準々決勝

2日続けて名勝負とはいかなかったようで。民放はチョイスに失敗しましたな。準決勝にギリシャが来るとは予想してなかったでしょう。数字取れるんですかね。

ギリシャは結果を出している自分達のサッカーをやり遂げただけであって、特別凄かった訳じゃない。なので省略。

逆にフランスは情けなかった。必死に勝とうとする気持ちが全然見えない。懸命に戦っていたのはリザラズ位か。ポルトガルギリシャに負けたけど、彼らは最後まで点を入れようとしていた。ボールが外に出てもすぐにピッチ上に戻そうとしていたし、前へ前へ必死にボールを運んで総攻撃を仕掛けていた。フランスはそういう基本的な姿勢さえも見えない。組織力不足とか監督の采配以前の問題。正直がっかりした。これがジダンの最後の代表戦になってしまうのか。

ギリシャの勝利は当然でしょう。これはジャイアントキリングでも何でもない。今日はフランスを応援していたんだけど、それはどちらが好きとか嫌いじゃなくて、単純に準決勝でフランスvsチェコorデンマークの方が観たかったから。

グループリーグは不出来だったフランスだけど、決勝トーナメントに向けて調子も上げてくるだろうと期待していた。でもグループリーグ同様に不甲斐無い内容で、ギリシャの方が明らかにベスト4に相応しかった。この試合を観ないでフランス敗退という結果だけ見ていたら残念に思っただろうけど、今日のフランスではそういう気持ちになれない。おめでとうギリシャ

精神論だけで終わらせるのもアレなんで、色々粗探し。

結局フランスは、イングランド戦で露呈した課題が何も解消されていなかった。相変わらずシュートを打つまでに手数をかけすぎ。あれだけゴール前に相手DFがいるのに、一人で全員交わしてシュートを打つなんて無理。なのにドリブルで何人も抜こうとして途中で止められる場面が目立った。シュートをどんどん打っていけば良いのに、なぜか綺麗に崩そうとパス回しに固執する場面も。そして今回はジダンのFKのような奇跡なんて起こらなかった。

イングランド戦は劇的勝利だったけれど、内容は負け試合そのもの。ジダンが個の能力で覆したに過ぎない。初戦で悪かったチームは多かれ少なかれチーム構成を変えて来る。ポルトガルも初戦に負けた事でチームを改造するキッカケをつかめた。でもフランスは下手に劇的勝利を上げた事で、チームを変えるタイミングを逃してまったんじゃないか。

サンティニの選手起用も謎が多い。ジダンは不調だった。マドリーでも偶にしか見せないありえないトラップミス。攻撃の中心のジダンがアレではチームは機能しない。でも初戦のロスタイムに奇跡を起こしたジダンを外せないのは分かる。

分からないのは絶不調のトレゼゲの先発起用に固執すること。代わりになる選手がいないんなら仕方がないけど、スイス戦では途中起用したサハが見事に流れを変えたはずで、そのままの勢いで先発に抜擢してもよかった。サハをスーパーサブにとっておきたかったのなら、なぜ後半早々にトレゼゲに代えて出さないのか。前半のトレゼゲに冴えは見られなかった。

1点リードされてようやく引っ込めたけど、その前も代えるタイミングは合ったはずで、相変わらずサンティニは動くのが遅すぎる。リードされているなら3トップにしてでも攻めて欲しかった。途中、クロス精度の高いロテンを起用したけれど、クロスに合わせるなら点で合わすことの出来るトレゼゲのはず。アンリのヘッドに期待は出来ない。サンティニが何をしたいのかよく分からん。

ビエイラとサニョルの負傷欠場も響いた。右SBがガラスでは攻撃に期待は出来ない。そのためリザラズのいる左に攻撃が偏ってしまった。彼はチェルシーでSBとしても起用されるけど、それは相手のサイドに強力な選手がいる時の守備対策*1

終盤のテュラムの動きを見ると、最初からガラスはCBで、テュラムがSBのほうが良かった。シルベストルテュラムのCBコンビもイマイチ。4バックのCBにはあまり向いていないコンビなので、この人選にも首を傾げる。ちなみにテュラムがCBとして機能していたパルマは3バックだし、4バックのユーベではSBを任されている。

ビエイラがいないことで中盤の底からの素早い展開、後方からの前線への飛び出しもなくなってしまった。マケレレとダクールのコンビでは守備以外に多くの期待は出来ない。ダクールは守備でもいまいちで、ビエイラ不在をより感じさせた。ジダンとピレスに厳しいマークがついていた状況では、後方からの飛び出しや前線への素早い展開がもっと欲しいところ。高い攻撃力があるとはいえないギリシャ相手には、守備を重要視した人選より、展開力のあるペドレッティをマケレレと組ませた方が良かったかもしれない。


一方のギリシャレーハーゲルの采配で驚いたのはツァルタス起用法。チーム1の技巧派である彼は、予選ではチームの中心だったけれど、フィジカル的には恵まれていなく、守備重視の戦術では重要視されない。彼が必要になるのはリードされている時。スペイン戦でリードされた後に起用され、攻撃の起点として活躍した。そして同点ゴールを針の穴を通すようなロングパスでアシスト。

しかし今日はリードしている状況での起用。今大会ではリードしてからあからさまな守備固めをしたチームが尽く追いつかれているだけに、レーハーゲルツァルタスを使うことでチーム全体が消極的にならないよう無言のメッセージを送ったんでしょう。勿論正確なキックへの期待もあると思う。
守備主体のギリシャの中では目立った活躍ができないけれど、この先彼の攻撃的センスが必要となる試合もまた来るはず。ギリシャの中では一番好きな選手なので期待したい。

*1:左サイドにアンリが流れるアーセナルを相手にする時とか