メキシコ戦

  • 日本代表 1-2 メキシコ代表

GK:23 川口能活
DF:2 田中誠、3 茶野隆行→9 玉田圭司(後半37分)、5 宮本恒靖(cap)
MF:7 中田英寿、8 小笠原満男→16 大黒将志(後半23分)、10 中村俊輔→18 稲本潤一(後半14分)、15 福西崇史、14 三都主アレサンドロ、21 加地亮
FW:13 柳沢敦

完全に力負けですな。日本選手のプレーが特別悪かったわけではない(腰痛の俊輔とデフォルトのアレックス以外)。ジーコの采配にも致命的な失敗はなかった。現時点での日本の力は出せたと思うけど、チームとしてメキシコの方が地力に優っていただけ。そしてそのメキシコにしても世界トップレベルの実力はないのが現実。

小笠原からスペースへ走った加地へのスルーパス、加地が正確な低めのクロスを上げて、それに合わせた柳沢のゴールは素晴らしかった。このシーンに代表されるように、スペースをうまく使おうとする攻撃面は進歩が見られた。ただ時間が経つにつれてメキシコペースとなり、後半は終始押し込まれて逆転負け。キリンカップのような不甲斐無い負けとは明らかに違うけど、先行きが不安なのは同じですな。

アジアレベルでは通用する守備も、メキシコのような世界レベルには通用しない。相手ボール時にリトリート(退却)して裏のスペースを消しても、バイタルエリアががら空きになってしまうと相手に簡単にミドルを打たれてしまう。ミドルシュート精度の低いアジアレベルではピンチにならなくても、本大会レベルのチームでは致命傷。現にミドルシュートで失点。パスコースやスペースを消すだけでなく、もっと人に当たりにいかなければ。

中田英が入って急遽選手間で構築されたプレッシングにしても、メキシコの人も動いて精度も速さも格上のパスワークには通用しなかった。低いDFラインで全体が間延びしていても、アジアレベルでは選手のポテンシャルと意識改革で乗り切れたけど、所詮チームとして連動したプレッシングが組織立って構築されているわけではないので、個力+組織力の総和で明らかに上回られているメキシコ相手にはどうしても付け焼刃になってしまう。ボランチの中田が上がったスペースを埋める約束事はチームに存在していないように見えた。俊輔は守備に奔走して持ち味を発揮できず。

攻撃でも、プレスの激しくないアジアでは後方からゆっくりポゼッションしながら押し上げていけるけど、全体をコンパクトにしてきっちり組織的なプレスをかけて来るメキシコ相手にはそう簡単に行かない。組み立てがうまくいかないからシュートに持ち込むことすらままならず、それどころか中盤でボールを失ってカウンターを喰らっていた。日本がポゼッションサッカーで主導権を握れない。これでは勝つのは難しい。

選手間の話し合いのみで何とかするサッカーは、対世界レベルにおいては限界があると思う。選手個々の判断はどんな戦術があっても必要な事だけど、せめて守備組織はチームの共通意識としてきっちり浸透させて欲しい、って今さらジーコに求めてもしょうがないのかもしれない。3年経ってこうなのだから。戦術を持たないジーコジャパンにおいては、選手達が自分で判断して頑張るしかない。

まあ、期待外れで怒りを覚えるなんて事はなく、だいたい予想通りです。もっとチンチンにやられると思ってたくらい。アジアレベルでも露呈していた弱点が、世界相手にすぐ改善されるわけがないし、アジアレベルで見せていた優位点は、世界相手には打ち消されるのみ。それに日本はアジアのイランには負けたくらいだし。メキシコはそんな甘い相手ではない。誰が監督でも勝つのは厳しい。

アジア予選を楽に突破した事で、「ジーコジャパンは全て正しかった」「日本は強くなった」という論調が一部のファンやマスコミ間で目立ったけど、あれはただ単にアジアのレベルの低さと4.5という枠の多さに助けられただけにすぎない。仮にアメリカの時の2枠や、フランスの時の3.5枠だったらもっと大苦戦したはず。

しかもアジア予選と本大会で当たる国とのレベルには雲泥の差がある。バーレンや北朝鮮レベルのチームは本大会にはまず出てこない。それどころかイランや韓国レベルのチームとグループリーグで同居する可能性もない(アジアは同ポット)。

今回のコンフェデではメキシコ、ギリシャ、ブラジルと同居する厳しいグループだけど、本大会ではもっと厳しいグループになるかもしれない。ポット2にシードに漏れたヨーロッパのサッカー大国や、ポット3に北中米ではなく南米が来る可能性もある。アジア予選を楽に通過しただけで、ワールドカップでも勝ち抜けると思っている人は楽観しすぎだと思います。強豪がひしめくポット1に入るシード権を得ていた自国開催大会とはわけが違う。

このコンフェデでグループ突破しないと駄目だとは言わないけど、最後まで突破を争えるレベルでないと本大会でのトーナメント進出は難しいと思う。ジーコジャパンにチームとしての継続的な戦術の積み上げはないし、選手のレベルが1年でいきなり飛躍する事もない。
選手間の話合いが長期間持てると一時的に強くなるかもしれないけど、代表が解散してメンバーが変化するような事があるともとに戻ってしまう恐れがある。現に昨年の欧州遠征でのチェコ戦やイングランド戦は良い内容のサッカーをしたけど、あれが継続されるようなことはなかった。
何とか残り2戦頑張って欲しいです。選手には本番に臨むくらいの気迫で挑んで欲しい。