オランダvsプラーヴィ
オランダ 1-0 セルビア・モンテネグロ
オランダ:18分:ファン・ペルシ→ロッベン
セルビア・モンテネグロ:4-4-2
イェヴリッチ;ドラグティノヴィッチ■、ガヴランチッチ■、N・ジョルジェヴィッチ(43分コロマン■)、クルスタイッチ、ドゥリャイ、スタンコヴィッチ■、P・ジョルジェヴィッチ、ナジ、ケジュマン(66分リュボヤ)、ミロシェヴィッチ(46分ジギッチ)
オランダ:4-3-3
ファン・デル・サール;ハイティンハ■、オーイェル、ファン・ブロンクホルスト■、マタイセン(86分ブラールズ)、コクー、スナイデル、ファン・ボメル(60分ランザート)、ファン・ペルシー、ファン・ニステルローイ(69分カイト)、ロッベン
SCG 0-1 NED(マッチ6):試合レポート(FIFAworldcup.com)
序列通りに始まった「死の組」 中田徹 (スポーツナビ)
スタンドとピッチを覆った巨大なオレンジの影(WSS)
6月11日総括:キラリと輝くオランダ(FIFAworldcup.com)
まあとにかくロッベンに尽きる。
プラーヴィにとっては日中の暑さが大きく影響した。格上相手にもっとプレスを掛けたかったはずだけど、それを最後までやるのは無理な環境のため前半は抑え気味。そのため中盤からの展開でピッチを広く使われ、オランダに主導権を握られてしまった。後半はいつもの積極的プレスで持ち味を多少は発揮したけど、最後はばててしまった。
予選わずか一失点の守備は流石で、相手エースのニステルをシュート一本とうまく封じ、制空権は渡さなかった。ただし地上戦ではキレキレのロッベン一人に翻弄されてしまった。失点場面、ロッベンにあそこまで抜け出されてしまうと追いつけるDFはそういない。ライン設定の甘さもあっただろうけどあのワンタッチプレーはオランダを褒めるしかない。
CBビディッチの出場停止により、レギュラー右SBのガブランチッチをCBに使ったため、ロッベンと対面する右SBに控え選手を出さざるを得なかったのが痛かった。ロッベンに翻弄された右SBジョルジェヴィッチを前半途中で交代する応急処置に出たけれど、左サイドに留まらず縦横無尽に動き回るロッベンに最後まで対処する事はできなかった。
早い時間帯でのカウンターでの失点は想定外だった。リアクション型チームにとって先制される事は致命的。スタメンの守備的な布陣から*1、終盤まではスコアレスドロー狙いの守備モードでいって、機を見て後半勝負を仕掛けたかったはず。そのゲームプランが根底から覆ってしまった。
オランダもけして良かったわけではないけど、8年ぶりの出場でWC経験者も少なかったし、この暑さの中で迎えた初戦、難敵相手に勝ち点3は及第点を与えて良いでしょう。前日にアルゼンチンが勝っているので、勝ち点を落とすことは出来なかったはずで、この日の勝利はかなり大きい。スペインがどうしても勝ちきれなかった相手にきっちり勝つのは流石。華麗なオランダサッカーは次戦に期待ですな。コートジボアール戦はかなり熱くなりそう。
- オランダ
コクー ボメル
ジオ クロンカンプ
オプダム オーイエル
勝ったとはいえ優勝を目指すオランダにとって大きな課題が残る試合になった。チェコに競り勝った欧州予選の頃より内容が悪い。
ファン・デル・ファールとのケガで、中盤にゴールへ直結するアクセントを付けられる人材を欠き、攻撃はウインガーの突破力頼みになってしまった*2。もし怪我の多いロッベンに不測の事態が起きたり、ハードマークで封じられてしまった場合、攻撃が手詰まりになる恐れがある。これはラフィー不在時には常に付きまとっている問題。直前のオーストラリア戦でもそういう気があった。
この試合の中盤の3センターは、守備時の囲い込みや、ピッチを広く使う展開力の面では良かったけれど、ゴールに絡むのを得意とするタイプではない。ファンバステンがこれまでベンチ要員だったボメルを使い出したのは、ゴール前に飛び込んで行く推進力に期待してのものだと思う。ただ彼は想像力のあるタイプではない。プラーヴィがプレスを掛け始めると、正確なキックでアクセントをつけるはずのスナイデルもミスが目立った。
やはり強く美しかった時のオランダには、サイドの突破力や中盤からの展開力だけでなく、バイタルエリアで攻撃にアクセントを付ける人材がいた。そう、WC98とEURO2000のベルカンプ。WC2002*3予選とEURO2004*4にはそういう存在を欠いていた。ラフィーのコンディションが大会中に戻るかは微妙だろうけど、WCでオランダの攻撃サッカーが完全復活のために早期復帰を願いたい。でも怪我明けで過度の期待は禁物かな。