川崎vs磐田

川崎フロンターレ 3 - 4 ジュビロ磐田 
'15 我那覇和樹(川崎F)、'37 福西崇史(磐田)、'51 ジュニーニョ(川崎F)、'57 カレンロバート(磐田)、'78 中山雅史(磐田)、'87 前田遼一(磐田)、'88 我那覇和樹(川崎F)

ジュビロの今シーズンのベストゲーム。というかここ2シーズンでもベストに推したい。強い相手に主体性を持って攻め勝てたのは久しぶり。ぶっちゃけバカゲームだったけど、優勝争い中の強豪チーム相手に打ち合いを制すのは気持ちが良いね。こういう試合を見ると、雨の中で濡れてもまた行きたくなる。わざわざ映像でも見返してしまったよ。

ジュビロ磐田
川口能活鈴木秀人田中誠金珍圭服部年宏太田吉彰菊地直哉(71分茶野隆行)、上田康太福西崇史(83分犬塚友輔)、カレンロバート(64分中山雅史)、前田遼一

ジュビロはチーム№1の直接フリーキッカーであるボランチファブリシオが累積警告、西と成岡が一ヶ月以上の怪我で離脱し、前節に途中出場でゴールを決めた船谷も体調不良で欠場。非常にやり繰りが苦しい状況。そんな中、試合ごとにチーム構成を変えるアジウソン監督が、前節の爆発の大きな要因だった前田、カレンの2トップと、太田、秀人の共存を維持してくれたのは大きい。

川崎フロンターレ
相澤貴志箕輪義信寺田周平(63分米山篤志)、伊藤宏樹森勇介谷口博之原田拓(70分マギヌン)、マルコン、今野章(46分中村憲剛)、我那覇和樹ジュニーニョ

前節の神奈川ダービーの雑感で書いたように、川崎のキーマンは中盤の底から試合を組み立てるの中村憲剛。なんと関塚監督は、ミッドウィークのナビスコ準決勝千葉戦と、来週のガンバ戦を見越してか、その中村とトップ下のマギヌンを温存。今のジュビロならこの布陣でも勝てると踏んだんだろうか。舐められたものだ。もう山本監督はいないのだよ。



神奈川ダービー雑感で注目すると書いたお互いのボランチ比較。中村の代役の原田は、利き足での正確なキック精度こそ中村に匹敵する物があるけれど、それ以外の能力は数段身劣る印象。特にゲームをコントロールする構成力は雲泥の差。

相方の谷口との連係やバランス感も悪く、中村&谷口のJ屈指のダブルボランチの機能性とは比べ物にならなかった。そしてこれがチーム全体の大きな影響を及ぼす。中村不在時は、ポゼッションからの主体性ある攻撃が殆ど機能しなかった。

対するジュビロは、マルコンをケアする為に右に位置する事の多かった菊地と、中盤の底でパスを散す上田のバランスが良かった。ボールスキルやキック精度のある上田がバランスをとって展開役となり、フィジカルに強い菊地がマーキングとサイドのカバー、アグレッシブに上下動を繰り返し攻守に絡む。コンビとして相互補完性に優れている。これが菊地+ファブリシオになるとイマイチなので、2年目の上田の台頭は大きい。

本職のボランチというより、上がり目に位置した福西は効果的な攻撃参加を見せた。それに谷口が引っ張られた為、中盤での主導権争いで優位に立てた。守備に多少の不安がある上田の所を、シャドープレーの巧いマギヌンに突かれたら嫌だったのだけれど、相手のトップ下は今野*1は攻守で機能性が薄く、ポゼッション・メーカーである上田がある程度楽にパスを散せたのも大きかった。

序盤はジュビロペース。


ただ良い流れが得点に結びつかない。それどころかボールを自陣で奪われるミスから、DFの寄せの甘さを突かれて、我那覇のミドルで先制点を決められてしまう。快速ジュニーニョを軸としたカウンターの得意な川崎相手に、先制されるのは致命的なだけに、展開としては最悪。

良い流れで試合を進めても、先制されるとがくっとリズムを落としてしまうことが多かった最近のジュビロなので、今後の展開が不安になったけれど、今日は怯まず主体性を持って相手を崩す事が出来ていたので、ある程度安心して見られた。ただ決定機を決められないのは相変わらず。前節の7ゴールが出来すぎ。

ようやく菊地のスルーパスから右サイドを抜け出した太田がクロス、GKのパンチングのこぼれを福西が決めて同点。その後もジュビロペースで前半終了。でもこの時点の同点は反省点の方が大きい。中村のいない川崎なら、はっきり言って前半で試合を決めなくてはならなかった。福西の機を見た攻撃参加はかなり効果的だったけれど、決定機にシュートを外しすぎ。案の定、中村が後半から出てきて、嫌な予感が漂う。

後半開始早々に、いきなり中村から決定的なパスが繰り出される。プレーメーカーの中村が入り、川崎は別チームに変貌しだす。図らずも彼の存在感が浮き彫りになった。中盤でボールを受けて、パスを散してリズムをつくり、決定的なスルーパスミドルシュートも狙ってくる。その中村を誰が見るのか*2曖昧で、対面の上田もケアしきれず、逆に守備に追われてしまった事で、前半見せていた的確な展開が影を潜めてしまった。

前半は攻撃参加する福西のケアに精一杯だった谷口も、川崎がリズムを取り戻した事で、中村を中心にポゼッションする間にどんどん前に出ることが多くなり、決定機に絡んでくる。前半は最小限に抑えていた楔が、トップにも入るようになり、そこからの展開でジュビロは後手後手にまわる事が多くなった。

何とか川口の神セーブで水際で食い止めていたけれど、ジュビロの弱点であるセットプレーの連発を耐え切れず、とうとう最注意人物であるジュニーニョに決められてしまう。

ただ時間が経つに連れてスタミナ倍増した太田が、空きだしたスペースを前にますます存在感を増し、縦横無尽かつ神出鬼没な動き出しで川崎の守備をかき乱して、そこにボールを入れることによって、こちらのペースになる時間帯も増えてくる。両者決定機が増え、打ち合いの様相を呈してくる。

ここから点取り合戦。服部の左からのクロスを、カレンがニアに飛び込んで同点。秀人と鈴木の黄金コンビで右サイドを崩し、太田のシュートのこぼれ球が詰めていた前田に当たり、バーに跳ね返ったこぼれ球を、中山が頭で詰めて魂のゴンゴール

その後の川崎の猛攻。ジュニーニョや我那覇に決定機を作られる。それを川口を中心に何とか凌ぎきり、待望の4点目が生まれた。縦の出し入れでギャプを作って、素晴らしいスペースへのパス、飛び出した太田とDF・GKのも連れから、前田が詰めて勝負ありの2点差。ところが直後に我那覇に決められて一点差されてしまう。今日の我那覇は見事だったよ。代表に相応しい。


安全圏に入って集中力を欠いてしまう。効果的に逃げ切りの為の時間を稼げない。この辺が今のジュビロの力であり、経験のなさでもある。ボールキープしてファウルを貰えばいいのに、その後もなぜか5点目を狙ってしまうようなシーンが目立ち、安易にボールを失って攻め込まれてしまった。今日の状況なら、ロスタイムはタッチライン際で時間稼ぎが鉄則。5点目はいらない。


最後も猛攻を浴びてセットプレーから箕輪に決められるも、オフサイドに救われ*3、何とか勝利。

ポゼッションを維持してチームを押し上げられた事で、アジウソンの推進する流動的な攻撃が披露できた。前田への楔からの正確なポストプレー、太田の縦横無尽の飛び出し、福西の攻撃参加、上田の散しと、ジュビロが良い攻撃をする上での必須項目を遂行できたのが大きい。

ポゼッションからの崩しだけではなく、スペースに流れる太田を軸にサイドを狙ったカウンターが機能。今日は柔軟性があった。攻め込んでくる川崎のWBの裏・3バックの横のスペースは、左右問わず流動的に動く太田の独壇場。その太田の動きの量は圧巻、というかまあいつも通りなんだけど、相手左サイドのマルコンの裏を突いて、そこに菊地や秀人が絡んでの右サイド攻撃はかなり機能していた。


守備でもきっちり我那覇ジュニーニョをケアして、前を向いて自由にはさせない。終盤はチャンスを作られるも、マンマークベースの守備は、ある程度機能していた。前半戦の川崎戦では、プレスの掛からないゾーン守備が機能せず、ライン裏を一発のパスで簡単に抜け出されて失点したけど、そういうシーンもなかった。でも3失点は要反省。


中村不在の前半は中盤からボール供給も断って、高い位置で楔を断ち、出されてもカットしてカウンター。交互に中盤に下がった時は受けられたけど、危険地帯で連動した仕事はさせなかった。特にジュニーニョに対するマークを徹底して、ボールを受けようとした瞬間に複数で対応し、流れの中で個人技での決定打での失点は抑えた。代わりに我那覇にやられたけど。

森とマルコンのサイド攻撃も、菊地と服部を中心に最小限に抑えた。中村投入後に主体性をました川崎の怒涛の攻めに対する対応、セットプレーの守備は要修正点。


この試合では、前任者時代では考えられないような、チーム全体で主体性をもった攻撃、状況に応じてカウンターも繰り出せる柔軟性が見れた。リアクション的なサイド攻撃が主体だったシーズン前半から、攻撃面では確実に進化している。こういうサッカーが常時出来るなら、ガンバとレッズ以外には互角以上に渡り合えるでしょう。まだまだ先は長いけどね。

中村を欠いた前半は、ポゼッションから効果的な崩しが殆ど出来ていなかった。谷口も守備の時間が多くなり、持ち前の攻撃性は森とマルコンのサイドも封じられ、逆に裏を太田に狙われた。トップ下の今野もマギヌンほどボールを引き出せず。攻撃はセットプレーと2トップの個人技頼み。今シーズン身につけていたはずの、攻撃の主体性、柔軟性を失っていた。

後半に中村が投入されると、チームは見事に攻撃の機能性を取り戻した。ただ今日は守備が安定せず、特にGK相澤は雨のピッチコンディションに全く対応できず、キャッチングも安定を著しく欠いた。攻撃の始発点となる上田の展開と前田への楔の対応が甘く、カラータイマー点灯前の福西の攻撃参加や、縦横無尽に動き回る太田には最後まで翻弄された。前田への楔と、太田を警戒してくるのがジュビロを封じる一番の常套策なのだが*4、関塚監督は山本監督時のイメージで甘く見ていたのかな。


優勝争いしている川崎だけど、ガンバ、レッズの他の上位陣と比較すると、選手層とGKの質に大きな差を感じる。中盤のキーマンでいえば、ガンバは遠藤を温存したい試合でも勝ち切ったし、レッズはポンテが離脱しても大崩れしなかった。でも川崎は中村を欠くと攻撃の機能性は著しく低下してしまう。代役もいない。ジュニーニョも代えの効かない存在だろう。GKは川口との差が大きすぎた。雨に対応出来ていない。

ベストメンバーなら優勝争いに値するチームだけど、今後主力が怪我で離脱するような事態になると、ガンバとレッズに引き離されてしまいそう。今は代表が我那覇一人なので疲労負担が少ないので、案外助かっているのかもしれない。中村は呼んで欲しいけどね。

  • 選手評

今の過渡期のチーム状態だと、こういう気分良く書ける試合はそうないと思うので、選手評も追加。



川口
今日は良いの川口です。良いとき時なら間違いなく日本一のGK。3失点は全てノーチャンス。欲を言えば、GKとしてセットプレーの守備の建て直しにも尽力して欲しい。

マコ
的確なカバーリングが光った。ただミスから失点も招く。DFリーダーとして、セットプレーの守備は修正してもらいたい所。


アジウソン就任後のマンマークベースの守備にジュビロの守備陣は戸惑っている所があるけれど、金個人の資質としてはマンマークの方が向いている。ゾーンの方が頼りない。北京世代としては傑出した空中戦や対人の強さを見せてくれた。組み立ては下手だけど、時折り見せる正確なフィードも光った。ただ寄せの甘さでピンチも招く。

秀人
ほぼ完璧。J最高の快速アタッカーであるジュニーニョを、流れの中でよく抑えきった。往年の高速カバーも健在。太田との黄金コンビで右サイドを崩し、得点機も演出。アジウソンにはこれからも、秀人と太田の共存は維持して欲しい所。

服部
SBとしてトータル的な動きには課題も多いけれど、安定した守備とバランスとり、時折り見せる攻撃参加が光った。量を求めるのは酷か。カレンのゴールをアシストしたクロスは見事。ベテラン健在。ただし年齢的な問題もあるため、クラブは早急に左SBを補強する必要がある。クラブに本職左SBが一人もいないのは異常。村井が復帰すればコンバート試すのも1つの手。もしくは愛媛から松下のレンタルバック。完全移籍は勿体無い。新卒もアタッカーよりここを獲得して欲しい。浜名の松浦ってユースの中島と被らないか?

菊地
出足の早いチェックで守備に貢献。サイドに流れてマルコンを良く封じた。攻撃面でも積極的に攻め上がりアタッカー陣をフォローした。スペースへの展開も光った。ただボールサイドだけを見てしまって、マークを見失うシーンも散見された。これが改善されないと代表にはいけない。

上田
的確にリズム良くパスを散して、ボールと人を動かし、主体性のある攻撃の影の演出者となった。

2年目の選手で、これだけ落ち着いて長短のパスを散せる選手は希少。アジウソン就任後の彼の台頭で、それまでのチームに欠けていた*5ポゼッションの基盤となるリズムが復活した。視野が広く、俯瞰でピッチが見渡せているので、空いた場所を探すのが非常に巧い。運動量やポジショニングも中々で、スペースを良く埋めている。

ただボランチとしては守備面がまだまだ。特に対人がまだ弱い。展開の時でも、工夫しフリーでボールを受けている点は評価できるけど、対人に強い相手に寄せられた時にはボール逸、またはパスミスが目立つ。それで失点を招いた試合も2試合ほどあった。
攻撃面でさらに贅沢を言うなら、スペースがある時は積極的にボールを前に運んで、相手を引き付けてから展開できればさらに効果的。ボールを晒して相手を食い付かせて、タメを作ってからの展開もふやしたい。対面の中村に比べるとまだ青いかな。攻め上がりの回数も物足りないけど、バランサーとしての資質もあるので、ジュビロや五輪代表の他のMFの特徴を考えると、今のスタイルでも悪くないかもしれない。

仮メンバーとはいえ、U-21代表初選出おめ。ただボランチは最も層が厚いポジション。反町監督の好きなタイプではないと思うので、ベストメンバーでメンバー入りするのはまだまだ厳しいかな。ただサイズ信仰の強かった大熊政権よりは望みがある。


福西
攻守両面でかなり効いていた。効率の良い攻め上がりで前半の谷口を消せたのは大きい。キープ、展開、シュート*6と、オン・ザ・ボールの存在感は抜群で、鋭い前線の飛び出しや攻守におけるポジショニングなどオフ・ザ・ボールの質も秀逸。でも量だけが足りない。終盤はアリバイプレー多し。カラータイマーが切れるまでは日本最高峰の万能型MFだけど、今後もオシムには呼ばれないだろうね。でもチームには欠かせないキャラクター。


太田
チームの中心。相変わらずの90分尽きる事ない運動量で攻守に貢献。今やJリーグで最も走る男と評しても過言ではない。驚異的なスタミナとスピードを生かし、持ち前の正確なクロス*7、思い切りの良いシュートで3得点に絡んだ。右サイドに留まらずピッチ全体を縦横無尽に動き回り、積極的にスペースを突いていき、味方にもスペースを与えた。
味方をフォローしながら、自らも活きる太田の良さが良く出た試合だった。試合終盤の苦しい時間帯に、秀人が右サイドでボールを持った時の、遠回りした動き出しと追い越しスピードは尋常ではなかった。そこから生まれた3点目。4点目の飛び出しも見事。欲をいえば1対1のドリブル突破、ピッチと相手GKを考えるとミドルはもっと仕掛けても良かった。後はポジショニングね。圧倒的運動量でカバーしているけど、まだ無駄が多い。プレーの正確性ももっと磨いて欲しい。

個人的MOM。まあでもこれがベストではない。良い時の太田はもっととんでもない。でも、深夜にマルセイユリベリーの効果的な活動量を見てたら、太田もまだまだ青いね。チームで一番巧くて打開力のある選手が、チームで一番効果的に走っている。日本人は見習いたい。ありゃビッグクラブでも即通用するわ。

代表はどうだろう。オシムは試合中の柔軟な布陣変更を可能とするために、SBを兼任できないサイドアタッカー*8を呼ばないので、かなり厳しいと思う。ただ今日のパフォーマンスを常時続けていれば、まだ若いしいずれチャンスは来るでしょう。オシム御前試合の大宮戦のような出来なら呼ばれない。

カレン
流れの中で消えるシーンも目立ったが、持ち前の献身性でチームに貢献した。楔も良く受けにきて、前田ほどでないにしろポストワークも安定していた。ニアに飛び込んだ2点目のゴールは見事。スピードはあるんだし、川崎の守備陣はスピードには欠けるんだから、もっとミスを恐れず積極的にドリブルで仕掛けて欲しい。シュートも打つべし。


前田

正確なポストプレーで、前線の基点として機能した。ボールの引き出し、チェイシングなど献身的な活動量でも攻守に貢献。アジウソンに求められているポジショニングも良かった*9。決勝ゴールは殊勲。
でももっとゴールできたはず。相変わらずバーかポストに当ててしまう*10。良いミドルも持っているんだから、今日のピッチ状態と相手GKの能力を考えると、もっと積極的に打つべき。

代表はまだまだだね。ゴール数でまだ我那覇や巻*11には及ばないので、登録止まりの今の立場は妥当。全体的なプレーの質は良いから、結果さえ継続して出せれば代表も遠くないと思う。でもライバルは多いので厳しいね。ブンデスを見ると、高原にはまだ及ばない*12

中山
久し振りのゴンゴール。よく押し込んだ。豊富な運動量と動き出しの質でも貢献。終了間際の決定機は、時間稼ぎしないなら、しっかり太田へ通してもらいたかったかな。試合後のサービスは改めて凄い。脱帽ですよ。

なんか世界クラブ選手権の集客テコ入れのために、昨年のカズに続き中山が狙われそうだけど、中山は広告塔ではなく即戦力なので出す必要はない。2トップを基本線にするとなると、FWの枚数は足りないからね。川渕は中田復帰とか妄言に勤しんでいてください。

茶野
戦術上の交代で、自らの役目を良く果たした。ただこの交代自体は疑問もあった事は確か。でも結果オーライ。

犬塚
プレー時間が少なかったので評価不能。なんかマークが曖昧だった気がする。もし谷口が担当だったのなら失格。終了間際のシーンでは、安易にクロスを上げずに右サイドでキープすべきだった。

アジウソン
今日の采配は悪くなかったと思う。2トップ維持と、ゴン投入は大正解。茶野と犬塚の投入はどうかと思ったけど。結果的には悪くなかった。マンマークベースの守備ブロックを敷いて、前線の選手の守備負担を減らし、流動的に攻めるという狙いは嵌った。離脱者続出でも巧くやり繰りした。

最近はアジウソンに対する風当たりが厳しすぎるように感じる。微妙に感じる点も多いけど、個人的には、就任時に書いたように、降格争い争い限り、今は温かく見守るスタンス。プレーするのはあくまで選手で、そんな簡単にチームは強くならない。。監督交代した他のチームを見れば分かるように*13、シーズン途中の交代はもの凄く難しい。しかも前任者が突然の辞任からWC解説者転身で、アジウソンは準備も殆ど出来なかったわけだしね。

要望としは、あんまり相手によって陣容を変えないで、ここ数戦で好調の布陣を維持して欲しい。前田の1トップではなく2トップ、太田と秀人は右で共存させたの方が機能するのは確実。それ以外は自由にやって良いと思います。

前任者がカオスを招いた状況で、シーズン途中に就任してきて、しかも目指すサッカーのスタイル正反対。フロントが確固たるビジョンもなく単にOBだから連れてきただけ。その難しい状況でチームを上向きにしているのは評価したい。

シーズン途中の就任で選手個々の見極めの時間は足りなかったと思うけど、適正の見極めは、カレン1トップ下の名波を置いた前任者より遥かにあると思う。攻撃面は確実に良化した。セットプレーの守備は要改善。

*1:実はジュビロ出身。今日の川崎には箕輪も合わせて2人もジュビロでプロ生活を始めた選手がいた。

*2:マンマークするなら、中村こそ真っ先にマークしなければならなかったと思う。

*3:これは正当なオフサイドだったんだけど、このときのジュビロのセットプレーの対応は酷すぎ。中村のプレスキックに、押し上げてオフサイドをかけている選手と、マークに付いていっている選手が混在している。セットプレーも守備がお粗末すぎる。意思統一さえ出来ていない。試合通しての内容では優っていたけれど、スコアは同点でもおかしくなかった。

*4:清水にはそれをやられた。

*5:名波が適正外の1トップ下で使われて、それ以降控えになってからは、安定して的確にパスを配給できる選手がいなくなってしまった。代役として期待された成岡はシャドーであってそういうタイプではないし、船谷はムラがあってより一発を狙ったパスで局面打開したがるタイプ。どちらもボランチには向いていない。

*6:まあ今日は入らなかったけど、いいシュートは何回もあったし、一点決めたのは殊勲。

*7:Jリーグに快速右サイドの選手は他のも良い選手がいるけど、クロスの正確な選手は少ないと思う。

*8:現に今の代表のサイドプレーヤーである加地、駒野、隼磨に、エキストラキッカーのサントスは、全員SBの経験がある。逆に東京の石川などSB経験のない選手は結果を出しているが呼ばれていない。

*9:福西の1点目、中山の3点目を導き出したのも、直前のポジショニングが良かったから。4点目はごっつぁんだったけど、あの位置に走っていたことが大きい。

*10:今シーズンは何回当てているんだろう。数えてないので正確にはわからないけど、今シーズンのJリーグで一番当てている選手かもしれない。

*11:比較対照としてはこの二人。寿人と達也はタイプが違う。

*12:高原は世界基準で見ると厳しいけど、日本人の中では依然上位のFWだと思う。レバークーゼン相手のゴールは評価すべき。まあもう一点決めれたけど。ブンデスやフル代表(ドイツ戦ではよかったのに、そこで怪我して体調不良のWCでイマイチだったのは勿体無い。まあ自業自得といえばそれまでだけど。)という高レベルの場でプレーしているから過小評価されがちだけど、Jのヌルイ守備なら余裕で二桁とりそう。日本人FWで彼を明らかに凌駕するのは、コンディション良好時の久保くらいじゃないかな。でもアマナディウスとトゥルクがいるフランクフルトで常時レギュラーは厳しいから、日本代表は遠いかな。

*13:福岡とか、4-4のゾーン守備だけはJ1クラスで、金をFWの補強に使ったら何とか勝ち点積み上げ出来ただろうに、新監督が守備体系までいじって停滞し、それを戻したら古賀みたいな良いSHを干して、SBやセカンドトップをSHに使って、今度はダブルボランチが2トップをやったりと、崩壊しかかってる。東京もジェフもセレッソも苦労している。うまくいってるのはサンフレッチェくらいかな。マリノスもそうか。