準々決勝2ndレグ2日目

  • 定められた結末

強豪ユベントスは、飛車角落ちのリバプールに敗れるべくして敗れ去った。
攻撃はリバプールの見事なラインコントロールに封じられ、苦し紛れのロングボールもヒーピアを中心とした高さに跳ね返される。厚く固められた中央バイタルエリアへのパスは分断され、サイドに押しやられてのクロスもリバプールの高さには通じず。カンナバーロのヘッドが入っていればというところだけど。
ロングボールやクロスボールに効果がないのは明白だったけど、ユーベの中盤は細かくパスを繋ぐのを得意としていない。攻撃が手詰まりになった際に、変化をつけられるような攻撃パターンや、強引に打開してしまう強烈な個も存在しなかった。

  • 個に依存した攻撃は機能せず

カペッロのサッカーは、攻撃が個人能力に大きく依存しているので、主力が不調だとどうにも機能しづらい。決定力抜群のトレゼゲがいれば多少は違っていたんだろうけど(怪我多すぎ)。
頼みのズラタンは決定力だけが1.5流、ネドベドも病み明けで不調、デル・ピエロはもう既に在りし日の姿ではなく、何かもう一枚強力な前線が欲しいところ。今日だったら、サブにスピードとドリブルで強引にでも掻き回せる選手がいれば。そんなミッコリはレンタル放出中。

  • 状況によって変わるチーム力

ユーべは1-0で勝ち抜き決定の状況、そしてそれが大得意のチームなんだけど、それはあくまで平等な条件下でのもの。リバプールはファーストレグで先勝していて、今回は無理に勝ちに行く必要はなく、スコアレスドロー狙いの守備的なゲームプラン。相手のお株を奪うリアリズムに徹した。
そういう状況でユベントスは、守りに入った相手を押し切るような攻撃力を有していなかった。それどころか、ビハインドを背負っていて残り時間僅かなのに、リスクを背負って何としてでも1点奪い取るような気迫も見えなかった。リスクを極力排除するロースコアのゲームプランは得意でも、自分達が攻めのリスクを背負うと途端に別チームに。

  • 選択肢が少ないチームの限界

昨日のバイエルンの気迫を見せられると、この試合はもの凄く物足りない。ベニテスも多少拍子抜けしたんじゃなかな。もう守備的なリアクションサッカー主体で勝ち抜くのは厳しいんでしょう。
攻めて来る相手を受け止める試合運びは得意でも、ビハインドを背負った状況でトップレベルの強さは有していない。守備がザルのマドリーには勝てても、ベニテスリバプールはそう甘くない。けしてそこまで守備が強いチームじゃないけど、今日は集中力が半端なかった。
リスクを極力排除する似たようなチームカラーでも、バイエルンのように勝負所での鬼プレスで強引に主導権を握れる力強さだとか、チェルシーミランのように様々な状況でゲームプランを変えられる懐の深さ、そういう戦術的柔軟性を持たないと欧州CLでは勝てない。
真のトップレベルにおいて、アーセナルバルセロナここの下の方で書いた)とは逆の方向で、このチームも“持たざる者”だった。まあ平等条件下の一発勝負では強いだろうし、リーグ戦での安定感は健在なんですが。
そういう意味ではビハインドを背負った第一戦目で勝負の大半は決していたのかな。アンフィールドで序盤に勝負をかけてきて、見事立て続けに2点を奪ったリバプールのプラン成功が実を結んだ形。
色々書いてきたけど、カペッロ政権もまだ一年目だし、攻撃パターンが増えてくれば来年は更に手強くなるでしょう。今シーズンはスクデットに集中。

リバプールは見事にタスクを遂行した。ベニテス就任で確実にチーム力はアップしている(本来ならバレンシアがこの位置にいたのかな)。シャビ・アロンソやシセといった負傷者の復帰も朗報。ジェラード抜きで勝ったのも大きい。
これでベストメンバーが揃えば、プレミアの成績とは別次元の強さを発揮する可能性がある。ベニテスのメソッドが完全に浸透して、チームが完成するのはまだまだ先だと思うけど、準々決勝は期待が持てるんじゃないでしょうかね。ただチェルシーの強さは磐石だと思うけど。