど、攻撃構築力ではバラックに及ばない。バイエルンは他にゲームメイク力やパスセンスのある選手もいないので、主体的な攻撃にかなり苦労しそう。FWのポドルスキ、CBのファン・ブイテンの加入は大きい。マガト仕込みの鬼プレス→ショートカウンターは計算できるだろうから、如何にポゼッションを絡めた主体性を持った崩しができるかでしょうね。そこは怪我に泣かされまくってるダイスラー復活に期待したい。

リスボンも良いタレントはいるけど、スタイル的に正攻法なので、ちょっと厳しいかな。WYアルゼンチン大会で、サビオラダレッサンドロに並び称された天才肌のトップ下ロマリーニョの復活に期待。カルロス・マルチンス、モウチーニョ、ナニらの若手ポルトガル人も評判良いしね。フェリペも注目しているでしょう。

モスクワはよく知らんけど、タレント的に優秀な選手がいるし、ホームの雪国パワーが強烈なので侮れない。


グループC
リバプールイングランド
ボルドー(フランス)
ガラタサライ(トルコ)
PSVアイントホーフェン(オランダ)

リバプール優位。ただ3チームは曲者揃い。

リバポは地味目に的確な補強をしていて、最後に目玉としてカイトを獲得。決定力不足に苦しめられたFWに、快速ベラミーと万能型カイト、そして電柱クラウチの成長もあるし、それぞれの相性も良さそうだから、昨シーズンよりは期待出来そう。ヒーピアもそろそろガタがきそうだから、アッゲル、新加入バレッタら若手CBの成長が待望される。ただプレミアでは調子悪いし、ラファの方向性がイマイチ一貫性を欠いているのが不安点。右サイドにしても、ルイス・ガルシア、ジェラード、ペナントとはっきりしない。でも全体的に、どことなく小粒感があるんだよなあ。

ヒディングのいないPSVは、エースFWのフェネホール、サイドアタッカービーズリーが移籍したし、戦力的な観点でちょっと厳しいかな。比肩する代役も獲得できなかった。WCで活躍した欧州初上陸のサルシドとメンデス、復活を夢見るクライファートも未知数。アフェライ、アイサティの逸材がどこまで伸びるのかは注目。

ガラタサライはホームで強いのは歴史しめきりが証明している。稲本も中盤の底でレギュラーみたいだし、頑張って欲しいね。トルコといえば、今年が創立百周年記念で大量補強していたライバルクラブは予選敗退。監督がエースのアネルカと喧嘩して干したのが裏目*5。各国代表が揃った戦力はかなり充実していたのにね。アレックスとか強豪クラブでスタメンはれる実力者。でもCLがないのは国内リーグでは有利かも。CLで俊輔vsジーコ見たかったのに。仕方ないから、俊輔vs稲本に期待かな。

ボルドーリーグアン最小失点の堅守でCL圏内を獲得したけれど、攻撃面に課題が多い。カンフル剤としてアシスト源としてミクーを獲得。その彼のためにトップ下のポジションを置いて、ダブルボランチ型の4-4-2から4-2-3-1に変更。ただし、まだチームの攻撃スタイルが1トップに適応できていない。ミクーの選択肢を増やす為には2トップにした方が良いんだろうけど、そうなるとフォベールなどがいる強みのサイドを削らないといけない。その辺の兼ね合いで苦労しそうな印象かな。昨シーズンは怪我で離脱中のメガネッツォが中盤のそこでゲームコントロールしていたから、ミクーの加入でバランスがどうなるかも未知数。ただ堅守に定評はあるので、そこそこ戦えるでしょう。


グループD
シャフタール・ドネツクウクライナ
ASローマ(イタリア)
オリンピアコスギリシャ
バレンシア(スペイン)


戦力的にはローマとバレンシアなんだろうけど、残りの2チームも選手個々は粒揃いでけして侮れない。

バレンシアは予定通りの補強に成功。ただアイマールを放出した影響で、前線でのタメや変化、攻撃構成力に欠ける恐れがある。ビセンテホアキンの両サイドは、嵌ると突破最強の反面、どちらも一本調子なタイプだから、サイドを消されると手詰まりになるかもしれない。アイマール放出でトップ下のポジション無くして、CHはバラハ、エドゥ、アルベルダか。バラハが衰えてるし、補強すべきはボールの動かせるCHと思ってたんだけど*6、そこは現状維持。ミスタ、アイマールルフェテ、アウレリオと功労者達を切ってどうなるか。

攻撃の軸としてC・ロペス→アイマールと、スペイン・アルゼンチンMIXがバレンシアの強みだったけど、今シーズンは純スペイン産のサイド攻撃主体4-4-2で挑む中、去就が不安視されたアジャラの残留は大きいね。従来の1トップから2トップに移行したFW陣、エースのビジャは計算できるから、新加入組みのモリエンテスの復調、タバーノの活躍のどちらかは必須。モリエンテスはスペイン風サイド攻撃主体なら期待できるけど、あれだけイタリア人アタッカー補強に失敗して、国外で実績のないタバーノに大金かけたフロントは勇気あるね。シルバ、ガビランの若手サイドアタッカーも、ビセンテホアキンを凌駕するポテンシャルがあるし、サイド攻撃が嵌れば躍進の可能性も。

ローマは智将スパレッティが作り上げた、トッティ1トップに2列目以降が次々と飛び出すトップ・レス・システムが魅力的。タッディとマンシーニの強力両サイド、中盤なら全ポジこなすハードワーカーのペロッタに、デロッシアクイラーニのローマユース出身の若手CHに、インテルからセリエA屈指のレジスタであるピサロが加わった。ビッグクラブに狙われる逸材DFであるメクセスとキブの操るラインコントロールも絶品。でもお家芸の内紛が心配。層の薄い純FWにもヴチニッチを補強。早速、開幕戦でピサロスパレッティが喧嘩してるし。サポも大人しくしているように。


グループE
レアル・マドリード(スペイン)
リヨン(フランス)
ディナモ・キエフウクライナ
ステアウア・ブカレストルーマニア

ここはマドリーとリヨンでしょうね。優秀なブラジル人の多いキエフも強いと思うけど、地力が違うと思う。マドリーはカペッロサッカーが浸透するまでは不安だけど。

マドリーは名将カペッロと強力な新戦力でどこまで変われるか。ディアッラとの差し引きで、リヨンとの実力差は縮まったと思うけれど、現状のチームの完成度では雲泥の差がある。ただエメルソン、ディアラ、カンナバーロらの加入で、守備の改善は間違いないでしょう。攻撃陣もニステルがリーガ2戦目でハットトリックカッサーノもゴールと、動かないロナウドのいない前線の迫力も増している。ニステルも動きは多くないけど、ポストプレーでチームに貢献できる点で重宝されそう。ただカペッロの守備重視の現実路線が、マドリーサポに受け入れられるか微妙。タレント軍団に付き物の内紛の恐れも。敵は内にある。

リヨンも相変わらずおもしろいけど、昨年のエッシェンに続き、今度はディアッラもマドリーに移籍。代役のトゥラランは将来有望な好選手だけど、現状では見劣りする。ジュニーニョエッシェンディアッラの3センターが継続出来ていれば、欧州制覇も現実的だったのに。ただジュニーニョの控えである新加入シェルストレームは、正確無比な左足と持ち前の創造性で、リーグ・アン開幕からジュニーニョに匹敵するプレーを見せている。この2人の共存にウリエが成功すれば、昨年以上にファンタジー溢れるサッカーが出来そう。前線はセレソン次代のエース候補であるフレッジのブレイクが期待される。

グループF
グラスゴーセルティックスコットランド
ベンフィカポルトガル
FCコペンハーゲンデンマーク
マンチェスター・ユナイテッドイングランド

マンUベンフィカがまたも同居。昨シーズンはベンフィカが勝ち残ったけど、今年は如何に。

今シーズンのマンUは昨シーズン終盤の好調を維持して、プレミアでも開幕から絶好調。得点源のニステルは移籍してしまったけど、サハとルーニーの流動的2トップが与えるチームとしての機能性は、ニステルの存在感を凌駕する可能性もある。諸刃の剣だったロナウドもかなり成長しているし、キャリックという待望のプレーメーカも獲得した。そしてベテラン、ギグスの好調、スコールズの復帰も大きい。不安はリオ意外不安定なCB。シルベストルとかプレミアで早速ネタを披露していた。今シーズンも期待を裏切ったら、ファギーは退任の可能性大。リッピの噂が根強い。勝負の年だ。

ベンフィカも復帰した英雄ルイ・コスタがどうチームに馴染んでいるか期待したい。シモン、ヌノ・ゴメス、ミッコリルイゾンとタレントは揃っている。ルイが巧く嵌れば、躍進の可能性もある利得る。

俊輔のいるセルティックは簡単でないグループに入りましたね。スコットランドリーグ・レベルでも守備が危なっかしいので、マンUベンフィカの快速アタッカーにはかなり苦労するんじゃなかろうか。ただセルティックは伝統的にホームで強いので、勝ち抜きもありえなくはない。ハートソンとペトロフの離脱は大きいけど、欧州をよく知るヘッセリンクとグラベセンの加入は大きい。とにかく俊輔に期待だね。レベル的に世界最高の舞台で大活躍すれば、オシムも無視は出来んでしょ。


グループG
アーセナルイングランド
ハンブルガーSV(ドイツ)
FCポルトポルトガル
CSKAモスクワ(ロシア)


ここは混戦。まあ、アーセナルが突破最右翼でしょう。ただプレミアでは絶不調で不安は大きい。ホームがハイベリーから広いエミレーツに変わって、ホームアドバンテージも微妙だし。

アーセナルは昨シーズンCL決勝まで躍進したけど、プレミアではスパーズの食中毒に助けられて最終節でギリギリ4位と、1年通しての状態はけして良くなかった。今シーズンはピレス、キャンベル、A・コール、レジェスといったレギュラー格を放出して、即戦力はロシツキーギャラス、バプティスタ。これではプラスといえない。世代交代の難しい時期で、プレミアでも開幕から不調。悪い時の平面的なパス回しだけに終始するサッカーになってる。課題であるミドルシュートやパワープレーも改善されず、攻撃に幅がない。選手層も薄いし、コールまでいなくなると苦戦するかもしれない。今年も理想の攻撃的なポゼッションサッカーは諦めて、CLでは現実的なカウンターに徹した方が結果は出そう。アンリがWC疲れから復調すれば、1トップでも問題ないでしょう。

ハンブルガーは攻撃の要だったバルバレスと、守備の要だったファンブイテンの放出が痛い。ブラルーズまで放出したから、CBはコンパニとマタイセンの新顔コンビ。昨シーズンのブンデスで見せた堅守を再現するのは時間がかかりそう。ラフィーの閃き次第かな。また怪我しちゃったけど。

ポルトはかなり良い戦力を揃えているので期待していたけど、監督のアドリアンセがフロントとの確執で開幕直前にクラブを去った。戦力的にはかなり良いけど、監督の穴は大きそう。個人的にU-17世界大会で凄まじかったアンデルソンは注目。あれから一年、どれくらい成長しているんだろう。

CSKAは戦力的にはかなり強烈。ダニエル・カルバーリョはビッグクラブでも十分やれる逸材。ドゥンガセレソンではレギュラー獲得の可能性も。チームとしてもUEFAカップ制覇の実績があるし、かなり手強いでしょうね。


グループH
ACミラン(イタリア)
リール(フランス)
AEKアテネギリシャ
RSCアンデルレヒト(ベルギー)

ミランはかなり恵まれたグループに入った。シェヴァの放出で戦力的にはダウンしているけれど、危なげなく勝ち抜くでしょうね。ただ、アンチェロッティの自信作であるピルロを軸としたサッカーに、どこか閉塞感が漂うのも事実。マンネリ化がチームに与える影響というのは意外と大きい。そういう意味で新戦力ではレンヌで印象的だった若手のグルキュフに期待。

他はどうだろう。アテネアンデルレヒトはよく知らんけど、リールはかなり良いチーム。中盤にはボドメル、キャバイエ、マクンというビッグクラブ注目の有望な若手タレントがいるし、前線の快速オデムウィンギィーを活かしたカウンターは嵌ると強烈。組織的にもよくまとまっている。弱小クラブで2年連続CL出場は伊達ではない。監督のクロード・ピュエルは今後注目ですよ。そのうちステップアップすだろうね。

*1:やはり4チームの実力が拮抗するのが真の「死のグループ」。レバークーゼンデポルティボアーセナルユベントスが同居した01-02シーズンのグループBとかね。これはマジやばかった。最低でも3チームが拮抗しないと。

*2:シェヴァ獲ったからクレスポ放出は仕方ないとして、他の2人は勿体なさすぎ。カルーやミケルは超有望だけど、まだ即戦力としては物足りない。ユーティリティDFのブラルーズも、ギャラスに比べると見劣る。

*3:4-3-1-2の完成度が世界有数のブレーメンというのが良かったんだろうね。バウマン、フリンクス、ボウロウスキの3センターの庇護を受けられるトップ下。天才肌のテクニシャン型トップ下にこれほど適したクラブはない。ミクーとの比較だと、よりトリッキーでドリブルでの個人打開に優れていて、連係が取れてくればかなり面白そう。

*4:華麗に舞った開幕から2試合と、エルンストに潰された3戦目のシャルケ戦は別人

*5:結局ボルトンに移籍、代わりにアトレチコからケジュマン獲得。ケジュマンは弱者には滅法強いから、3強以外は格下のトルコリーグでは得点量産しそう。アレックスにアシストしてもらえるし。

*6:スペイン人ならラウール・ガルシアやオウビーニャ、クラブ伝統のアルゼンチン人ならガーゴに投資とか。