アルゼンチンvsコートジボアール

アルゼンチン 2-1 コートジボアール
[得点]24分:クレスポ、38分:リケルメサビオラ、82分:ディンダン→ドログバ(コ)

アルゼンチン:
アッボンダンシエリ;ブルディッソアジャラエインセ■、ソリン、マクシ・ロドリゲスマスケラーノカンビアッソリケルメ(93分アイマール)、サビオラ■(76分ルイス・ゴンサレス■)、クレスポ(64分パラシオ)

コートジボワール
ティジエ;エブエ■、コロ・トゥーレ、メイテ、ボカ、アカレ(62分B・コネ)、ゾコラ、B・カルー(56分ディンダン)、A・ケイタ(77分A・コネ)、ヤヤ・トゥーレ、ドログバ

ARG-CIV(マッチ5):「経験の差が勝敗を分けた」
クレスポとドログバが好発進
アルゼンチン2−1コートジボワール―アルゼンチン、真の力を見せずに勝ち点3
ARG 2-1 CIV :試合レポート

かなりレベルの高い試合。決勝トーナメントレベル。現時点でのベストゲーム。

やはりアルゼンチンはリケルメ。プレーの安定性はそれほどでもなかったけど、ボールを持った時のプレーは流石。中盤でキープしてタメをつくり、チームにリズムを与える。セットプレー、スルーパスで得点機を演出。強烈なミドルシュートでの幻のアシストもあった。
アルゼンチンは、リケルメ以外の選手の守備意識やボールレシーブの動きの質が高い。守備意識や運動量に欠ける中心選手を、チームとしてしっかりフォローしている。プレッシャーも早いし、球際も強い。チームとしてのラインコントロールとプレッシングの連動性も感じられる。リトリートとプレスの使い分けが巧い。
攻撃はひたすらグラウンダーのショートパス主体。高い位置にサイドアタッカーを置いてサイド攻撃もなく、ロングボールも多用しない。古典的な司令塔を中心とした現代サッカーでは異質のチーム。かといってワンマンチームではなく、脇を固める選手たちも他国なら主役を張れる実力者。ベンチにメッシ、アイマールテベス。豪華。

先制点はセットプレーの縺れからクレスポが鋭い反応で詰めた。らしいゴール。
サビオラが鋭い飛び出しからワンタッチでWC初ゴールで2点目。パスを出したリケルメとの呼吸は絶妙。数多い選択肢の中、オフサイドポジションにいたクレスポではなく、サビオラを選択したリケルメの判断、そしてそれを感じて飛び出したサビオラも素晴らしかった。コートジボアールは、前を向いたリケルメに対してプレッシャーを掛けていないのに、ラインを上げてしまったのが致命的。

アルゼンチンに2点先取されたら普通は終わり。ただしコートジボアールは普通でない。圧倒的な身体能力*1をベースに、前にボールを運ぶ姿勢を打ち出して一歩も引かず、テクニックでもアルゼンチンと互角以上に渡り合う。最前線のドログバの高さ・キープ力を軸とした攻撃サッカーかなりのモノ。足速すぎ。

ただしアルゼンチンは試合巧者だった。パス回しで巧く時間を使ったり、引いてスペースを消してコートジボアールに決定機を作らせない。ダブルボランチも豊富な運動量と絶妙なポジショニングで攻撃の芽を良く摘んだ。ドログバにやられての失点は想定外だったろうけど、押し込まれた割に決定的なシーンは許さなかった。難敵相手に確実に勝ち点3。間違いなく優勝候補の一角でしょうね。


気になるのは消耗度。タフな試合でどちらもかなり消耗してしまったと思う。死のグループの代償。そうなると、省エネサッカーで勝ったイングランドは有利だ。次戦に勝てば3戦目は主力温存できるし、一位突破すれば相手はレベルの劣るA組2位。組み分け運が良い。

  • アルゼンチン

4-4-2
     クレスポ   サビオラ
    リケルメ         マキシ
          カンビアッソ
 マスチェラーノ
ソリン
     エインセ アジャラ ブルディッソ
      アポンダンシエリ

様々なシステムを試行錯誤していたペッケルマンが選択したのは変則4-4-2。右OMFのリケルメは内に入るが多く、右OMFのマキシはサイドまで幅広く動く。リケルメの空けたスペースに左SBのソリンが頻繁に上がって、右SBのブルディッソが中に絞って3バック気味になる形が多い。
攻撃的なサネッティをメンバーから外し、本職のスカローニも使わず、CBのブルディッソをSBに使ったのは、逆サイドのフリーマン・ソリンとのバランスを考えたからだろう。絞ってCB的な役割をこなすならブルディッソの方が得意。その選択が正しかったかはともかく、ペッケルマンの意図は理解できた。
それ以外の戦術面は予想通り。今まで書いてきたように、やはりリケルメのチーム。中盤の人選も、リケルメをフォローする為に運動量豊富な人材を揃えた。特にこのダブルボランチは守備では万全。リケルメ中心のため、役割の被るアイマールは控え要員だろう。ペッケルマンはかなり現実的。
コートジボアールリケルメに特定マークをつけず、ゾーンで受け渡して対応していた。そのためボールを持てる事が多く、サビオラの得点を演出したスルーパスのシーンもフリーだった。問題はリケルメがハードマークで抑えられたり、コンフェデ決勝の時のように不調だった場合。マークを厳しくされた後半は、リケルメも存在感が少し薄まったし、チームもペースを握れなくなる時間帯が増えた。ワンマンチームならともかく、これだけの戦力揃っているんだから、リケルメと心中しての敗退は許されない。
やはり鍵を握るのはメッシでしょうね。直前のアンゴラとの強化マッチでも、メッシが入った途端にチームの色が変わった。メッシのスピードと局面打開力はリケルメにはない魅力。保守的なペッケルマンがどれだけチャレンジできるかでしょうね。初戦でパラシオの出番があってメッシの出番がないのは、怪我で温存されただけと信じたい。アイマールとの共存も期待したいけど、それはもう諦めたよ。
この試合の×ルマンの采配は疑問。前線でポスト役になっていたクレスポを下げて、なぜかこのチームで何の実績もないパラシオを投入。クレスポの役目を期待しするならクルスだし、カウンターで裏を突かせたいならメッシ。テベスのドリブルも有効のはず。この交代によりアルゼンチンは前で起点を作れなくなり、コートジボアールに押しこまれてしまった。
アルゼンチン好きだから何とかペッケルマンには頑張って欲しいね。

4-2-3-1
      ドログバ
アカレ   カルー   ケイタ
   ゾコラ Y・トゥーレ
ボカ Kトゥーレ メイテ エブエ
      ティジエ

これまで4-4-2ダイヤが多かったけど、この試合はFWのカルーがトップ下気味の4-2-3-1。テクニックがあって1対1に強い選手が多く、身体能力能力は抜群に高い。全員がヨーロッパでプレーしているだけあって、戦術的にもそれなりに統制されている。集中力のキレから凡ミスが多いのは気になる。ムラがなくなればさらに強くなる。
ドログバの高さとキープ力は一級品だし、SHもSBもかなりスピードと打開力がある。この試合ではイマイチだったけど、カルーもリーグアン屈指にテクニシャン。大型ダブルボランチはビッグクラブから誘いの多い逸材。DFもアーセナルのDFリーダーに成長したトゥレがいる。攻守に穴が少ないですね。
これはオランダとプラーヴィもかなり苦労するでしょうね。緒戦がアルゼンチンでなければ、世界中にサプライズを起こせたと思う。1998年のナイジェリア、2002年のセネガルを凌ぐポテンシャルを秘めている。サロモン・カルー弟がいればさらにやばかったのにね。

*1:この試合でも何人か出ていたけど、リーグ・アンはあんなのばっかだからねえ。松井は本当に良くやったよ。