ブラジル戦

「欧州王者に4−4−2で勝ったんだ。ケガ人が出ない限りこの前のメンバーでいく」。
ギリシャ戦は相手の3トップ対策の色が濃かった。だが、勝ったチームをいじらないのがブラジル流。「ブラジルはベンチにも能力の高い選手がいる。気持ちが入っていなければシステムなど関係ない」と4バック継続を明言した。
http://www.nikkansports.com/ns/soccer/japan/p-sc-tp3-050622-0006.html

どうやらギリシャ戦と同様の布陣で行く模様。2人のCBでブラジルの中央突破を止めるのは厳しい。ポゼッションを取れれば多少はリスク回避できるだろうけど、ギリシャ相手のように上回るのは困難。
ギリシャ戦は積極果敢なフォアチェックが功を奏したわけだけど、果たしてブラジル相手にそれが通用するかどうか。抜群の技術で前からのプレスをいなされてしまうと、最後尾に一気にしわ寄せが来てしまう。かといって引き気味の守って押さえ込めるような相手ではない。一対一での勝ち負けが大きく影響するジーコジャパンにとって、相性はけして良くない相手。

破壊的な攻撃力のイメージが強いブラジルだけど、けして無敵の存在ではない。守備はアルゼンチンに比べるとかなりルーズ。ルッシオは優秀なCBだけど、コンビを組むホッキ・ジュニオールはそれほどでもない。組織的なプレスが90分続くわけでもない。連動して崩していけば漬け込む隙はある。
問題は強烈な破壊力を誇る攻撃面。攻撃に連動性はそれほど感じず、個人能力での打開に頼っている嫌いがあるけど、その個人技は圧倒的。今大会の課題としては中央に偏ってしまう事が上げられる。

ロベカルカフーの世界最高の両SBが不在で、コンフェデのブラジル代表のサイド攻撃はそこまで強力ではない((それでも普通のチームに比べるとSBの攻撃参加は怖いけど))。加えてカカーもロナウジーニョも中央から攻める事を好むので、サイドのスペースをあまり有効に使えてない。遅攻の際はSBが上がってくるけど、カウンター時は中央一辺倒。狭い中央から攻めに拘りすぎて、圧倒的攻勢になりながらメキシコの中央に厚い守りを崩せなかった。

どうやらカカとロナウジーニョは温存されそうだけど、代わりのジュニーニョやバプティスタも本来センターの選手で、サイド攻撃が得意なタイプではない。唯一ゼ・ロベルトが純粋なサイドアタッカーだけど、このチームではボランチを務めている*1。怪物アドリアーノも温存されるようなら大助かり。控えも強力とはいえ、この3枚看板ほどではない。

ブラジルらしく中央突破主体で来るだろうから、中央バイタルエリアはきっちり固めたい。不用意にバイタルを空けたら即やられる。ダブルボランチの内、中田英は上がり目になるだろうから、守備に残る福西の役割が大きくなりそう。

アドリアーノ温存だとしても、FWは強力。ロビーニョの高速またぎドリブルは脅威。何回もしつこくまたいでくるので見ていておもしろい。控えFWのオリベイラベティス)にしても、他の国だったらレギュラークラスの選手。リーガ・エスパニョーラで今シーズン22ゴール。
中盤も多種多彩。OMFのバプティスタ(セビージャ)は今シーズンリーガ18ゴール。強靭なフィジカルを活かして重戦車のようにエリア内に突撃してくる。CHのジュニーニョ(リヨン)のナックルFKは世界最高峰。ギリシャ戦のようなコースを狙ったシュートだけでなく、ロベカル並の無回転長距離弾も打てる。三浦淳の強化版FKと考えればイメージしやすい。長短とのパスが巧みで、一流のゲームメイカーでもある。

負ければ1次リーグ敗退となるが、当初予定していた主力の温存プランを撤回する可能性がある。先発から外れると見られたFWアドリアーノ、両方とも温存と見られたロナウジーニョとカカの2列目コンビについても、どちらかを起用することが濃厚だ。
http://www.nikkansports.com/ns/soccer/p-sc-tp0-050622-0004.html

パレイラ監督は攻撃の軸であるロナウジーニョ、カカーのベンチスタートを示唆。「彼らは欧州(リーグ)でのプレーで疲れている。準決勝のために温存するだろう」とまるで勝利を決めつけているかのような発言を残し、アドリアーノも温存濃厚だ。
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2005/06/22/03.html

情報は錯綜している模様。恐らくベストメンバーでは来ないだろうけど、どちらにしろ攻撃が恐ろしい事に変わりはない。不動の4-4-2で主力温存路線で予想スタメン。ベストならFWにアドリアーノ、OMFにロナウジーニョとカカ、ボランチにエメルソンが加わる。他にもセビージャのレナトバレンシアに新加入したエドゥもいる。主力温存の場合、ゼ・ロベルトをサイドで起用したりと、多少システム変更するかもしれない。

4-4-2

     オリベイラ ロビーニョ


   バプティスタ     ジュニーニョ

     ゼ・ロベルト ジウベルト

 レオ              シシーニョ
      ホッキ・J  ルッシオ

         ジーダ

これといって特別な対策はない。とにかく球際に激しく行って、気持ちでは絶対に負けない。集中力は絶対に切らさず、つまらないミスもしない。数少ない決定機は確実に決める。基本的なことが凄く重要になってくると思う。

勝たなければトーナメントは突破できない。勝てば真剣勝負の舞台でブラジルを敗退に追い込むことが出来る。こんな気持ち良い事はない。本気のブラジル相手の選手達の個人能力がどこまで通用するのか。不安の方が大きいけど、ギリシャ戦が好内容だったこともあり、久々に楽しみな一戦であります。

*1:ただ状況に応じてサイド攻撃に厚みを持たせるために出てくる