男祭り感想

友人数人とテレビ観戦。みんな特別ネットや雑誌等で情報収集することなく、民放で放映される格闘技興行を積極的に観戦するといった感じの。自分の感想と、友人の評判の二本立てで。


▼第1試合
 ○美濃輪育久(1R ヒールホールド)ステファン・レコ×

綺麗に足関節を極めた美濃輪。レコは総合の練習をやっているのかな。キックボクサーのままでは勝てない。今後のPRIDEでの使い方は難しそう。株を上げた美濃輪だけど、別に大して成長していないと思う。長南レベルでは勝てないでしょう。日本に帰ってこないで、BTTでずっと練習していた方が良かったと思う。でも積極的な試合を見せてくれる時は大好きだ。頑張って欲しい。
友人の評判はかなり良かった。というか美濃輪はいつも好評。俺が美濃輪の魅力を3割増で説明した効果もあったかもしれんが。美濃輪はキャラが立ってるし、ビジュアルもけっこう良いからね。

▼第2試合
 ×ジャイアント・シルバ(1R 肩固め)チェ・ムベ
興味もなかったし、試合内容もおもしろくない。DSEはムベ様なんてプッシュしてどうするつもりなんだ。韓国の市場を意識しての事なのか。他にPRIDEに出すべき選手は五万といると思うが。シルバも完全に化けの皮が剥がれてしまって苦しい。最初から皮なんて見えなかったけどね。巨人幻想で売り出すのもいい加減限界でしょう。
と思いきや友人達はかなり興奮して見ていた。シルバはいつも大人気。お茶の間的にはシルバのようなビッグマン貴重な存在なんですかね。視聴率も良いらしいし。ただ自分の必死な知ったか解説もあってか、周りでは段々とシルバ幻想を消すことに成功しつつある。


▼第3試合
 ×安生洋二(1R 腕ひしぎ逆十字)ハイアン・グレイシー

奇跡は起こらなかった。やっぱ既に一線を退いた感のある安生では、現役ばりばりのハイアンに勝負するのは厳しいよ。これで総合格闘家としては見納めなのかも。ハイアンは実力の割りに認知度が高くてキャラも立っている。海千山千のミドル級戦線ではかなり美味しい存在。そこで中村が名乗りをあげたけど、それだけは勘弁。ハイアンにはぜひとも拒否して欲しい。中村は地味に強いんだから、守りに入らず強いやつとやってくれ。
これはみんな冷めていたなあ。安生なんて誰も知らなかったことと、グラウンドで多少の膠着があったからか。あとハイアンはミドル級最高レベルの実力者だと認識されていた。

▼第4試合
 ○長南亮(3R ヒールホールド)アンデウソン・シウバ×
長南凄いな。鮮やかな足関節。足関十段みたいだった。いつのまにあんな技を会得していたんだ?アンデウソンはPRIDEで高瀬に負けているのでイマイチ評価が低いけど、戦績的には間違いなくトップファイター。これは武士道GP優勝の最右翼でしょう。日本人に2連敗のアンデウソンは今後PRIDEでは厳しくなってしまったね。
これはかなり評判が良かった。カニバサミからのヒールなんていう妙技を目にするのは始めてだった模様。格闘技ブームのご時世にハン先生がいれば大スターになれたかも知れない。

▼第5試合
 ○滝本誠(時間切れ判定 3-0)戦闘竜×

実力的には拮抗していたけど、体重差とお互いの相性もあってかかなり噛み合わなかった。大してうまくない(テレビ的にはPRIDEトップクラスらしいが)スタンドで勝負したい戦闘龍と、懐に飛び込みたくても打撃に不慣れで踏み込めない瀧本。テイクダウンした時には瀧本が勝ったと思ったけど、戦闘龍を極めるテクニックもまだ有していなかった。戦闘龍には上を取ったらパウンドする勇気、瀧本にはスタンドで一歩踏み込む勇気が欲しかった所。かなりグダグダ。相撲vs常道というアングルに拘りすぎた悪いマッチメイクだったと思う。
瀧本の次戦は同階級の選手とやって欲しい。瀧本は戦前「総合対策は全くやってない。」とか総合を舐めたような発言が多くて好感を抱けなかったけど、試合後の「総合舐めていました、すみません。」という正直な発言は悪くなかった。全くその通りなので、次は鍛錬を積んで「柔道家」ではなく「総合格闘家」としてリングに上がって欲しい。そのためには利用されて不利になることも多い柔道着を脱いで裸で戦う方が良いと思う。着たままだと柔術家には勝てないし。でも柔道衣具とスポンサー料入らないから無理か。戦闘竜の次戦はムベ様と組まされそうだな。なんとなく。
この試合の評判は悪い。両者の消極的な姿勢への受けが悪かった。スタンドでのお見合いにも大して緊張感がなくて散々。最後の瀧本の柔道着で絞めようとしたシーンには皆ひいていた。ルールで身体以外の武器を使うことが認められているとは知らなかったらしい。卑怯という意見が多数。「柔道着の裾を武器として出す行為は、人間の汚い部分が出てきているようだった」という意見には笑った。ルール上は認められているわけだから、勝ちへの執念とも取れるが。個人的に総合格闘技で柔道着を利用した締め技というのは好きになれない(そういう人は多いと思う)。


▼第6試合
 ×吉田秀彦(時間切れ判定 0-3)ルーロン・ガードナー
ガードナーは終始スタンドで勝負狙いで、グラウンドには全く付き合わず。グラウンドで上をとっても深追いはしない。スタンドでは総合は打撃素人とは思えない積極性を店、組み付いたらこつこつパンチ。レスリング五輪金メダリストのスタンド・レスリングは凄まじく、ただでさえ体重差のある柔道金メダリストの投げは全く通じなかった。関節技への不安も、グラウンドの局面で勝負しなければ関係なし。ガードナーの戦略が見事に嵌った格好。これがチームクエストが授けた吉田対策なのか。
吉田は相手をテイクダウンできない展開だと勝ち目は薄い。スタンドレスリングに特化したガードナーは相性が悪かった。打撃も最初に比べると大分上達したけど、打撃初挑戦のガードナーを上回れないようでは厳しい。相変わらず今後ヘビー級の一級線と勝負するのは無理そう。ガードナーは総合初挑戦としては見事な対応力を見せた。チーム・クエストでしっかりと総合対策を練ってきた模様。でもこの戦法は打撃に決め手のない吉田だから通用したと思う。今後打撃技術が向上すればかなり期待できるけど、年齢的にそれは厳しいか。
これは意外と評判が良かった。吉田という知名度抜群の存在と、ガードナーの金メダリストという肩書き。最強クラスの実力者と認識されている吉田を圧倒したガードナーには感嘆の声も上がっていた。


▼第7試合
 ○ミルコ・クロコップ(1R フロントチョーク)ケビン・ランデルマン×

ミルコまさかのフロントチョーク。これがファブリシオ効果なのか。今回はランデルマンがあまりに不用意だったけど、今後フロントチョークを自分の武器に出来れば相手は不用意にタックルに行けなくなる。常に進化し続けるミルコ。ヒョードルに土をつけるとしたらこの男か。
これは当然の如く大好評です。

▼第8試合
 ○ダン・ヘンダーソン(時間切れ判定 2-1)近藤有己×

近藤凄すぎ。あのダンヘンと互角以上に渡り合っていた。難しい判定だったけど、自分は近藤の勝ちだと思ったけどなあ。1Rと2Rは近藤ペース。スタンド打撃でも打ち勝ったし、グラウンンのポジション争いでも優って、肩固めをも極めかけた。3Rはダンヘンのペースだったけど、致命傷は喰らわなかったはず。プロテクトされている日本人なら間違いなく勝ちになったでしょ。これが外様の辛さか。
高レベルの好試合だった。でもこれがミドル級GP査定マッチかよ、これが査定なら、日本人選手は誰も出れないことになってしまうが。「桜庭・吉田に続く実力者」という近藤の紹介だけど、続くというよりむしろ先頭のような。査定マッチで結果的には負けたのでGP出場はどうなんだろう。ここまでダンヘンと渡り合ったから出場できると思うけど、外様の辛さかまたフア兄弟のような知名度の割りに実力が並外れた選手と当てられてしまいそうだ。個人的には吉田か桜庭との対戦を希望。日本人の格付けを済ませて欲しい。強豪外国人は強豪同士でしのぎを削って、日本人対決に勝利した者のみ世界に挑戦できるようにするべき。でも絶対にないだろうな。ダンヘンはもう間違いなくGP優勝候補の一人。でも近藤もダンヘンも体重がミドル級リミットより大分軽いんだよね。それが少なからず響きそう。
この試合はけっこう好評判。近藤もダンヘンの実力者としては認識されていないようで、戦前の食いつきはかなり悪かったのだけど、両者アグレッシブだったのが功をそうしたようです。でも両者とも強くは見えなかったらしい。滅茶苦茶強いと吹きこんでおいた。


▼第9試合
 ○五味隆典(1R KO)ジェンス・パルヴァー×

お互いスタンド・レスリングが高次元で拮抗していて、展開は必然的にスタンド勝負へと。ただのスタンド打撃戦ではなく、総合格闘技での最高峰のボクシングの応酬といった印象。テイクダウンに気を払いながらあそこまで打撃を積極的に打ち合えるのは凄い。そして2人とも当然グラウンドにも対応できる。その上であれだけの打撃ができて、2人とも一流のレスリング力を兼ね備えている。総合的なスタンド能力では世界トップレベルの2人。立ち技最高峰のK-1MAXとはまた違った魅力の打撃戦だった。
五味は凄い。いくら体重差があったとはいえ、あのパルヴァーをスタンド勝負でKOしてしまうとは。五味が勝つとしたら判定だと思ってた。強い日本人がKO勝利したことで、お茶の間へのアピールも大でしょう。でもマイクはけっこうグダグダ。「大晦日はやっぱりKOでしょう」の一言で短く締めた方が良かった。パルヴァーはやはり体重差に苦しんだのかな。階級というのは大きいものですな。彼はK-1の方が生きると思う。そこには同階級のKIDもいるし、K-1ルールにも対応できるはず。というより高谷戦希望。
今後のPRIDE軽量級戦線はどうだろう。パルヴァーに勝ってしまった今となっては、五味に見合う相手は世界でも僅か。それらの選手をPRIDEがブッキングできるかどうか。軽量級最強対決としてBJペン戦が見たいという意見がネットでは散見されるけど、それは正直厳しいと思う。今や2人の階級が違っているので、ただでさえ高いペンの牙城は五味では崩せそうもないから。BJペンは軽量級に限らず中量級最強も狙える器だし。それなら川尻、シャオリン、ハンセンといった辺りの方が良い。でも五味も増量しているからなあ。修斗とPRIDEが接近しつつあるらしいけど、噂の川尻参戦はありえるのか?
これも評判が良かったけど、KO決着という結果のおかげだったと思う。パルヴァーが全くの無名だったせいで、五味が順当に普通の選手を倒した試合という印象だった模様。あとはボクシングみたいで、それならK-1戦士の方が強いんじゃないかという意見も。


▼第10試合
 ×ヴァンダレイ・シウバ(時間切れ判定 1-2)マーク・ハント

ハント凄い。K-1王者のポテンシャルを舐めてたわ、正直スマン。打撃も当然のように凄かったけど、腰も強いし、グラウンドも何とか凌げていた。グラウンドに持ち込まれたら圧倒的に経験で優るシウバに極められると思ってたんだが。今後さらに総合の鍛錬を積んでいけば化けるかも。苦手のグラウンドに持ち込まれないために、更なるスタンドレスリング向上が望まれる。
シウバはスタンドで圧力をかけられない相手では意外な脆さが露呈してしまった。今まではスタンドで主導権を握れたため、グラウンドで勝負を決めなければならない状況はほとんどなかった。今回は自分より打撃に秀でたハントが相手とあって、かなり戸惑っていた印象を受けた。ハント戦が決まってから期間が短かったせいで、ハント対策を十分に練れなかった事も影響したのかも。スタンドでは殴りあわずにテイクダウからのグラウンド勝負に拘って、倒したら踏みつけにはいかず押さえ込んでこつこつ殴っていれば勝ったと思う。あえてKO勝ちを狙っていった事は失敗だった。あとは体重差30kgも影響したと思う。この様子だと対ヘビーは厳しいのかも。シウバクラスといえど階級の枠を超えるのは難しいということか。BJペンは正真正銘の化け物だな。
これは大好評。2人とも知名度抜群で強いと認識されているし、試合自体もアグレッシブだったからね。

▼第11試合<PRIDEヘビー級GP決勝戦&ヘビー級チャンピオンシップ>
 ○エメリヤーエンコ・ヒョードル(時間切れ判定 3-0)アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ×

ヒョードルの判定勝利という、大方の予想通りの結果になってしまった。前回同様ノゲイラヒョードルのパウンド対策をよく練ってきたけど、今回はヒョードルがそこまでパウンドに固執しなかった。打撃にテイクダウンを含めたスタンドの局面で圧倒して、グラウンドでも深追いせずに離れ際からの打撃を有効に使用。この戦法で来られたらノイゲラに勝ち目はないでしょう。ダメージ差以上の実力差があったと思う。
総合的な能力では他を圧倒している感のあるヒョードル。凄いのは打撃とテイクダウンが一体化している点。殴りにいってそれを避けられたはずなのに、次の瞬間には組み付いて投げ捨てている。一つ一つの技が連動していて、一切の無駄を省いてよどみなく流れていく印象。際の攻防がダントツで凄い。引き出しも多くて、相手によって違った戦略の出れるのも強み。打・投・極の全てが高レベル。打撃に一撃のないノゲイラ相手ではスタンド主体でいったけど、これがハントだったらテイクダウンして関節技かパウンドで圧殺でしょう。残る敵はスタンド維持に長けていて一撃必殺の打撃を有するミルコか。何が起こるか分からない格闘技界、やれる内に早期実現を希望。
これも概ね好評。でも盛り上がりは1Rがピークで、単調な展開に飽きもあった雰囲気。判定というのは不満だった模様。個人的にはかなりおもしろかった。確かに一方的で単調だったかもしれないけど、一つ一つの攻防が高レベルで目が離せなかった。満足です。

  • 総括