磐田 1-3 広島

ジュビロ磐田 1 - 3 サンフレッチェ広島
得点者:'37 大木勉(広島)、'54 ガウボン(広島)、'58 佐藤寿人(広島)、'87 中山雅史(磐田)

http://www.jubilo-iwata.co.jp/live/2005/J051029_660.html

3-4-1-2
    カレン  西様

       成岡
 村井          太田
     名波  服部

   金珍圭 田中 茶野

        川口

まずは選手が適材適所に配置されたスタメンを見てホッとした。流石に懲りたようだ。前回の
狙いは一体何だったのだろう。

3-4-1-2
    佐藤寿  ガウボン

       大木
 服部          駒野
    ベット  森崎和

  小村 ジニーニョ 西河

       藤昭

意外にも3バック。

小野剛監督(広島):
「磐田のアウトサイドの攻撃力が非常に高いし、得点もそこから多く生まれている。それをどう抑えるかと考えると、どうしてもうちのウィークポイントと当たってしまうので、発想を逆に持っていかないといけないと考えた。彼らの裏のスペースをつくことで、できるだけ彼らがディフェンスに追われるシーンを多くしたいと思った。
そこで相手がついてきても、もっともっと押し込めと指示して、そうしたら必ず3バックの1人か、あるいはボランチがフリーになるはずだから、選手に強気でと言った以上、相手を抑えにいくんじゃなくて、相手の弱点となるところをどんどんつくことによって、最終的に相手の恐さが消えていくようなサッカーを、最初から貫きたいと思って、システムを若干変更した。」
http://www.jsgoal.jp/club/2005-10/00025479.html

確固とした狙いのあるシステム変更だったようだ。そしてそれは思惑通り機能していた。

  • 雑感

完敗というか惨敗。全体的に押し気味に試合を進められたのは、リードした広島のゲームプランのおかげであって、後半はボールを持たされて余裕で流された。実力負けに等しい。

  • 名波の影響

前半は名波のゲームメイクが効いていた。服部という守備に優れた選手とダブルボランチを組んだ事により、成岡と組んだ前節より守備的な負担が軽減され、後顧の憂いなしに攻撃の組み立てに参加でき、攻撃がスムーズに回った。

その名波が前半だけで退いた事で*1、中盤でのボールの落ち着け所がなくなり*2。、攻撃の組み立てがスムーズにいかなくなった。成岡はボランチに下がったことにより持ち味が薄れてしまい、前半のように攻撃に効果的に絡めなかった。そして守備やゲームメイクもまだまだ経験不足。

  • 不安定な守備

後半早い時間までで3失点の守備は終始不安定。特に相手のクロスに対してボールウォッチャーになるのは悪癖になっている。クロスをファーに蹴られると簡単に折り返されてしまうし、落とされたボールに全く対応できていない。エリア内に人数はいても、突っ立っているだけで人についていない。失点場面意外でもクロスから何度も危ないシーンがあった。

  • 納得いかない采配

怪我の名波はともかく、3点差で負けているのに攻撃の中心の西を引っ込める監督の采配は謎。追いつくのを諦めて若手育成モードに入ったのかと邪険してしまう。どうしても船谷を入れたいのなら、ポジションが被る成岡と代えるべきだったと思う。ジュビロの攻撃は西を中心にチャンスを作り出しているので、多少疲れてもリードしていない限りフルに使うべき。これも怪我ならしょうがないけど。
右サイドの太田に代えて、同じ右サイドへバランサーの河村を投入した交代策も微妙なところ。大量リードを許しているのなら、3-5-2を崩してさらに攻撃的に行っても良いと思う。後半は相手のサイドが下がって4バック気味になっており、こちらの3-5-2のサイド攻撃は封じられていたので、単に選手を入れ替えるだけではあまり効果が見込めない。相手のように状況によって柔軟にシステムを代える采配が欲しいところ。

  • 参考データ

http://d.hatena.ne.jp/saruneko/20051030#p1

流れを変えるためのシステム変更が少ないとは感じていたけど、どうやら実際に一度もない模様。選手を本来のポジションでは使わない賭け*3には良く出るのに、ビハインド時でもシステム変更を全くしないのは何故なんだろう。変更しないで結果が出てるのなら納得行くけど、そうじゃないんだから。
柔軟に複数のシステムを使い分けることまでは要求しないから、せめて勝利のためのリスクを厭わない決断を期待したい。世界の名将と呼ばれる監督は皆、効果的なシステム変更により流れを変える事に成功しているのだから。*4


  • パスは回せどゴールが遠い

今日も綺麗なパス回しで攻め込む時間帯が多かったけど、今のジュビロはそれがゴールに直結しない。西とカレンの2トップは、中盤やサイドに流れて攻撃の組み立てに参加するので、ゴール前に人が足りなくなることが多い。FWと中盤が連動してサイドを崩して、エリア内でクロスに合わせるために選手が少なすぎる。これでは高さのある広島の守備陣を崩せない。

西と組む時のカレンは、もっと貪欲にFWとしてゴールを狙う仕事をこなさなければならない。トップ下の成岡もゴール前に積極的に飛び込むことが必要。そしてシュートが枠に行かない。2人とも高原や藤田の跡を継ぐにはまだまだ。西は本職ではないFW起用で、攻守によく走ってボールを前に運んで、チャンスを作ってシュートも打っているので文句はない。

サッカーはパスを回してポゼッションで優れば勝てるゲームではない。今のジュビロは、綺麗にパスが繋がっても攻撃に全く怖さがない。遅攻時にボールを持たされて中を固められると得点の気配がしない*5。そして守備を崩そうと前掛かりに攻めたところを、相手のカウンターに狙い撃ちにされてしまっている。

  • 決定力とメンタルの問題

以前と比べるとまだシュートは打てていたけど、肝心要の決定力がなさすぎる。23本で1ゴールは少なすぎ。今日のような展開なら、前半の内にリードしていなければならないはず。広島はチャンスは少なくとも確実にゴールを決めてきた。両チームの明暗を分けたのは決定力の差。

そしてメンタル面も弱さも感じた。2失点目で一度チームの気持ちが切れてしまい、簡単に3失点目を許して勝負あり。その後は勝利への執念があまり感じられない選手も目に付いた。以前なら2点差くらいで諦めモードになることはなかったはず*6
試合終了間際に中山の魂のゴールでようやく追い上げムードになるも、時既に遅し。始めから全員が中山くらいの気持ちを持って戦って欲しい。今日の広島は球際にも強く、ジュビロより気持ちを込めて戦っていた。その差が結果に出たと思う。


次は好調ジェフ。勝てる気がしないのは気のせいか。このままズルズル行くと中位力を備えたチームになってしまう。中位力はいったん身につけてしまうと、中位から抜け出すのが難しい厄介な代物。勝者のメンタリティーを取り戻すために頑張ってください。

*1:名波が代えられていた時には、監督がついにトチ狂ったかと絶望したけど、どうやら膝の具合が悪かったようだ。それなら納得。優勝や残留を争っているわけではないのでそこまで無理をさせる必要はない。

*2:名波の交代は不慮の事故だったかもしれないけど、数年後にはいなくなる日がくるわけで、それを考えるとかなり楽観視は出来ない。有望な若手は出てきているけど、名波の後継者になるのは簡単ではない

*3:前田のトップ下や成岡のボランチ起用とか

*4:例えばリバプールベニテス監督は、CL決勝で3点差をつけられて前半終了後、後半開始からシステムを変更して流れを変え、結果的に同点に追いつくことに成功した。

*5:カウンターの方がまだ得点しそうな気配がある

*6:ドゥンガがいたらぶち切れてるよ。一度活を入れてもらいたいところ。