静岡ダービー

http://www.jubilo-iwata.co.jp/live/2005/J051022_659.html


これはかなり不満の残る試合だった。相手との戦力差を考えればありえない結果。これでは優勝なんて夢のまた夢だ。棚ボタのACL出場権とかいってる場合ではない。

3-4-1-2-0
    前線不在
   西様   カレン
      船谷
村井          
    名波  成岡  河村

   金  田中  鈴木

      川口能

まずスタメンを見て脱力。まさかの河村右サイド先発、成岡、船谷、名波の同時期用。これまで一度も試した事のないテスト布陣。太田兄弟ダービーはどうなったの? 
清水とやる時にはどこのクラブも左サイドの山西を狙ってくるのに、対面する右サイドにバランサーの河村を置く意図がわからない。トップ下には船谷、ボランチには名波と成岡という守備が苦手な3人、誰が中盤の守備をやるのだろうか。試合前の懸念は、試合内容にそのまま表われてしまった。

4-4-2
   ジェジン マルキ

 兵働          太田

     枝村  伊東

 山西  高木  斉藤  市川

        西部

展開力のない高木がCBに下がって、ルーキーの枝村がJリーグ初先発。テクニックがあってパスの散せる枝村が中盤に入った事により、ボランチからサイドへの展開がスムーズになっていた。サイド攻撃も以前よりかは遥かに機能。復帰したマルキーニョスも格の違いを発揮。ジュビロと違い、スタメン変更は吉と出たといえよう。

  • 試合感想

ジュビロのテクニシャンばかりを集めた布陣は、ボールを保持している時は流石のパスワークを見せる。中盤の名波、成岡、船谷に、FW起用された西やカレンも組み立てへ参加し、プレスをいなしたパスワークで何度も相手陣内に攻め入ることが出来た。中盤で良いリズムが生まれて、左サイドの村井も積極的に攻撃参加が出来ていた。村井が左サイドからクロスをファーのカレンが落とし、中で西が見事なボレーを合わせて先制点。前半はリズム良く戦えた。

ただし攻撃は左サイドに編重。右の河村はバランスを取る事ばかりに気を取られ、ボールを引き出すフリーランに欠け、ボールを受けてはタイミングの遅くれたバックパスに終始。攻守においてもポジショニングが中途半端だった*1。片方のサイドからの攻撃だけでは相手に対処され易い。ボールを前に運べる太田を使わなかった理由が分からない*2

パスワークでペナルティーエリア付近までは攻め入れても、決定的なシュートには中々繋がらないのも相変わらず。FWのカレンと西も組み立てに関わるので、常にゴール前が手薄なってしまう。せっかく左サイドから崩したのに、中に一人もいないという場面さえあった。綺麗に崩そうとする意識が強すぎて、シュート本数が少ないのは大きな課題。シュートまで持ち込めず、途中でパスカットされてカウンターを何度も喰らってしまった。

守備面はもっと駄目。中盤守備が脆弱で、一旦守勢に回るとなかなかボールを奪取する事はできなかった。中盤ではフィルターが全然掛からず、サイドのスペースをカバーするための運動量やポジショニングが中途半端。セカンドボールも全然拾えない。ズルズルラインは下がって、全体が大きく間延びしてしまった。

そもそもほとんどコンビを組んでいない成岡と名波のダブルボランチに守備を任せるのが無茶というもの*3。どちらも攻撃参加して輝きを放つタイプ。攻撃に比重をかければバイタルエリアの守備がザル状態、守備に比重をかければ攻撃的な持ち味が消えてしまう。多くの時間帯で慣れない守備に忙殺されて、後半はスタミナ切れを起こしてしまった。ボランチに福西不在なら、守備の得意な服部が必要だったと思う。服部+名波or船谷のダブルボランチ、成岡トップ下が妥当。つーか新潟でGKやってた男が一番必要だ。

成岡翔 
Q.ボランチでの出場でしたが。
攻撃の時は、どんどん前に出てくれということは言われていました。だいぶ名波さんが前線で絡んでくれていたので、前半はリズムがとれて、僕は後ろの方で、良いポジションを取りながらパスを裁く方をやっていましたけど、後半は仕掛ける時に、もう少し前に出ていった方がよかったかもしれないですね。

そもそも成岡はトップ下の選手で、ボランチとして後ろでバランス取って、パスを裁くプレーをやらせては活きない。彼はパスセンスやゲームメイクが特徴ではなく、前方への飛び出しやクロスにヘッドなどで得点に絡めるトップ下に適正がある。


最近は攻撃が全く機能していなかった清水は、ジュビロの中盤ザル守備に助けられてボール回せるるようになり、サイド攻撃が復活。まんまとサイドの裏のスペースを突かれまくってしまった。清水もミスが多かったので助けられたけど、上位陣相手なら大量失点を喫していてもおかしくないマルキーニョスは幅広く動き回り、高いキープ力でチャンスを演出。内容。

失点場面もサイドから崩されて、DFがクロスにかぶってしまいマルキがフリーでシュート、川口のファインセーブで難を逃れるも、ポジショニングが中途半端な河村の対応が遅れてこぼれ球を兵藤にゴールを決められてしまう。その後は、攻撃の中心になっていた西が交代した時点で得点の気配が消えてしまった。中山の惜しいシュートくらい。あれは決めれば勝てたと思うけど、試合展開を考えればドローが妥当。

数字上の可能性はあっても、優勝が事実上厳しくなったのは確かで、目先の勝利よりある程度先を見越した戦いをやりたい監督の気持ちは分からないでもない。船谷や成岡といった若手主体のスタメンで戦うのも将来を考えれば得るものはある。でもこの布陣はありえない。2人を同時に使うなら名波を外して、ボランチに守備の出来る服部を使うとか、河村を使うとしてもボランチ起用が妥当。つーか、こういう時こそ菊地の出番でしょ。なぜレンタルを許したのか未だに納得いかない。

うまくいきかけたと思ったらテストで停滞と、近頃は影を潜めていた五輪代表監督時代の悪癖が再び出現。訳の分からぬテストを繰り返し、最後まで一向にシステムが固まらず、ぶっつけ本番でシステム変更して失敗したのを思い出した。もうこの時点で試合後の「先へ繋がった」というような類のコメントは予想がついたよ。

山本昌邦監督 
ダービーということで、気持の入った素晴らしくいいゲームだったと思います。最後まで厳しいファイトしたエスパルスの頑張りを称えたいと思います。ここ3試合内容はまずまずですが、勝ち点が二つずつ足りない試合が続いているということで、何か少し足りないモノがあるのかなという気はしてます。
若手がこういう中で、才能と自信を少しずつ掴めてこの先につながっていければと思ってます。

この内容のどこが「気持の入った素晴らしくいいゲーム」なのやら。危機感がなさすぎる。「先に繋がる」とかはもう聞き飽きた。勝利でしか得られないものは大きいはず。特にダービーは勝たなければ駄目。今後にかなりの不安を残す試合でした。そういえば柳下監督は札幌で頑張ってるみたいだね。はあぁ。負けずに頑張ってください。

  • 清水

清水はこの調子でやれば何とか残留できるんじゃないでしょうか。ただ今日は相手が弱かったのと、ダービーで一時的にメンタルが上昇しただけかもしれないので、先のことはまだ分からないけど。清水らしい技術のある兵藤や枝村など、ここに来てルーキーが伸びてきたのは大きいと思う。
マルキーニョス獲得も大成功なのでは。このレベルの選手を自由契約で取れたのは大きい。ジュビロも村井を獲るなら、相性の良いマルキーニョスの獲得を考えても良かったと思う。ヨンスよりジュビロのサッカーのフィットするタイプだし、現FWに欠けている資質を持っている。今さらですが。

*1:河村は左WB藤田が中に入り込む変則3-5-2ではバランサーとして機能するけど、今の両WBがサイドから崩すオーソドックスな3-5-2での右WB起用はあまり効果的でないと思う。使うならボランチ起用が妥当。

*2:劣勢の末追いつかれてから、ようやく太田の後半途中投入右サイドからの攻撃が復活。

*3:グティベッカムのダブルボランチで守備が崩壊した数シーズン前のレアル・マドリーを思い出した