イエメン戦メンバー

GK: 川口能活(磐田)、山岸範宏(浦和)
DF: 三都主アレサンドロ(浦和)、坪井慶介(浦和)、加地亮(G大阪)、田中マルクス闘莉王(浦和)、駒野友一(広島)
MF: 中村直志(名古屋)、羽生直剛(千葉)、遠藤保仁(G大阪)、鈴木啓太(浦和)、阿部勇樹(千葉)、山瀬功治(横浜)、佐藤勇人(千葉)、田中隼磨(横浜)、小林大悟(大宮)、長谷部誠(浦和)
FW: 巻誠一郎(千葉)、我那覇和樹(川崎)、佐藤寿人(広島)、田中達也(浦和)、坂田大輔(横浜)

トリニダード・トバゴ戦の19人から、今野、栗原、青山が外れた。追加召集はA3勢から、ガンバは遠藤、加地の2人、ジェフは阿部、巻、羽生、佐藤勇の4人、合計22人となった。鹿島からは0人。WCメンバーの宮本、小笠原、柳沢は不選出*1


これが現時点での国内組みのオシムジャパンのベースでしょう。本職CBは2人か*2オシムの好みが如実に出たメンバー構成になっている。結局WCメンバーから残ったのは7人。他国のWC後の新代表のメンバー構成を見ても、1ヶ月でここまで変わるのは珍しい。鹿島から0人ってのも久しぶり。


最初の13+5+1名の発表は意外性もあったけど、今回は順当な選出になりましたね。追加された6人はJリーグで代表に相応しい活躍をしている*3。ジェフで状況に応じて様々なポジション・役割をこなしている阿部が、代表でもキーマンになりそう。CBの枚数の少なさも、ユーティリティ性のある阿部がいるからこそでしょう。


初招集選手は羽生*4と佐藤勇。2人ともオシムの率いたジェフの主力選手で、オシムの志向するサッカーへの適応性では文句なし。羽生はシャードタイプのトップ下。運動量、フリーランニングの質に関してはリーグ屈指で、FWを追い越してゴールに絡んでくる。佐藤勇は攻撃参加を得意とする得点力のあるボランチ。中盤を激しくアップダウンして、自陣と相手ゴール前を行き来し、攻守両面に貢献する。2人とも相手を引き付ける為の無駄走りも厭わない献身性に優れたタイプ。そしてフィジカルやサイズ的な部分では少なからず劣る面はある。

特に日本人のサッカーということを考えた場合、日本人が筋骨隆々、あるいは長身の選手の選手ぞろいではないがゆえに非常に大事な問題だと思います。ですから1対1の勝負という点では不利な点が出てくるわけです。相手よりもどれだけ多く走れるかというところで勝負しなくてはいけません。
http://www.jsgoal.jp/news/00036000/00036534.html

そういうサイズやフィジカル面をハンディとしないための、「考えて走る」という点でモデルとなる2人だと思う。技術的にも飛びぬけているわけではないけど、それ以外の部分でチームに貢献できる。


ただ、オシムはけして「技術軽視*5」や「フィジカル軽視」をしているわけではない。ただ日本の中でテクニシャンや長身選手であっても、世界に出ればその部分での優位性を薄れるわけだから、最低限の「適切な判断を伴なった走り」が量と質の面で満たされていなければ、世界の舞台では通用しないし、代表には選ばないというメッセージでしょう。オシムの申し子だからといって、ジェフの選手が今後も大量召集される保障はない。多くの選手にチャンスはあると思う。アレックスや中村直志を選んでいるわけだから、4年後に30歳を超える中堅選手にもチャンスはある。



トップ下の人選で、小笠原や小野が外れて*6、山瀬と羽生が選ばれたのはオシムの好む人材を象徴している。パス精度、展開力、キープ力に優れた司令塔タイプよりも、運動量、オフザボールの質に優れていて、トップを追い越すプレーの得意なシャドータイプが選ばれている*7オシムの志向するサッカーを考えると、この召集傾向は筋が通っている*8


中盤の人選も、運動量や機動力に長けた人材ばかり。展開タイプは遠藤だけ。召集が噂されていた中村憲剛も展開タイプなので、遠藤との比較で落とされたんだと思う。長谷部、中村直志らに比べると、運動量や機動力、ユーティリティ性の面で欠ける。ただ走らない選手ではないので、今後の活躍次第で十分チャンスはあるでしょうね。


こういう召集傾向を見ると、俊輔の取捨選択が気になる。現状では当落線上かもしれない。ただオシムはテクニシャンはけして軽視しない*9し、膠着状況を打開する創造性も重要と認識しているはず。日本にストイコビッチがいれば絶対に中心選手として使うだろうし、スシッチも召集するでしょう。重要なのはタイプの問題ではなく、絶対能力やパフォーマンスの問題*10。「考えて走る」面で最低限の水準を満たしていれば、少しくらい機動力、運動量、守備力が欠けていても、それ以外の部分でチームに貢献できれば召集するでしょうね。


ただオシムは松井を重用にするような事を匂わしているので、俊輔と松井の共存となると微妙。先発で使うとしたらどちらか一人、そして現時点では松井を優先しそうな気はする*11。なんにしても俊輔が呼ばれなかったらマスコミは騒ぎそうだし、オシムも一部から叩かれるでしょうね。



今後オシムが呼びそうな代表未経験選手の考察についても、いずれやりたいと思います。

*1:この3人の有名選手の落選も騒がれそうだけど、別に不当とは思わない。宮本はJリーグでもA3でも対人能力に不安を露呈しているし、柳沢は再開後無得点、昨日のジュビロ戦でも決定機を外しまくっていた。現時点では妥当。小笠原はタイプ的にオシムの求めるトップ下ではないんでしょう。

*2:これはちょっと少ないと思うけど、オシムがイエメン戦ではこれで十分と判断しただけで、今後は増える事もあるでしょう。外れた栗原と青山がポテンシャル枠だとして、現能力で考えると、鹿島の岩政、川崎の伊藤、ガンバの山口あたりが候補か。引退しなきゃ文句なしで中澤だろうけど。個人的には青山を育てて欲しい。

*3:遠藤はジーコジャパンでの出来はイマイチだったから、代表しか見ない人からは懐疑的な声もあるだろうけど、Jリーグでの継続した活躍は日本人トップだと思う。ガンバでの存在感は圧倒的。ゲームコントロールも、この22人の中では一番うまいでしょうね。

*4:羽生は召集だけなら一度あったかもしれない。追記。登録だけだった模様。

*5:そもそも技術を軽視していたら、小林大は選ばれていない。走りの量や質でいえば、大悟を上回っている日本人はいると思う。

*6:小笠原の非召集で「Jリーグ軽視」とか言ってる人がいたけど、昨日のジュビロ戦を見たら不選出も仕方ない。プレースタイル以前に、やる気がなさすぎ。たぶんメッシーナとの移籍話がこじれていると思う。やる気を取り戻せばチャンスもあるでしょう。小野も最近はやる気ないなーと思ってたけど、昨日は悪くなかったみたい。でもタイプ的にオシムの求めている人材ではないので、よほど傑出した活躍をしないと厳しいかもしれない。でもノーチャンスではないと思う。

*7:まあ山瀬は万能性もあるけど。

*8:北京世代でいうと、梶山や本田より、梅崎や枝村の方が飛び級の可能性がある。

*9:軽視していたら小林大悟は呼んでいない。

*10:中途半端な似非ファンタジスタは使わないと思う。

*11:松井のルマンので2試合とも見ているけど、攻守における運動量もあるし、あの技術と創造性は日本代表の中で重要なアクセントになるはず。