05年ベスト11

http://jp.uefa.com/fanzone/teamoftheyear/2005/flash.html
http://jp.uefa.com/competitions/UCL/news/Kind=1/newsId=385466.html

uefa.comの2005年ベストイレブンが決まったようだ*1。UCL重視の結果ですな。ここで05年の極私的なポジション別のベストプレーヤー及びベスト11、各賞を選出してみよう。ちなみにUEFA管轄以外の大会も対象とする。

世界編、国内編、北京世代をピックアップした世界若手編、国内若手編を予定。形式は変えるかも。


世界編

GKとしての能力では数年前からブッフォンカシージャス、チェフの3人が傑出している*2と思う。その内、ブッフォンは怪我で05年後半を棒に振るい、カシージャスはクラブでも代表でも例年より凡ミスが目立った*3
そうなると、チェルシーゴールマウスを守り続けたチェフが05年のベストGKに相応しい。失点に直結するようならしくないミスもあったとはいえ、年間通して安定していた。堅守チェルシーのを最後方から支える守護神。年齢的にもさらなる上積みが期待出来る。チェコ代表として出場するWCでも要注目の選手でしょう。でかいのに動きが俊敏。

堅守チェルシーのDFラインの中心選手。イングランド期待の若手だった頃の面影はもはや昔、もはや世界最高峰のCBとしての風格が漂ってきている。空中戦や対人の強さはさらにスケールを増し、ビルドアップやラインコントロールへの貢献も多大。セットプレーでも脅威を放つ。モウリーニョの陶酔を一身に受け、近代的なDFへとしての評価を確立した。イングランド代表でもキャンベルからレギュラーを奪取した。
次点としては、磐石ユーベのCBコンビのカンナバーロテュラム。2人とも昨シーズンのスクデットへの貢献が多大だった。ユーベは今シーズンも独走中で、もうスクデット獲得決定の気配。バルセロナを最後尾から支えるプジョールの活躍も秀逸。
数年前から世界最高峰のCBとして評価の固まっているネスタリオ・ファーディナンドは、05年に限っていえば持てる能力をフルに発揮しているとは言い難い。リオは一時期調子を崩して、マンUの守備崩壊一旦を担ってしまった。ネスタも最近はミランでらしくないミスが目立つ。今年はこの2人の完全復調に期待したい。

ロベルト・カルロスは衰えが目立ち、アシュリー・コールは怪我で長期離脱中。uefa.com選出のマルディーニは、そもそもLSB専任ではないし、年齢的な衰えが大分感じられる。そうなると左SBはザンブロッタの存在感が傑出している。セリエAスクデット、そして新シーズンの独走に貢献し、イタリア代表でもレギュラーを確保。両SB・SHをこなすユーティリティ性も魅力。
長年世界最高の座に君臨してきたロベカルが斜陽を向かえ、今後はザンブロッタとコールが凌ぎを削るであろうLSB。ここにマンUに移籍したエブラが台頭してくればおもしろい。今年は怪我が完治するバイエルンのラームも有望だろう。若手では05年前半にキエッリーニが台頭してきたと思えば、後半にはヴィオラで移籍した彼の穴を埋めたパスクアルが台頭してきた。特にクロス精度がいい感じ。


傑出した選手が思い浮かばない。プジョルかキャラガーにしようかと思ったけど、もはや彼らはCBの選手。サルガド、ベレッチサネッティも波がある。急成長したレベイエールも良かったけど、ここはカフーかな。サイドを上下間する運動量、組み立てへの貢献、絶妙なオーバラップと高精度のクロスボール。ブラジル代表でも不動の右SBとして南米予選1位突破に貢献。ただ加齢による衰えは否めない。
若手は人材難のポジション。将来性№1のセルヒオ・ラモスはCBやボランチで起用されてしまっている。ここはサンパウロで世界一に輝きレアル・マドリーに移籍したシシーニョの台頭が期待される。カフーとブラジル代表で右SBの座を争いは見物。でもラモスとシシーニョが同一チームにいること自体何かおかしい*4

世界的な4+1システムの流行で、アンカーポジションを務められる守備能力に優れた選手が脚光を浴びた。代表的なアンカーといえばマケレレ。タイプは少し違うけどエメルソン*5も高レベルでこなす。
どちらもクラブでの貢献度は傑出しているけど、代表での活躍度の差からエメルソンを選出。極度に前掛りなチームでのバランス取りは巧み。彼がいるから前線にあれだけ攻撃的な選手を並べられるし、両SBがウインガーのような高いポジションを取れる。WCでもキーマンの一人である。
他にはバイエルンデミチェリスの成長が目立った。攻撃への貢献度は多少物足りなくとも、アンカーとしての資質は抜群。空中戦強し。エジミウソンマルケスバルサを後方から支えたけど、両者とも波があった。若手ではリヨンのディアッラの充実が目立つ。いずれ3大リーグのビッグクラブに移籍するだろう。大ベテランのコクーもPSVで存在感を見せ付けた。

ボール奪取やパスカットなどの守備能力、無尽蔵のスタミナ、強烈なミドルシュートとFK、エース・ストライカー並の得点力、正確な長短パス。攻撃力と守備力、オン・ザ・ボールとオフ・ザボールの共に優れた万能選手。調子の波がないのも素晴らしい。
CHは現代サッカーの花形ポジションであり、好選手多数の激戦区。デコ、ジェラード、ジュニーニョ、シャビも負けず劣らずの活躍だった。ヴィエラユベントス移籍で、アーセナルでの不調が信じられないほどに復調した。若手ではエッシェンチェルシー移籍で抜群の存在感を見せ、負傷で長期離脱中のシャビの代役を務めるイニエスタに急成長の気配。PSVアフェライも年齢を考えると脅威的だ。

OHというかトップ下枠。現代サッカーでは純粋なトップ下を置くチーム自体が希少のため*6、際立だった活躍をした選手は限られる。そんな中、やはりACミランとブラジル代表で軸を担うカカーが傑出している。ラン・ウィズ・ザ・ボールに優れ、DFと相対した時のドリブル突破力も兼ね備えてている。特にトップスピードでのボールコントロールが秀逸で、直線的な高速ドリブルを武器に局面を打開し続けた。パス能力や得点力も水準以上。
バイエルンとドイツ代表でトップ下を務めるバラックも甲乙つけがたい。個人能力ではクラブでも代表でもチームの中心を担うリケルメトッティも劣らないけど、プレーの波が激しかった。05年後半には、HSV移籍で復活を遂げたファン・デル・ファールトが台頭した。3人ともWC優勝候補国の中心選手である。

圧倒的な個人技で世界中を魅了し続けた。バルセロナの華麗なアタッキングサッカーを象徴するクラッキ。調子の波は少なからずあるけど、好調時のドリブルによる局面打開力が凄まじい。ミドルシュートやFKも正確。個人技による独力打開だけでなく、周りを活かすパス能力も長短共に秀逸。エトーとのコンビネーションは脅威。守備意識の希薄さはご愛嬌。
次点はドリブルでの局面打開に優れるロッベン。ボールを持ちすぎて流れを滞らせない所にロナウドとの差がある。ネドベドゼ・ロベルトも円熟の境地。新たに台頭してきた選手では、マルセイユフランク・リベリーが左SHとしておもしろい。機動力とテクニックに優れたアタッカー。フランス代表にも呼ぶべきでは。


  • RSH・RWG 該当者なし 

絶対的な選手が見当たらない。カモラネージ、ダフ、ルイス・ガルシアあたりが候補だけど、みな決定打に欠ける。ベッカムホアキンC・ロナウドも波が激しい。右SH起用時のジェラードも優秀だけど本職ではない。数年後の右WGはメッシの独壇場になりそう。ロナウドもスケールは大きい。ボールをコネすぎる悪癖を直せばおもしろい。

FWを一人に絞るのは非常に難しい。得点だけでなく多用な能力を備える選手が好みなの*7、候補としてはエトーシェフチェンコ、アンリ、アドリアーノイブラヒモビッチ辺り。
この内、アドリアーノはまだプレーにムラがあり*8ズラタンは決定力だけが見劣る*9。低迷中のアーセナルを支えるアンリも、05年後半は怪我で離脱していた。ここはバルサのプレッシングサッカーの急先鋒を務め、抜群のスピードを武器に継続して得点を量産しているエトーかな。
05年後半ではセリエAで得点を量産しているトーニの充実が目立つ。これを如何に継続するかが世界最高峰への道程。ズラタンを脇に従えたトレゼゲも絶好調。彼は怪我さえしなければやはり凄い。あの得点率は脅威だ。新たに台頭してきた選手では、エール・ディヴィジで得点を量産しているフンテラールがおもしろそう。冬のマーケットでヘーレンフェーンからアヤックスにステップアップしたので要注目。

  • ベスト11

         エトー
 ロナウジーニョ     シェフチェンコ
     ランパード ジェラード
        エメルソン
ザンブロッタ テリー カンナバーロ カフー
         チェフ

システムは欧州を席巻した4-1-2-3。チームバランスも多少考慮して、ノミネート選手をそこに当てはめる。明確なトップ下を置かないシステムのため、OH枠は選出外にした。代わりにUCL制覇に敬意を表してジェラードを選出。
右WGは絶対的な選手が不在なので、ウクライナ代表を初のWC出場に導いたシェフチェンコをコンバート。プレーススタイル的にも十分こなせると思う。
クラブチーム別にすると、チェルシーユベントスが最多の3人、バルセロナミランが2人、リバプールが1人。
国別にするとブラジルとイングランドが最多の3人、イタリアが2人、チェコウクライナカメルーンが1人。

競争の激しい常勝ビッグクラブで偉大な連続出場記録を樹立。派手なパブリックイメージとは無縁のため、賞レースでは尽く敗北するも、勝利への貢献度ではずば抜けている。次点は華麗な個人技で世界中も魅了するロナウジーニョ

WYでチームを優勝に導き、得点王とMVPをダブル受賞して鮮烈な世界デビューを飾った。WYでのインパクトはそのままに、リーガ首位を独走する名門バルセロナでもレギュラーを奪取。トップリーグで稼動しているのは半年間だけだけど、その間の存在感とインパクトが傑出している。まだ高校年代の選手とは信じられないし、短期間でここまで伸びるとは末恐ろしい。
若手のドリブラーは過剰評価されがちだと思うんだけど*10、この人は本物でしょう。最大の武器であるドリブルが研究され尽くしたとしても*11、それ以外の能力で勝負できる多様性も備えている。怖いのは怪我だ。マークはさらに激しくなるだろう。
欧州トップリーグ経験のないのブレイク候補としては、インデのセルヒオ・アグエロ、ボカのガゴ、クルゼイロケルロンポルトに冬に移籍したアンデルソンを挙げておく。アルゼンチン代表とブラジル代表は層が厚すぎるので、WCでの華々しいデビューは難しいと思うけど、夏にビッグクラブに引き抜かれてもおかしくない逸材。ブラジルでは夏にインテルに移籍内定のラファエル・ソビスにも注目。ビッグクラブ争奪戦中のサウサンプトンセオ・ウォルコットもおもしろそう。

コーチ部門はバルセロナの戦術を支えるテン・カーテ

結果だけでなく内容でも魅了する稀有なチーム。いや、あのようなリスク多大な攻撃サッカーで、あそこまでの結果を出す事が素晴らしいというか。戦術的に洗礼されていて、個々の能力を最大限発揮できる組織力が素晴らしい。
昨シーズンのプレミア・シップを圧倒的な強さで制し、UCLでもベスト4、そして今シーズンもプレミアを独走中のチェルシーも捨てがたい。リヨンの安定感も素晴らしいけど、そこはリーグのレベルも考慮して。

壮絶な打ち合いとなったスタンフォード・ブリッジでのUCL1回戦セカンド・レグ。対照的なチームスタイル同士の頂上決戦。ファースト・レグも含めて、歴史に残る一戦だったと思う。今年もUCL1回戦は同一カード。期待は膨らむ。

次点はUCL決勝戦史上に残る「リバプール 3-3 ACミラン(アタチュルク・オリンピック)」、マドリーが最後の意地を見せた04-05シーズンの「レアル・マドリー 4-2 バルセロナサンチャゴ・ベルナベウ)」。

*1:ランパードが選ばれてないとは…バロンドールFIFA最優秀選手賞に続き、つくづく賞には縁がない選手だ。

*2:この3人に次ぐジーダも今シーズンは不調。

*3:唯一の弱点とされる。ハイボールの判断ミス。それでもカシージャスがいなかったらマドリーの守備はさらに崩壊している

*4:そういえばサルガドとディオゴもいるね。右SB王国レアル・マドリー。早く本職CBを獲りなさい。

*5:パスを散せるレジスタとしての適正もある

*6:一昔前ならトップ下をやる選手が、一列下がってゲームを組み立てる役割を担ったり、プレッシャーや守備負担が軽減されるサイドにプレーエリアを移している。前者の代表例がピルロ、後者の代表例がはロナウジーニョ

*7:独力で局面を全く打開できなかったり、組み立てへの貢献が全くなかったり、守備をさぼりすぎる選手は候補から外す。

*8:ただ好調時のインパクトでは一番。流れを無視するかのようなミドルシュートは反則。

*9:ポストプレーやチャンスメイクは凄い。それはチームやパートナーの結果に現れている。

*10:ドリブラーはまだ研究されていない新鮮な選手の方が得てして活躍する。そのドリブルを封じられた途端に伸び悩む若手選手が非常に多い。そしてドリブルを多用する事自体、プレーを滞らせるコネすぎと表裏一体の「諸刃の剣」。C・ロナウドはその典型。

*11:でもメッシのドリブルが通用しなくなるとは思えない。タッチ数が細かくて吸い付くようなドリブルを、常にトップスピードで繰り出しているのが凄い。相対するDFから見れば、前に蹴り出しているはずのボールが足下に戻っているように感じていると思う。常に相手にとって危険なゾーンに仕掛けていて、DFの前に正対してボールをこねくり回すようなドリブラー特有の悪癖もない。止まった時でもタメを作ってパスで局面を打開できる。守備力はあまりないし、シュートも安定しないけど、伸び代はまだまだ十分にある。