スペインvsロシア

ギリシャ戦のポルトガルと比較したっぽい感じで。
スペインもポルトガルと似たような4-2-3-1システムなんですけど、フィーゴのように自由に動く選手はいなくて、各選手それほど流動的にポジションチェンジはしないで攻めていく。ビセンテエチェベリアの両サイドの選手は基本的に自分の持ち場を離れない。パウレタへの縦パスが通らなかったポルとは違い、トップのモリエンテスとラウールは中盤に下がって攻撃の組み立てに参加して、チーム全体でサイドにリズムよく展開して攻めていく。ポルのように個人技頼みではなく、人もスペースに有機的に動いて、その選手を積極的に使っていく。特に左のビセンテの突破、右SBのプジョルの上がりをうまく生かして戦っていた。サイドアタッカーの独力でも突破できて、チームとしてもサイドを崩せるというサイド攻撃の見本のような戦い方。
でもリズムはいいんだけど、そのいいリズムの割りにここも点が入らない。サイドを崩してクロスを上げても人が足りていない印象もある。これだけ崩せていたらイタリアあたりなら3点は入れてるはず。バレンシアピボーテもトップ下付近のラウールも組み立てに変化をつけられる選手じゃないから、どうしても攻撃がサイド頼りなってしまう。
そこでバレロン。彼がトップ下に入ると中でもいいリズムが出てきて攻撃が多彩になる。高い位置でのキープ力とパスセンスはチーム一。いつもは決定力に不足の感があるんだけど、今日は見事な決勝ゴールを決めた(DFを抑えていたラウールの影のアシストも素晴らしい)。ラウールとバレロンという全く違うタイプを使い分けられるのはスペインの強み。
得点の場面に貢献したシャビ・アロンソの展開力も魅力。一発のサイドチェンジで膠着した展開を打破できる存在で、大会中にレギュラーを奪ってしまうかもしれない。ワイドに広がったウインガーを生かすにはこれ以上ない人材。もちろんバレンシアコンビも攻守のバランスに優れていて甲乙つけ難い。
次のギリシャ戦はどうなんだろう。そう簡単には失点はしないだろうし(カシージャスがいないとやばい場面もあるけど)、決定力もポルトガルよりあるから負けることはないと思う。でもサイド攻撃だけだと強さのあるギリシャDF陣には苦戦しそう。
パウレタ頼みのポルと違って、スペインのFWモリエンテス、ラウール、トーレスと多種多彩。スーパーパーサブとしてトーレスにはかなり期待できるんじゃないかな。ラウール不調の現時点では、前線の選手(ラウールも含めて)をバレロンが操るのが一番機能するように思う。縦に飛び出せるトーレスバレロンの相性は抜群。
少しラインが下がりすぎてコンパクトにできない点と、最初から飛ばし過ぎてばてた後が不安か。バレンシアやデポルのようなラインを高く保って、チーム全体で押し上げていけばもっと期待できる。
Aグループはスペイン有利。でもロシアも悪くないんでまだまだ縺れると思う。