決勝ラウンド1回戦
チェルシー:
チェフ;パウロ・フェレイラ、リカルド・カルヴァーリョ、テリー、デル・オルノ(37分)、マケレレ、ランパード、ジョー・コール(40分ジェレミ)、ロッベン(78分S・ライト・フィリップス)、グジョンセン、クレスポ(46分ドログバ)
バルセロナ:
ビクトル・バルデス;オレゲル、マルケス、プジョル、ファン・ブロンクホルスト(69分シルヴィーニョ)、エジミウソン、モッタ(65分ラーション)、デコ(84分イニエスタ)、ロナウジーニョ、メッシ、エトー
昨年とは違いバルセロナがチェルシーのアウェーに乗り込んだ第1戦。カンプノウに比べ幅が狭く荒れたピッチが特徴のスタンフォード・ブリッジ。さらにバルサのパスワークを防ぐために、試合前にモウリーニョの指示で水撒きを行ったらしく、ピッチに水溜りが浮かぶような最悪のコンディション。試合前に既に勝負は始まっていた。
バルサはサイドのスペースを突かれまくった昨年をの轍を踏まないためか、右SBには本来CBのオレゲール、ロナウジーニョの後方の左インサイドハーフには怪我のシャビの代わりに守備に優れたモッタを置いた。通常時のハイラインを維持して前線からガンガンプレッシャーをかけるのではなく、ラインは通常時より若干深めで、チェルシーのカウンターをケアしながら試合に入った。
2人のCBと中盤の底のアンカー以外の全てが攻撃参加するリーガでの試合と違い、両SBの上がりを少々自重し、序盤はアタッカー陣の個人技を中心に攻めるバルサ。カウンターをケアしながらも、流動的なポゼッションサッカーで試合のペースを握る。ただし堅守の前に最後の詰めが決めきれない。
いつもはロナウジーニョとエトーのコンビネーションだけで崩していけるバルサだが、そこは流石にチェルシー。ハードマークでロネウジーニョとエトーの脅威を最小限に押さえる。そこで輝いたのが天才リオネル・メッシ。
この試合では右ウインガーのメッシがキレキレで、相手左サイドのデルオルノをチンチンにしてしまった。10代の若者を全く止められない焦りがプレーを雑にし、警告レベルのラフプレーが増える。37分にロッベンを華麗に交わしたメッシを体ごとつぶしてしまい、痛恨の一発レッド。このプレーだけ見れば厳しい裁定だが、それ以前のラフプレーと合わせてあわせ一本と考えれば妥当か。
この退場劇により、チェルシーはウインガーのジョー・コールを下げ、守備的なジェレミをSBに投入。早い時間帯で片翼を失ってしまい、バルサのサイドの裏を突くカウンターの脅威が半減してしまった。デルオルノが退場により、数的有利が生まれリスクが軽減されたため、ここからバルサが本来の攻撃モードに移り始める。が、チェルシーの集中した守備の前に思うように攻め込めない。
チェルシーは数的不利になっても鬼気迫る守備でバルサの攻めを耐え凌ぎ、攻撃は主にロッベンの高速ドリブルを活かしたカウンターと、伝家の宝刀であるセットプレーに託した。数的不利でも互角に渡り合うのはさすがといったところ。そして59分、ロッベンがオレゲールからファウルを貰い、セットプレーからモッタのオウンゴールでチェルシーが先制。
数的不利の中セットプレーで先制し、このまま守りきりたいチェルシー。チェルシーがさらに守備を固めるのは明白で、バルサは厳しい状況に託される。ここでライカールトはモッタに代えてFWのラーションを投入。エトー、ラーション、メッシの3トップに、ロナウジーニョをトップ下のポジションに置いた超攻撃的な布陣。このライカールトの采配が嵌った。
その投入されたラーションが倒されて得たセットプレー。ロナウジーニョのFKを、バルサの猛攻を水際で防いでいたテリーがオウンゴールしてしまい同点。お互いオウンゴールという思いもよらない形で1-1と試合は振り出しになった。
そして後半35分、マルケスがダイレクトで入れたクロスをエトーがヘッドで決めて逆転。このプレーを呼び込んだ直前のロナウジーニョの高速ラン・ウィズ・ザ・ボールが見事だった。試合終盤の苦しい時間帯で、あれだけの距離をスペースに向かってボール運べるのは強みだ。
そのままのスコアで試合終了。スタンフォード・ブリッジでの第1戦はバルセロナの勝利で終わった。チェルシーはホーム公式戦49戦無敗という記録が遂にストップ。
後半に強いチェルシーだが、この日は早くに数的不利となってしまったためいつもより疲れがうかがえた。プレッシングにいつもの激しさがなくなり、片翼を失ってカウンターの脅威も半減し、バルサの攻撃を耐え凌ぐのが精一杯になってしまった。いかに堅守速攻を誇るチームとはいえ、数的不利でカウンターの脅威が半減してしまっては厳しい。やはりデル・オルノの退場は痛恨だった。
マン・オブ・ザ・マッチはリオネル・メッシ。ボールコントロールの難しい悪条件のピッチ、そして堅守チェルシー相手でも色褪せる事のない驚異的な局面打開力。トップスピードでのボールコントロールは既に世界最高峰。末恐ろしい18歳だ。デル・オルノでは相手にならなかった。第2戦、モウリーニョは対面に誰を配してくるのだろうか。
他にもバルサは、守備だけでなくビルドアップに貢献したマルケス、途中投入で前線で基点になってリズムを変えたラーション、攻守にバランス良く貢献したデコが良かった。ハードマークに苦しめられたが、要所で仕事をしたロナウジーニョとエトーもさすがといったところ。
チェルシーは鬼気迫る守備を見せたチェフ、テリー、カルバーリョ、類稀なテクニックでボールを落ち着けたグジョンセン、サイドを切り裂いたロッベンが良かった。カンプノウでのキーマンはやはりロッベンだろう。オレゲールではやはり止められない。この日は珍しく不調だったランパードにも期待。
簡単に第2戦を展望すると、バルサがホームでいつものアタッキング・サッカーを貫くのか、この試合の序盤よりもさらにリスクを軽減したゲームプランで臨むのか。アドバンテージを得た第2戦を守備的なゲームプランで迎えるのは常套策だが、バルサは守って勝つチームではない。ましてや舞台はカンプノウ。それによってチェルシーの出方も変わってくるだろう。
アウェーで先勝したバルサ優位は揺ぎ無いが、モウリーニョがこのまま負け犬の遠吠えで終わるとは思えない。必ず何か策を弄してくるだろう。オレゲールがゴール付近でロッベンを止められず、ランパードのセットプレーで先制されたとなると、状況は全く分からなくなる。数的同数でリードすれば、チェルシーのカウンターは最大限の威力を発揮するだろう。要注目だ。
事実上の決勝戦と謳われたこの試合。試合中に漂う緊張感が半端でなかった。どっかの代表マッチとは違い、思わず更新したくなるおもしろさ。やはりUEFAチャンピオンズ・リーグはおもしろい。第2戦はこの試合を上回るような名勝負を期待したい。
他の試合。全体的に簡易版。
◇ブレーメン 3−2 ユヴェントス
[得点] 39分:シュルツ、73分:ネドヴェド(ユ)、82分:トレゼゲ(ユ)、87分:ボロウスキ、90+2分:ミクー
これはおもしろかったねえ。ユーベ相手でも引かないブレーメンのアタッキングサッカーが爆発。相手GKがブッフォンでなかったら大勝していてもおかしくなかった。
第2戦。負けたとはいえユーベはアウェーゴール2得点がでかい。デッレアルピで1-0はお手の物だろう。ブレーメンはアドバンテージがあってのアウェーとはいえ、最後までアタキングサッカーを貫いて欲しい。
関係ないけど、この試合に日本とWCでやるクロアチア代表のレギュラーFWが活躍してました。クラスにッチ。日本ではほとんど無名に近いけど、世界レベルの優秀な万能型FW。マスコミもクラニチャル親子に騒ぐより、CLで活躍している選手も取り上げてみたら同かしら。
クラスニッチ クローゼ
ミクー
ボロウスキ フリンクス
バウマン
シュルツ オヴォモエラ
ナウド ファーレンホルスト
ヴィーゼ
質実剛健な3センターのバランスが良く、そこに天才パサーのミクーが彩りを加える。
ザンブロッタ欠場のため、相対的に見て両SBが弱い。この試合でもブレーメンの攻撃型SBに押し込まれてしまった。両サイドできるザンブロッタが復帰すれば片方は問題ないとして、もう片方のSSBが補強ポイントかな。
この試合ではカモラネージが不調。ここにマルキオンニ加入が決まっていたり、ホアキンを狙っているという噂もあるから、カペッロは右SHも補強ポイントとしているのかな。ネドベドも高齢だし、優秀なSHは確かに必要だ。ただユーベの攻撃面だけでなくSHには守備力も兼ね備えたバランスとのとれた人材が求められるので、最適な選手は中々見つからないだろう。
◇アヤックス 2−2 インテル
[得点] 16分:フンテラール、20分:ロサレス、49分:スタンコヴィッチ(イ)、86分:クルス(イ)
リーグで不調のアヤックスだけど、この日はピッチを広く使ったらしいサッカーを披露していた。
先制ゴールを決めたフンテラール。冬に移籍してきた次代のボックス型ストライカーですね。独力で局面打開するような派手さはないけど、フィジカルが強くて、ポジショニングも良く、ゴール前でも落ち着いてシュートを見目られる。数年後はビッグクラブに引き抜かれていそう。
序盤はダメダメだったインテルだけど、2失点喰らってからようやく火がついた。不調だったセーザルを下げて、司令塔型CHのピサロをセンターに置いて、スタンコビッチは左サイドに配置。これで守備も安定したし、パスが繋がるようになった。やはりカンビアッソのコンビは、ベーロンやピサロのような司令塔型が合っている。
◇レンジャーズ 2−2 ビジャレアル
[得点] 8分PK:リケルメ(ビ)、22分:ロヴェンクランズ、35分:フォルラン(ビ)、82分OG:ペーニャ
これだけまだ見てない。アウェーゴール2点のビジャレアル有利でしょう。
- 1日目
バイエルンはバラックのボレーで先制して、イスマエルがPKを獲られるまでは良かった。そこからの内容に不満がのこる。シェヴァのPKで追いついたとはいえ、ミランの調子は消してよくなかった。今日のミランならさらに攻撃的に行けば勝ち越すチャンスは合ったと思うのだが。細かなミスも勿体無かった。
アウェーゴールを奪って分けたミランが優位に。ただ今シーズンのミランンは往年の安定感がないので油断できない。バイエルンの鬼プレスをピルロがどう捌くのか。ピルロが消されるとヤバイ。
レンジング
攻守にバランスの取れた陣容。バラックが今シーズン限りで移籍濃厚なので、なんとしてでもビッグイヤーを獲得したいところ。正直バラックの代わりになる選手は移籍市場に出ません。来シーズン意向はかなり苦しくなるんじゃないかな。
カカ
セードルフ ガットゥーゾ
ピルロ
セルジーニョ スタム
カラーゼ ネスタジダ
DFラインの高齢化が顕著で、攻撃にも停滞感が伺える。完成されたピルロシステムが、相手に研究し尽くされている。アンチェロッティ政権にもマンネリ感が。
補強ポイントはやはりDF。いい加減若手獲ればいいのに。アレックスorルイゾン、キブーといったところ。
守備陣崩壊で低迷中のアーセナルと、復活の兆しが見えるマドリーの試合は、アウェーのアーセナル勝利という大方の予想外の結果に。これはアーセナルが苦戦中のプレミア勢と違い、マドリーがアーセナルを研究しなさすぎてた。いや、マドリーに相手によさを消すサッカーは出来ないということか。
ロングボールや激しいボディコンタクトといったフィジカルサッカーに諸さを見せるアーセナルだが、正攻法の綺麗なサッカー戦ってくる相手にはまだまだ強さを発揮できる。これはベスト8に向けて優位に立ったでしょう。
アンリ
レジェス フレブリュングベリ セスク
ジュニーニョのフリーキック一閃。リヨンにとってアウェーでの勝利はでかい。名将ヒディンクといえど流石に厳しいか。
主力温存であからさまにアウェーで引き分け狙いのリバプール。リスクを極力押さえたリスク回避の試合運びに、サッカーの神様は微笑まなかった。ホームであるアン・フィールドでは積極的な試合運びを期待したい。リバプールFW陣の決定力不足は深刻なだけに、アップセットは十分ありえる。
ベンフィカもホームらしからぬ消極的な姿勢も褒められないけど、格下チームの現実的な策としては妥当でしょう。鉄壁のリバプールの守備陣を崩すにはセットプレーしかなかった。
ベンフィカのDFルイゾンは良いね。ブラジル代表のルッシオのパートナーは、常連のファンやロッキ・ジュニオールより、ルイゾンやPSVのアレックスの方が良いと思うよ。