ウェルター&ライト級GP

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pride/live/200509/25/index.html

長かったけど面白かった。五味vs川尻が凄まじすぎた。

ウェルター級トーナメント リザーブマッチ
第1試合 ●桜井隆多 (1R 3分44秒 腕十字) ○パウロ・フィリョ

影の優勝候補フィリョの完勝。桜井もブス先生と判定まで行く位だから、本戦に出てもおかしくない実力者と思うんだが、フィリョが相手が仕方がない。なぜにリザーブ? あと、桜井に武士道で勝ったこともある岡見もGPで見たかったな。そこは大人の事情か。

ウェルター級トーナメント 1回戦
第2試合 ○郷野聡寛 (2R 判定) ●ダニエル・アカーシオ

シュートボクセ仕込みのアカーシオの圧力に手を焼くも、郷野が得意のアウトボクシングで貫禄勝ち。やはり郷野はこの階級の日本人ではトップの実力者。ボクシングコーチが同じになってしまったから、近藤との日本人中量級最強決定戦は実現しそうにないのは残念。

ウェルター級トーナメント 1回戦
第3試合 ●長南亮 (1R 22秒 KO) ○ダン・ヘンダーソン

秒殺。ダンヘン強すぎ。長南もそこまで弱い選手じゃないんだが、スタンド打撃の差は歴然だった。このダンヘンと互角に戦って判定までいった近藤はやはり凄いな。近藤も-93㎏階級でなく-83kg階級でやれば良いのに。

ウェルター級トーナメント 1回戦
第4試合 ○美濃輪育久 (2R 判定) ●フィル・バローニ

テイクダウンの攻防で優位に立って、上から攻め続けた美濃輪がリベンジ成功。バローニは相変わらず下になると何も出来ない。UFCではレスリング系の強豪に完封され続けてきた男。
スタンド打撃で打ち合ずに、テイクダウンからのグラウンド勝負に徹した美濃輪の作戦勝ち。足関節に拘らなかったのも奏功した。ブレイクがいつもより遅かったのにも助けられた印象。バローニに勝つとは美濃輪は強くなったね。数年前なら想像できなかった。

ウェルター級トーナメント 1回戦
第5試合 ●須田匡昇 (1R 腕十字) ○ムリーロ・ブスタマンチ

さすがブス先生、下からの十字は匠の技です。フィジカル的には大分衰えたといっても、やはり技術はまだまだ錆付いていない。須田はPRIDE初参戦でいきなりトーナメント進出はどうだったんだろう。できればPRIDE初期から地味に頑張っていた小路に出て欲しかったところ。バックブローは惜しかった。

ライト級トーナメント リザーブマッチ
第6試合 ○三島☆ド根性ノ助 (1R ヒール・ホールド) ●チャールズ・ベネット

小谷より実績も実力も遥かに上なのに、なぜかリザーブの三島。GP査定マッチとなったイーブス戦ではPRIDE特有の速いブレイクに焦ってリズムを崩してしまったが、今日はベネット相手に実力差を見せてきっちり一本勝ち。これでPRIDE参戦継続か。いつか五味とのリベンジ戦が出来ると良いね。
三島で個人的に見たいカードは須藤元気戦。知名度では圧倒的大差があるけど、実力差はそんなにないんじゃないだろうか。まず実現しないだろうけど。三島は実力だけでなく試合内容も面白い選手なのでもっと人気が出ても良いと思う。

ライト級トーナメント 1回戦
第7試合 ○桜井"マッハ"速人 (1R KO) ●ジェンス・パルヴァー

減量に成功したマッハが久しぶりに輝きを取り戻した。全盛期とはいわないが、それを彷彿させるような打撃のキレが戻ってきた。体格差がかなりあるとはいえ、ボクテク総合最高峰のパルヴァー相手にスタンド打撃で打ち勝ったのは賞賛できる。やはり打撃戦にパワーや圧力差は重要ですな。パルヴァーにはない蹴りや膝も有効に使っていた。
好試合だったが、体格的にミスマッチという印象も。パルヴァーは修斗では-65㎏で戦っていた選手で、本来-77㎏のマッハとやるのは少々不運だった。HERO'Sに行ってKIDや高谷と戦って欲しい。体格的ハンディのない彼らとなら至極の打撃戦が見れそう。

ライト級トーナメント 1回戦
第8試合 ●イーブス・エドワーズ (2R 判定) ○ヨアキム・ハンセン

実力者同士の接戦。スタンドではイーブス、グラウンドでは上になっていたハンセン。明らかにおかしいわけではないけど、この判定は微妙なところだ。エドワーズはまだまだPRIDEで見てみたい。フルラウンド戦ったハンセンはかなり消耗してしまった。

ライト級トーナメント 1回戦
第9試合 ○五味隆典 (1R チョークスリーパー) ●川尻達也

中軽量級日本人最強決定戦。これは総合格闘技史上に残る名勝負でした。緊張感が半端なかった。

序盤はスタンドで互角の打ち合いも、徐々に五味が川尻を凌駕しだす。五味がスタンドラッシュでダウンを奪い、間髪入れずバックからパウンドの連打、そしてチョーク葬。両者も最初から準決勝のことなど考えずに、相手を潰そうとするかのようにアグレッシブに打ち合った最高の試合だった。川尻からタップまで奪った五味は凄すぎる。

五味の打撃とスタンドレスリングを含めた総合的なスタンド技術は圧倒的。スタンド打撃戦で分の悪い川尻は何とかグラウンドに持ち込もうと試みるも、それを五味は立ちレスの強さで許さなかった。川尻はスタンドで優位に立って、自らテイクダウンしたり、相手が苦し紛れに組み付いてきたら組み伏せてパウンド葬というのが得意パターンだけど、スタンドの攻防で優る五味には通用しなかった。川尻も相当テイクダウンはうまいんだけど、五味のスタンド維持の能力は異常。
とはいえ、川尻も依然この階級ではトップクラスでしょう。というか五味以外には負けなそう。川尻は負けて強くなる男だから、シャオリン戦のようにまたリベンジ戦を期待したい。この2人には今後もこの階級のトップとして切磋琢磨して欲しい。また数年後に見たいな。

――最後のスリーパーは予想外だった?

試合はあんまり覚えていないんですよ。ただ、ひとつ言えることは、楽しかったということですね。自分より強いヤツがいてくれてうれしい。これで、自分もますます強くなれるということですし。

――五味選手は想像以上だった?

自分が負けたから、五味君は強かったということ。でも、俺の格闘技人生はいつもそういう感じだから、また精進して、2年後くらいにリベンジできればと思ってます
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pride/live/200509/25/a09.html

――川尻選手とリング上では何を話したのか?

素晴らしい選手ということと、またやろうということ。自分のああいう選手と戦えて嬉しく思う。控え室にも訪ねてきてくれて「自分より強い人がいて驚きました」と言っていた(笑)。今度はベルトを獲って、ベルトをかけて試合ができればいいと思う。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pride/live/200509/25/a14.html

試合前はお互いに舌戦を繰り広げていたけど、試合後はノーサイドで気持ちがいいね。五味は階級を上げずに、タイトルマッチをやるつもりなのが嬉しい。今後が楽しみだ。

ライト級トーナメント 1回戦
第10試合 ●小谷直之(1R 11秒 KO) ○ルイス・アゼレード

大方の予想通りアゼレードの圧勝。なぜ小谷は査定マッチなしに無条件でGPに出れたのかしら。PRIDEでだけでなく、グラウンド顔面パンチありのルールでは強豪にほとんど勝っていないと思うんだが。別に集客力があるわけでもないし。謎だ。それよりも三島が見たかった。小谷はHERO'Sの方が活きるかもね。
あと、いい加減煽り映像でファンタジスタの安売りは止めてくれ。崇高な言葉なのでもっと大事に使って欲しい。一時期のカリスマと同じような事になってるますな。

ウェルター級トーナメント 準決勝
第11試合 ●郷野聡寛 (1R KO) ○ダン・ヘンダーソン

郷野は奮闘するも、やはり1階級落としたダンヘンは強すぎた。持ち前のスタンド打撃でよく対抗したが、蹴り際をパンチで狙い撃ちされた。ダンヘンのスタンドでの圧力は半端でない。消耗度の差も影響したか。
郷野が別ブロックだとしたらどうだったんだろう。他の選手には勝てそうだけど、ブス先生はやはり厳しかったのかな。スタンド中心にそれなりに健闘しそうだが。
やはりダンヘンはこの階級では最強候補筆頭。体格で優るミドル級の相手と渡り合ってきた実績は伊達ではない。スタンドで攻めるスタイルが完成されていて、パンチの威力・精度だけでなく、スタンド維持にも長けているところが強み。決勝だけでなく、UFC王者リッチ・フランクリンとの試合が見てみたいところ。近藤もこの階級に絡んできて欲しい。

ウェルター級トーナメント 準決勝
第12試合 ●美濃輪育久 (1R 9分51秒 KO) ○ムリーロ・ブスタマンチ

ブス先生が全局面で上回って完勝。2人の元々の実力差を考えれば、美濃輪は持ち前の根性でよく凌ぎきったというところ。ブス先生は元師匠の意地を見せた。1回戦も2回戦も格下相手だったので、高齢によるスタミナ的な不安も露呈せず。逆に美濃輪の方が先にばててしまった1回戦でフルラウンド戦った事と、富士山修行による高山病が影響したのかな。
美濃輪にはまたBTTで練習してもらいたいな。以前の住み込み修行がレベルアップに貢献したのは間違いないだろうし、日本で練習するよりもずっと良いはず。無理なのかしら。

――“追い風”は感じられたか?

 感じた。“ダッシュ”の部分ができていなかった。“ダッシュ”の部分ができていないというよりぶっ壊れ足りなかった。

――“ぶっ壊れ”は「火事場のクソ力」?

 つながる部分がある。何と言うか……スーパーヘヴンです。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pride/live/200509/25/a12.html

このコメントは最高におもしろい。スーパーヘブンって何だよ(笑)。

ライト級トーナメント 準決勝
第13試合 ○桜井"マッハ"速人 (2R 判定) ●ヨアキム・ハンセン

マッハが体格差を活かして僅差の判定勝ち。両者とも1回戦の疲れを感じさせない好勝負。特に1回戦終了後バテバテだったハンセンは別人のようだった。スタンドからグラウンドへと目まぐるしい展開。実力差はほぼ互角。テイクダウンの攻防ではハンセンだったが、1Rにパンチでダウンを奪ったマッハの方がダメージ的に印象が良かった。
マッハは階級を落として蘇ったねえ。PRIDE参戦以降はあまり乗れなかったけど、今日の復活劇はなんだか嬉しかったわ。スピード感が以前とは全く違う。

ライト級トーナメント 準決勝
第14試合 ○五味隆典 (2R 判定) ●ルイス・アゼレード

一回戦では川尻と激闘を繰り広げた五味と、格下相手にダメージ0のアゼレード。そのハンディをモノともせず、五味がアゼレードに貫禄勝ち。この状況で2連勝ともなると、五味とアゼレードの序列ははっきり決まってしまったか。

五味はもう70㎏近辺の階級では世界最強なのでは。今ならハンセンにもリベンジできるだろうし、元気、宇野、シャオリンにも勝てるでしょう。今後はマッハのように階級を落としてくるしてくる選手がPRIDEに参戦してくれば有望。マット・ヒューズ、ジュシュ・サンピエール、トリッグあたりは-73㎏まで減量可能なのかしら。ヒューズなら五味にも勝てそうだけど。あと個人的にはベヒーシモが見たい。

あとは中軽量級世界最強のBJペンとのリベンジ戦か。ペンは80㎏以上は体格的に明らかに向いていないと思うので、また減量して70kg台に戻ってきて欲しい。今この2人が戦ったら最高におもしろい一戦になりそう。

ウェルター級トーナメント 決勝戦
ダン・ヘンダーソン vs ムリーロ・ブスタマンチ

奇しくも2年前のPRIDEミドル級トーナメントのリザーブマッチと同カード。当時はダンヘンが秒殺勝ちして、格闘技ファンの間で-87kg世界最強という評価を得た。ただし、あれはバッティングによるアクシデントという印象があったことも確か。当時に比べると両者ともフィジカル的に衰えてしまった感はあるが、それでもこの階級トップ同士の好カード。やはりスタンドでの攻防に優るダンヘンが有利か。地味なので世間的注目度は皆無でしょうな。

ライト級トーナメント 決勝戦
五味隆典 vs 桜井"マッハ"速人

川尻戦をクリアーしてしまった五味は磐石という印象。階級を落としてきたマッハには体格的アドバンテージがあるが、パワー差はそれほどなさそう。同じく強豪日本人対決となった大晦日HERO’Sミドル級トーナメントのKIDvs元気と比べると、どうにも世間的求心力の低さは否めない。そこをDSEがどう盛り上げるのかお手並み拝見。マッハが先輩の意地を見せられるか。トリッグ戦みたいになったら盛り上がるだろうなあ。