PSV 1-0 ミラン
PSV:3-3-1-3 → 4-3-2-1
ゴメス;オーイェル、アレックス、ラメイ;アフェライ(58分:レイジハー)、シモンス、コクー;アイサティ;ファルファン(85分:アッド)、フェネホール・オフ・ヘッセリンク、ビーズリー
ミラン:4-3-1-2
ジーダ;スタム(84分退場)、ネスタ、マルディーニ、カラーゼ(46分:セルジーニョ);ガットゥーゾ(46分:ヤンクロフスキー)、ピルロ、セードルフ;カカ;ジラルディーノ(74分:シェフチェンコ)、ヴィエリ
欧州を代表する両監督の試合中のシステム変更による采配合戦など見所多い一戦だった。
攻撃が中央編重のミランに対して、ヒディング率いるPSVは中を厚くした3バックへシステム変更*1し、2トップにはマンマークで対応。これがずばり的中。まずは前半12分、カラーゼのクリアミスを奪ったファルファンが先制。
見事に統制されたオランダ伝統の3-4-3は、高いライン設定によるコンパクトな布陣を保ち、中盤での積極果敢なプレッシング、両翼を軸とするワイドなサイド攻撃が見事に機能。トータル・フットボールを地でいく様な全員攻撃・全員守備で、個人能力に優るミラン相手にポゼッションで優位に立ち、押し気味に試合を進める。
何とかして3バックの裏のスペースを突きたいミラン。ところがアンチェロッティは、サイド攻撃を担うはずの右SBカフーをベンチ外に温存してしまい、前半はサイド攻撃が不発。後半にカラーゼ、ガットゥーゾに代えて、サイドアタッカーのセルジーニョ、ヤンクロフスキーの投入でサイドのスペースを突く狙い。
対するヒディングは、後半13分にDFのライジハーを投入、4バックへのシステム変更でサイドの守備を補強*2。指揮官の見事な対応策の影響で、ミランにとって情況は好転せず。シェフチェンコの強行出場も実らない。
終了間際には、ビーズリーの機動力に手を焼いていたスタムが、ドリブルへの対応で滑ってバランスを崩し、苦し紛れにシャツを引っ張って2枚目のイエローで退場*3。数的振りの中、ミランは守りを固めるPSVにまんまと逃げ切りを許してしまった。
数日前にセリエA9連勝中のユベントスを圧倒したミランが、まさか主力放出で戦力低下中のPSVに敗れるとは。ユーベ戦で死力を尽くしてしまい、谷間のミッドウィークで気持ちが切れてしまったのだろうか。今日のミランにユーベ戦で見せた気迫は微塵も感じられなかった。
ビエリ、ジラルディーノの2トップもゴールを狙うばかりで、お互いを活かすような連動したコンビネーションが感じられない。現状のミランのFW陣はストライカー・タイプばかりで、こういう時にチャンスメイカーも務められる利他的なトマソンの必要性を感じる。
ピッチに足を取られる選手が多く、慣れないアウェーのピッチにも苦しめられた。激しいボディコンタクトに寛容なセリエAとの判定基準の違いも影響したか。ミランにとってフィリップス・スタディオンは鬼門だ。
PSVは見事なアップセットを演出。17歳のアイサティ、18歳のアフェライトといったユース世代の若手選手が、ミランのビッグネーム達を凌ぐプレーを見せた。両翼のファルファン、ビーズリーの機動力、1トップのヘッセリンクの高さも機能。中盤での精力的なプレッシング、アタッキングサードでの積極性など、メンタル面でもミランを上回った印象。
2年連続であれだけ主力を引き抜かれて、ここまでのチームを作り上げてきたヒディングは凄い。相手の出方に応じた柔軟なシステム変更で采配勝負にも見事に勝利した。PSVは今シーズンも台風の目になるかもしれない。オーストラリア代表も素晴らしい監督を手に入れたものだ。個々の戦力で劣るなら、やはりそれを補う監督こそ重要ですよ。