コパ・アメリカ決勝

アルゼンチンほぼ五輪代表(実質フル代表)vs ブラジルB代表の決勝戦。EUROに比べると恐ろしく注目度が低いようですな。皆さん南米よりヨーロッパ好きなのかな。試合感想の数もEUROに比べると極端に少ない。それを読むのが楽しみだったんで残念。これはEUROで燃え尽きただけかな。かくいう自分も試合は観ても、感想まで書く気力がわかなかった。せっかくだから決勝だけでも書いておきます。コパは逸材だらけの楽しい大会だった。

アルゼンチン
GK:R・アボンダンシエリ
DF:F・コロッチーニ、R・アジャラ、G・エインセ
MF:J・サネッティ、J・マスチェラーノ、J・P・ソリン、L・ゴンサレス(75分A・ダレッサンドロ
FW:C・キリ・ゴンサレス、C・テベス(91分F・キローガ)、M・ロサレス(63分C・デルガド

ブラジル
GK:ジュリオ・セザル
DF:マイコンルイゾン(80分クリス)、ジュアン、グスタヴォ・ネリ
MF:ヘナト、クレベルソン(54分ジエゴ)、エドゥー、アレックス(62分フェリピ)
FW:アドリアーノルイス・ファビアーノ

アルゼンチンは大会中用いてきた4バック(実質2バック)ではなく、3バック(以前の3-4-3)システム。これは少し意外。主にトップ下で起用されていたテベスがFW陣の真ん中。ブラジルは4-4-2。

アルゼンチンが主導権を握って攻め続ける試合展開。先制点をルーチョがPKゲット、キリが決めて先制。その後もアルゼンチンペースで、このまま前半終了と思いきや、ロスタイムにセットプレールイゾンがゴール。ブラジル追いつく。後半も圧倒的アルゼンチンペース。しかし攻めども攻めども得点が奪えない。終盤にやっとの思いでデルガドが勝ち越し。そうなったらアルゼンチンは持ち前の技術の高さで時間稼ぎ(テベスとダレサンドロの足裏は凄い)。このまま試合終了かと思いきや、ロスタイムに怪物の左足が火を噴いた。延長がないためPK突入。PK戦で勝利したブラジルB代表が優勝。さらばビエルサか?

アルゼンチンは強い。選手個々の圧倒的なテクニック、パスコースとスペースを作るためのフリーランニング、そこから生まれる圧倒的なポゼション。サイドではウイングとウイングバックの2枚を中心に常に数的有利を保って攻めていく。攻撃が個人技だけではなく凄く組織立っている。守備時のプレスもしっかり出来ていて、DFの個人能力にも問題がない。コパ出場国の中でずば抜けて洗礼されたチーム。
しかしボールをキープして、サイドをいくら崩しても、最後の詰めが甘くてゴールに繋がらない。前線の選手が決め切れなくては、いくら試合を支配して攻め続けても勝てない。最も得点を期待されているCFのテベスは戻ってボールを貰いたがる(コネたがる)。そのためゴール前に選手が足りなくなる場面も目立った。手数を掛けすぎては相手DFにも戻られてしまう。前線に上がる選手が多すぎてもスペースがなくなってしまう弊害もある。
これらのことはビエルサになって何度も言われてるんだけど、ビエルサのサッカーだけが原因ではなく、決められない選手の決定力不足(恐ろしくハイレベルな所で)もあると思う。現にテベスは最高の決定機で決められなかった。でもビエルサが責任を取らされるんですかね。
それでも2点獲っているんだから、守りきれなかったDF(チーム全体)の責任も勿論ある。ロスタイムに2失点というツキのなさもあるけど、集中力の欠如ともいえるんではないか。
でもビエルサのアルゼンチンは守りに入って守れ切れるチームではないと思う。最後まで攻めて攻め勝つサッカー。山ほどあったチャンスで突き放しておくべきだった。それだけに、終了間際のCFのテベスに代えてCBのキロガ投入。せっかく守りを固めたのに、そこから追いつかれたのは何か象徴的だった。


一方のブラジル。圧倒的にポゼッションでは上回るも、点が奪えず勝ちきれないというと、EUROでのギリシャに敗れていった試合をイメージする人が多いと思う。でもブラジルはギリシャのような守備に優れた組織的なチームではない。
DF組織はけして堅固とは言えないし、ダイレクトプレーを駆使した素早いカウンターもなかった。アルゼンチンの鋭いプレスや自らの稚拙な繋ぎの影響もあって(エドゥーがブレーキ)、お家芸のポゼッションさえままならない。でも圧倒的な個人能力を持った怪物FWがいた。
勿論勝因(実質引き分け)はそれだけではないんだけど、そう思わせてしまう凄みがアドリアーノにはあった。あの状況で決めてしまうんだから。交代枠3人はすべて負傷交代とツキもなく、攻めてなんぼのブラジルが圧倒的に押されていたのに、90分戦った結果は引き分け。決めれるときに決めることは重要だと改めて感じた。アルゼンチンとは対照的。
解説者にブラジルは「優勝に値しない」とまで言われていた。判定があったなら間違いなくアルゼンチン優勝でしょう。でも優勝したのはブラジル。B代表で何でこんな強いのか。恐るべしサッカー王国。


各選手の個人技や勝利への気持ちは素晴らしく、劇的な展開も生まれる好試合となった。それだけに延長戦が観たかった。この試合の勝敗をPK戦に委ねてしまうのは勿体無い。勝者と敗者のコントラストはあまりにも残酷だった。PKで負けが決まってしまうのはいつもながら残酷である。しかもそれが主導権を握って攻め続けていたチームなら尚更。でも解説陣も言っていたけど、「サッカ−というのはそういうもの」なんですな。
そして後頭部接触で崩れ落ちていたルイゾン。その後の強行出場の影響か、試合途中で吐いて救急車で病院直行。彼の容態だけが気がかり。無事であって欲しい。