準々決勝

息の詰まるような熱戦。こういう試合の敗者がPK戦で決まってしまうのは残酷というか何というか。再試合をやらせて上げたくなる。そしてオランダが苦手なPK戦を勝利して準決勝進出。ポルトガルとの一戦は両者攻め合う面白い試合になりそう。負けたスウェーデンも素晴らしいチームだった。これで最強2トップは見納めか。

試合内容は観ての通り。

スウェーデンは力を出し切ったと思う。組織的な守備でオランダの猛攻をよく押さえ込んでいたし、ズラタン*1リュンベリラーションを中心にした鋭いカウンターはゴールまで後一歩だった。シュートが尽くバーに嫌われるツキのなさだけが悔やまれるところか。ラーションは今度こそ代表引退ですかね。

一方のオランダは“らしく”なかった。これまでPK戦に突入するような試合では、常に最後まで主導権を握り続け攻めていたはず。だから大舞台でPKが原因で負けるたびに「試合には勝っていた、PK戦で負けただけだ」と言い訳してきた。ただそういう展開だったからこそ、PK戦に泣き続けてきたオランダが勝てたとも考えられる。

トップのファン・ニステルローイに当ててから、両サイドに展開していく攻撃は機能していた。前線でしっかりボールを収められ、点を取る雰囲気もあるニステル、ドリブルで相手を数人引き付けてチャンスを演出し、自らゴールも狙ってくるロッベンは怖い存在。強烈なミドルを持つセードルフダービッツの中盤からの絡みも悪くなかった。

でも相変わらず後方からの展開力不足で、サイドをワイドに使って崩していく攻めが物足りない。もっと早いタイミングでサイドの選手に展開できたなら、相手は守備陣形を整えきれず、サイド攻撃がもっと機能したはず。攻撃の多くを個人技に依存している所もあって、数年前の流れるような攻撃はいまだ見られない。

監督の采配。

オランダはF・デブールの怪我で実質交代枠が2つに*2。この結果、これまで途中起用で流れを変えているスナイデル、オーフェルマウス、マカーイの内の2人しか投入出来なくなった。当然膠着した状況ではこの中から交代枠が使われると予想され、他には切り札のラフィ、初戦で使ったパワープレイ・FK要員のドンク位か。

最初の一枚、なぜかアドフォカードはヘイティンガを投入。謎だ。交代させたダービッツは中盤で攻守に奮闘していたし、F・デブール不在で展開力が欠けていたのだから、中盤の交代ならスナイデルの方が必要だったはず。その後の展開を見てもヘイティンガ投入が効果的だったとは思えない。オランダの4強に不満はないんだけど、アドフォカートの不可解な采配だけが肩入れし辛くさせる。試合内容でも前回大会のオランダとの差は比べるまでもなく。

一方のスウェーデンは最後の一枚のカードをを切れなかった。これまで一旦はリードされながら、終盤に前線の選手を次々投入し、時に4トップとも言える積極策で結果を出してきた。ただし今日はスコアは動かず、交代は同ポジションにフレッシュな選手を投入するに留まった。ここで動いて結果を出していれば神だったんだけど、それはまあ仕方がないか。スコアが動いた時のために最後の手を残しておきたかった気持ちも分かる。

*1:今日は少し不調だったが

*2:ここでコクーを代わりに置いて4バック、DFのボウマではなく中盤の選手を入れていれば影響は少なかったんだけど、それは少々リスキーかな