男祭り2003結果

第1試合
美濃輪育久 vs クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン
 試合開始前の見合った時点で体格が違いすぎる。組み付いてもリフトアップされて落とされてしまい、フロントネック、アームロックなどの関節技がかかりそうになってもパワーで跳ね返されてしまう。グランドではパウンド、膝の雨霰。圧倒的不利な状況の中、けして諦めない美濃輪の心の強さは凄い。ただそれだけでは勝てないのが格闘技。グランドでの強烈な膝でジャクソンのTKO勝ち。
 レフェリーストップは美濃輪にしたら早かったと思う。でもあのままいっても判定負けだろう。ストップの後、すぐに立ち向かっていく姿はお茶の間に届いたはずだ。成長の後もみられた。無差別を目指す美濃輪にとっては不本意かもしれないけど、今はまだ自分に合った階級でやってほしい。これからの美濃輪に期待したい。
第2試合
ヒース・ヒーリング vs ジャイアント・シルバ
 ヒーリングはテイクダウンを狙いにいくと思ったけど、距離をとってローの作戦。普通にテイクダウンできると思うんだけど。3R早々シルバがグランドに持ちこむが、うまくヒーリングが後ろに回ってのスリーパーで一本勝ち。ヒーリングは飛びぬけた武器がないので、これからトップで戦うには苦しそう。PRIDEらしさがあまりない戦いだった。
第3試合
桜井“マッハ”速人 vs 高瀬大樹
 これだけ放送時間が長ければ当然民放でも放映されると思いPPVを買わなかったのだが、なんと数秒のダイジェストのみ。凄く楽しみだったので残念。SRSで放映してくれないかな。
 後日観た。高瀬の最初のタックルは見事だったが、以降はスタンド打撃とスタミナの差が出たね。高瀬は引き込むしか手がなかった。グラウンドでのお互いの攻防は見応えがあった。終始攻勢のマッハが判定勝利。
 マッハは次戦はニュートンあたりがいいのでは。高瀬はスタンド打撃・レスリングをもっと向上させないと、トップレベル相手では厳しい。
第4試合
小路晃 vs ムリーロ・ニンジャ
 ニンジャが打撃で圧倒して、最後は膝一発でKO。ニンジャは強い。シウバとそんなに差はないと思う。彼がPRIDEの門番的役割になったら誰も突破できないぞ。小路はDEEPでの日本人対決が観たい。トップクラス相手ではなければまだまだやれそうだ。
第5試合
吉田秀彦 vs ホイス・グレイシー
 なんとホイスがギを脱いで登場。緊張感のある闘い。吉田は足関節の攻防がうまくない。柔道着もうまくホイスに利用されてなかなか攻勢に出れない。ポジションを取られて終始ホイスペース。ホイス優勢のまま時間切れ。判定があったら間違いなく負けていた。
 ホイスだから引き分けですんだけど、トップ柔術家相手だったら一本取られていた。柔道着をうまく利用されて終始主導権を握られてしまった。フライ、佐竹、田村、シウバとグラップラー相手に戦ってこなかったので目立たなかったが、吉田はそこまで総合での寝技がうまくないのではないか。そんなことを考えてしまう一戦だった。
 一方ホイスはグレイシーの意地を見せた。だがスタンドでの打撃、レスリングともうまくないので、今後トップで戦っていくのは厳しいと思う。またセミリタイヤかな。
 総合でギの着用は不利な点の方が多いと判った一戦だった。吉田は相手によっては裸で戦った方がいいのでは。
第6試合
ドン・フライ vs ゲーリー・グッドリッジ
 ハイキック一閃でグッドリッジのKO勝ち。これで引退か。まだトップ相手でなければやれるのにな。これには諸説ありますが、もしそうだとしてもあのハイを受けたフライは凄い。
第7試合
坂田亘 vs ダニエル・グレイシー
 逆十字でダニエルの一本勝ち。坂田も健闘したけど、やはりグランドの技術に差があった。完全に十字が入ってもタップしない坂田を見て、レフェリーはストップすべきだった。
第8試合
近藤有己 vs マリオ・スペーヒー
 サイドからの膝でスペヒーが流血して、近藤のTKO勝ち。近藤は恐ろしいほど成長している。誰もが苦戦すると思われたスペーヒー戦をこんなに簡単にクリアーするとは。スペーヒーが上になって押さえ込まず足関節を取りにいったのに助けられたとはいえ、相手の領域であるグランドで主導権を握らせなかった。
 近藤のスタンドをキープする能力は凄い。テイクダウンを簡単にはさせないし、下になってもすぐ立ち上がり自分が不利な体勢にさせない。これでスペーヒーはだいぶスタミナを消費していた。そして上になれば抜群の破壊力を秘める膝とパウンド。特に普段パンクラスルールで使えないグランドでの膝の的確さと破壊力は凄い。タックルをがぶっての百瀬殺しも最強。
 次はニンジャ、アローナ、ジャクソン、ダンヘンの誰かかな。それをクリアーしたら、文句なしで次はシウバ戦でしょう。むしろいきなりやらせてもよし。それか桜庭。難敵スペーヒーをクリアーしたんだから、希望の相手とやらせてあげたい。近藤は最高だった。
第9試合
田村潔司 vs ロニー・セフォー
 総合初挑戦の相手に教科書どおりの逆十字。田村ファンだけど金魚に勝ってもあまり喜べないな。田村は日本人対決をするべきだ。
 次は桜庭戦かと思いきや、コメントでは「ホイスとやりたい」と言ってる。田村らしいな。
第10試合
桜庭和志 vs アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ
 お互いスタンドでの攻防が中心。2Rにホジェリオの三角が極まりかかるが、うまく耐えて脱出。3Rにホジェリオのパンチが徐々に当たりだして、桜庭グロッキー。意地でも倒れなかったのは凄い。判定でホジェリオ勝利。いい試合だった。
 やはりスタンドでもグランドでも主導権を握れないホジェリオ相手では苦しかった。スウェーでパンチをよける動作は相変らず危なっかしい。この敗戦はしょうがない。ヘビーを含めてもホジェリオ相手にここまで戦える日本人はそういない。桜庭はやはり地力はある。体調が万全ではないのにホジェリオ戦を受けた勇気を称えたい。
  ただもう体重を落として自分のベストの階級でやって欲しい。その方が本人、DSE,ファンにとってもいいと思う。とりあえず次は日本人との対決が観たい。その前にしばらくは休養するべきだが。
総括
晦日格闘技興行のなかで一番面白かった。MVPは近藤。次につなげてくれた。ぜひシウバ戦が観たい。小池栄子は「パンクラスというが本当に強い団体なんだと気になりました」と珍しくいいことを言っていた。お茶の間にもこう届いているといいな。