イラン戦

  • イラン代表 2-1 日本代表

日本
GK:1楢崎正剛
DF:21加地亮、5宮本恒靖、22中沢佑二、17三浦淳宏
MF:15福西崇史、18小野伸二(79分8小笠原満男)、7中田英寿、10中村俊輔
FW:20高原直泰(82分31大黒将志)、28玉田圭司(62分13柳沢敦

同点に追いついた時点で、勝ち越しにいくのか守り抜くのかが中途半端、チームとして意思統一されていなかった印象。初戦勝っているんだし、アウェーなら引き分け狙いに徹してもよかったと思うけど。イランにもそこまで強さを感じなかったし、最低でも勝ち点1は獲得できる試合だったと思うんだが。

結果・内容とも不満が残る出来。最終予選本番、結果がでれば内容なんて関係なかったんだけど。結局のところイラン相手に個々の局面で勝てなかった事が大きい。特に日本の攻撃陣が通用していなかった。このチームはよく組織されたチームではなく、ベースとなる確立された戦術も持たないので、どうしても選手個々のパフォーマンスに試合内容が大きく左右されますな。これまで結果を出してきた3-5-2ではなく、ぶっつけ本番4バックに戸惑う選手に期待するのは酷かも知れないけど。
この点がこのチームの限界だと思う。アジアの列強相手に“個”で負けるんだから、“個”に頼ったチームでWC本番で結果が出せるとは思えない。アジア予選レベルでは致命的な問題ではないんだろうけど。開催国シードがないドイツ大会、グループリーグでは同居する全てのチームがイラン以上だと思う。別にジーコの目指す方向は否定しないけど、まだ早いんじゃないかな。

守備陣は2失点したわけだから褒められる結果ではない。楢埼はまあ及第点。失点はしょうがない。CB2人は頑張っていたけど、CBが2枚という穴を突かれたかな。中澤の高さは流石だった。宮本は2CBの一角としては対人面に不安が残る。DFラインは相変わらず引きすぎの時間帯もあったけど、それはチーム全体の責任だし、アウェーということもあって仕方ないでしょう。
4バックにおいて攻撃の生命線を握るSBの攻撃参加は効果的に機能していなかった。そもそも今までずっと3-5-2で戦ってきて、いきなり4バックにしたらうまくいく方が珍しい。加地はまだ積極的に攻撃参加していたけど、突破や正確なクロスというのは望めない。守備力のなさは相変わらず。三浦アツは守備を第一にしていたんだろうけど、ビハインドになった時間帯はもっと積極的に攻撃参加して欲しかった。
中盤はイマイチ。全体的に中盤の守備には不備が目立った。
ぶっつけ先発に賛否両論あった中田は、現時点のコンディションを考慮すれば悪くない出来。ただ彼個人でどうにかするというレベルにはないから、救世主となるまでの活躍には至らず。もっと周りのフォローが欲しかったけど、1年ぶりのチーム合流で多くを期待するのは無理な話か。ただコンディション次第では今後計算できる人材なのは確か。絶対視は危険だが。
俊輔はいまいち。相手の守備陣を引き付けてはいたが、特に攻撃面で貢献できたわけではなく。本人の言うように3-5-2のトップ下の方が合っているのかも。守備は頑張っていたけど、そこが目立つという事は俊輔の良さが出ていない証拠。
案の定ボランチコンビは守備面不満が。福西はナイスゴール、ただ全体を通して印象には残らず。ダブルボランチでの小野のパートナーは、もっとバイタルエリアをカバーする必要があると思うんだが。小野は良い感じでボールを散していたし、ミドルは惜しかった。不得意な守備も頑張っていたし、最後まで残しておいても良かったと思う。
代わりに入った小笠原は試合の流れに全然乗れずじまい。途中交代で流れを変えるようなタイプではないですな。というか、あそこで小野と交代という采配が駄目すぎる。いいかげん鹿島枠はやめれ。
FWの出来はかなりまずかった。先発の高原も玉田も前線で起点になれなく、鈴木のような潰れ役にもなれなかった。あのまま出ていてもゴールの期待は出来なかったので交代は納得。もっと早くても良かったくらい。
ただ交代したFWも救世主にはなれず。久しくノーゴールの柳沢をあのタイミングで出すのは無謀だと思ったけど、動き自体はそれほど悪くなかった。一応は同点弾を演出したわけだしお役御免か。
ただなんで最終予選本番で、久しぶりに召集された選手、しかも怪我人の代わりに急遽呼んだ選手をスーパーサブで起用しなくてはならないのか。そんな優先順位が高い選手なら最初から呼んでおけと。そういう疑問が激しく残る。大黒とのコンビなんてここ数日しかやっていないはずで、ぶっつけ本番で機能するわけない。北朝鮮戦のような奇跡が起これば賭けに勝ったジーコが正しいんだけど、今日は奇跡起こらず。イランに北朝鮮のような稚拙なGKはいなかった。
 


今まで結果を出してきた3バック(3-5-2)を崩し、中田英寿を使うため(だよね?)にろくに機能した例のない4バック(4-2-2-2)を選択したジーコ。しかも最終予選というぶっつけ本番で。中田をチーム内に組み入れて、自らが理想とする4バックに戻すためには、このタイミングが最後のチャンスだと思ったんだろうけど、いわば賭けに近いですよね。これまでの集大成を発揮するのが最終予選なのに、その最終予選本番でやり方を変えようとしたわけだ。
ジーコが相手によって臨機応変にシステムや人選を変える監督なら問題ないけど、彼は徹底して固定路線。そして「勝ったチームはいじるな」を信条にしている。なのに結果がでているチームをいじってきたのはなんとも腑に落ちない。相手の3トップ気味のサイド攻撃に対応しての4バックというのも考えられるけど、それに対応できる良く組織された4バック・システムやチーム戦術があるわけでもない。机上の計算では3トップに対して4バックというのは間違いではないけど、それはあくまで組織された4バックがあってのこと。それに相手は日本の対策を見越して2トップ気味できてたし。
元々ジーコは相手のシステム・戦術に臨機応変に対応できる監督じゃないと思うんだから、普段どおりの日本のサッカーでいった方が良かった。まあ中田の先発起用に固執したんだろうけど。
まあ中田起用がどうとか、4バックがどうだったかは関係なく、結果さえ出せればジーコの選択は正解だったわけだ。最低でも勝ち点1。でも結果は勝ち点0。これまで積み上げてきたものを崩して、自分の我を通すという賭けに負けたわけだから、ジーコは非難されても仕方ない。
ただ予選敗退が決まったわけではなく、まだあと4戦も残っている。次のバーレーンに勝てば帳消し。代表監督として力不足が叫ばれるジーコだけど、もうここまできたんだから現実的に解任の可能性はない。選手達には何とかして立て直して欲しいものです。

(4−4−2のシステムについて)最初はうまくいかないだろうと思っていたけれど。うまく個人の能力を生かして、例えば右サイドに張らせるといったプラスの部分もあると思う。でも、だからすぐにしっくり来るシステムというわけでもない。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/headlines/20050326-00000008-spnavi-spo.html

キャプテンの宮本がこんな事言ってるくらいだから、4バックが失敗だと言われてもしょうがない。タイプ的に宮本には4バックのCBは厳しいと思うし。