4年間への愚痴

試合終了。以下はただの愚痴。無責任な素人の偏向意見を真に受けないように。


日本の敗退が決定。普通に実力負け。コンフェデと真剣勝負のワールドカップはやはり別物だった。日本サッカーの力では、どの監督がどんな日本人選手を率いても、どんな戦略・戦術で挑んでも、ブラジル相手に2点差で勝つのは難しいだろうから、この試合でどうこうっていうのは別にないです。チーム力の圧倒的大差を考えると、一瞬でも可能性を感じさせた事は評価したい。お疲れ様でした。


やはりオーストラリアに負けた初戦が明暗を分けたと思う。ブラジルに2点差以上で勝たなけらばいけない状況を招いてしまった事が問題。

そしてグループリーグ敗退という結果が全てでしょう。WCで決勝トーナメントに進出する事はそんな簡単な物ではないので、敗退する事は仕方ないとしても、勝ち点1・得点2失点7でグループ最下位、試合内容もWC出場チーム中で最下位レベルだったのは大きな失望*1


敗因は色々あって一つには絞れない。既に非難されている選手個々の能力不足も勿論原因の一つ。選手をスケープゴートにして叩く*2風潮が強い日本では、今後もずっと非難されていくでしょうね。外人監督は任期を終えて帰国・転職をすれば済むけれど、選手達は今後も代表に関っていく。背負ってしまったモノは大きい。プレーだけでなく、組織・戦術構築まで任された中、よく頑張ったと思うけど、ある程度の非難も仕方ないんでしょうな。*3


でも一番の敗因は、4年間の代表強化の積み重ねの問題だと思う。特定の戦犯はいない。スタートとなる監督選考からの躓き、そして自浄作用も働かなかった日本サッカー全体*4の問題ですな。ジーコの標榜する「自由」を皆でもてはやし、欠陥をひたすら放置してきたツケを本番で払う事になっただけに過ぎない。


個人技・個人戦術に長けた強豪国ならまだしも*5、個で劣る日本が組織を軽視して、選手任せにしてきた結果がこれ。チームとしての共通意識、特に守備組織を選手達による話し合いで作れるはずもなかった。アジアで通用しても世界では無謀。というのはいまさらですが。これらの問題が4年間放置されたのは恐ろしい。

プレスの位置・タイミングとDFラインコントロールの連動性、共通意識、その剥離によって生じる間延びした中盤・がら空きのバイタルエリアは最後まで改善されず。それは守備だけでなく、攻撃にも悪影響を及ぼす。空いたバイタルエリアを狙われて*6、雨霰のような被シュート数。そりゃ勝てるわけない。


チーム方針以前の、各種チームマネジメントにも問題が多かった。オーストラリア戦の小野投入ミスで、監督の采配面が槍玉に挙げられているけれど、それ以上に4年間の強化過程の方が問題だったと思う。選手選考*7、戦術的柔軟性のなさ、相手の力関係・状況に関係なく無策で挑むチーム戦略のなさ、試合で噴出した課題を改善していく具体的な方法論*8、本番を見据えて逆算するチーム作りが出来ない、その時その時のスタメンの話し合いで作られる場当たり的なチーム強化etc。詳細は省略。


「自由」についての解釈。個を前面に出し、状況に応じて選手個々で判断していくのはサッカーにおいて重要。その方針自体は間違いではない。特にチームとしての強化期間の限られている代表レベルでは、それを重視してチーム強化する国も少なくはない。でも日本は、それと組織戦術を融合させる事を怠りすぎたと思う。最低限レベルの約束事や戦術的規律は必要。どんな強豪国でさえやっていること。

「個」と「組織」は、まるで「水と油」のように対立する物として語られがちけれど、個を最大限に生かすための組織力というものは間違いなくある。組織的にする事=没個性ではない。そして選手の個性が、組織にも彩りを加える*9。それぞれの長所を活かして、欠点は相互補完する形でのチーム作りが重要*10

攻撃と守備も同じ。表裏一体。安定した守備組織がなければ、自由に攻撃できるはずもない。高い位置でボールを奪えないとチャンスも限られるし、ラインが下がって中盤が間延びしてはパスもつなげない。攻撃がうまくいかなければ、悪い状態でボールの奪われて、守備にも悪影響を及ぼす。

相乗効果を及ぼす2つを共存させてこそ、勝てるチームへの道程だと思う。組織を伸ばせとか、個を伸ばせとか、攻撃・守備、どちらかに偏る傾向があるけど、どちらも連携して伸ばすことこそ重要。というか当たり前。



それに、選手の自主性に比重を置いたサッカーを志向している監督は。何もジーコだけではない。もっと手腕に長けていて経験豊富な監督はいくらでもいたはず。そういう方針の監督が世界中にジーコしかいないなら、ジーコを監督に選ぶという選択や、それを全面支持する人達の気持ちも分かるけれど、現実はそうではない。なぜ経験もない人物が監督に据えられて、そして多くのサッカー解説者・ライターがそれを支持し、国民の人気もあったのか、最後まで理解不能だった。サッカー観の違いなので否定するつもりまでないですが。


他にも問題は色々あるけれど、4年間の失敗を今後に生かせれば、というほかないですね。とりあえずジーコを選んだ人達は何かしらの責任を取るべきでしょう。ジーコの自由を賞賛していたマスメディアの責任も大きいでしょうね。



ジーコが日本の監督をして正解だった、成功だったという意見は、今でもまだあるんだろうか。この4年間が失敗だったとは思いたくはないけれど、過ちを認める事も、前に進む為には必要。少なからず得た物もあるんだし、この先の代表強化に活かして欲しいですね。得たものについては誰かエライ人が書いてください。ここはただの愚痴なのでね。


数多くの怒りと失望、ほんの僅かな歓喜と希望を提供してくれたこの4年間、最後は悲しかったね。なんかむなしさが残ったよ。


日本サッカー史上最高のタレントを揃えたジーコジャパンは、真剣勝負の本大会でチームとして機能する事はなく、世界を驚かす日本らしいサッカーを披露することもなく、1分2敗得失点差-5の惨敗に終わった……。

*1:ブラジル以外は強豪のいない中程度のグループだったのに、3試合で枠内に打たれたシュート本数はかなりのもの。如何に守備組織がなかったのか。そしてこちらの枠内シュート数の少なさも深刻。

*2:8年前に水をかけられた城とかね。

*3:特にDFリーダーとして守備組織構築を任された宮本の負担は相当のものだったと思う。松田のジーコジャパンの守備練習について語ったインタビューを見て、彼の負担の大きさには同情した。

*4:監督と選手だけでなく、協会、マスメディア、ファン。協会もメディアも大衆もジーコを支持していたわけだから。

*5:ただし、日本より遥かに個に優れた強豪国でも、日本よりチーム戦術・戦略に優れている。

*6:もちろん詰め切れない選手個々の問題もあるけれど

*7:序列に縛られて旬の新戦力を試さない、次世代の発掘をしない。役割の被る選手を揃え、膠着時に流れを変えられる局面打開に長けた駒、リードして劣勢時に逃げ切る為の守備的な駒など、多様性・柔軟性に欠けた最終選考。

*8:得点力不足をシュート練習で補うって、それはどこの小学校ですか。クロアチア戦でサントスが上げたクロスに誰も詰めてなかった件、荒れは神前試合で何度も見たことを繰り返しただけ、それをチームとして改善するために、練習でクロスに対してニアに飛び込むことを鉄則とするパターン練習を繰り返すとかが必要。それをシュート練習だけで補おうとするのは、ただの現実逃避。

*9:勿論、より良い組織確立のためには個を伸ばすことも必要。でもそれは当たり前のことで、わざわざ声高に言う必要もないと思うけど。特長を活かす」

*10:選手個々の特徴も相互補完が必要。ピルロリケルメジダンをフォローするために、中盤には守備に長けた選手や、ボールレシーブの質・量に優れた選手をおいて、彼らの欠陥を補完しながら、長所をより際立たせる。中盤にパサーばかり並べて、自由にやれでは何も生まれない。自由はあっても選択肢が狭すぎ。