グループD

前半終了。因縁の対決も今のところは昨日ほどの名勝負にはなっていない。両者ともDF組織が脆すぎて緊張感がいまいち。後半に期待。

チェコは2トップ、オランダもセードルフ先発で3バック気味という両者とも一番良かった陣容とは違う。特に初戦でイマイチだったダービッツとコクーを先発で起用して、ラフィもスナイデルも使わないアドフォカートは何がしたいのか。

オランダが2点先行したけど、オランダの攻撃が見事というよりチェコの守備が拙さすぎた。1点目のセットプレーは完全なマークミス。2点目は簡単に裏を取られすぎ。ネドベドがボールを持ったダービッツへのチェックを怠っていたし、右にいた選手は裏のロッベンへの注意がなさすぎで、DFライン全員がダービッツを見てしまっていた。

案の定ロッベンに裏を取られて、たまたま戻っていなかったファン・ニステルローイに簡単に決められた。ロッベンの裏への走り込みとニステルへのラストパスは見事だったけど、チェコのDFがお粗末すぎた結果。

オランダのお粗末すぎるミスパスチェコも1点返す。奪ったバロシュが積極果敢な突破でスタムを交わしかけ、もつれてこぼれたボールにいち早く反応してフリーで待っていたコラーにパス。コラーが落ち着いて一対一を決めた。バロシュの積極性な仕掛けは素晴らしかった。

後半終了。チェコが逆転勝利ですね。強烈なミドルシュートというのは大きな武器になりますな。采配の妙も興味深く、派手で面白い試合だった。

アドフォカートの采配がよくわからん。最初に交代させたロッベンは、鋭利な刃物のような切れ味鋭いドリブルでもの凄く機能していた。同じ左ウインガーのオーフェルマウスを入れるならまだ分かるけど、なぜか入れたのはボランチのボスフェルト。逃げ切るために消極的な守備固め。

強力な守備組織のあるチームならまだしも、オランダが消極的な戦い方で守りきれるわけないと思っていたら、案の定同点に追いつかれる。その後はヘイティンガの未熟な退場劇の影響も大きく、チェコに攻め立てられてしまった。

カウンターにある程度の脅威があれば相手も攻撃だけに専念するわけにいかないのに、それをなくしてしまったら相手は心置きなく攻めにいける。ロッベンが引っ込んですぐ、ブルックナーは守備的なボランチのガラセクに代えて本来FWのハインツ投入。1ボランチにはパスセンス溢れるロシツキーを置くという超攻撃的布陣。

ロシツキーは守備も得意だけど、本来はトップ下でのゲームメイクが持ち味の攻撃的な選手。このチームでも守備時に1ボランチのガラセクを補佐する立場で、パスを捌いて攻撃を組み立てるのが主な仕事だった。そんな彼を1ボランチに置けるのは、ロッベン交代によるウイング不在でサイドの脅威がなくなったから。監督の采配の差が出ましたな。オランダが攻めのメンタリティーを捨てたら勝てませんよ。

以前と比べてオランダの攻撃にダイナミックさが足りないのは、後方からの展開力が大きく不足しているから。かつてはDFに全盛期のF・デブール*1がいたし、プレーオフでも若いスナイデル*2を抜擢したから上手くいった。

コクーとダービッツでは守備は良くても、展開力という点ではそこまで期待できない。今シーズンのバルサでは機能していたコンビだけど、オランダのスタメンにはバルサと違ってシャビ*3はいないんだから。

セードルフダービッツが善戦に飛び出していく形は上手くいってたけど、自分達の崩しで得点が生まれる匂いは感じられず。プレーオフでの大爆発した時のように、もっとウインガーを生かす形でやった方が良策に思えた。連動性もないからサイド攻撃はウイングの個人技頼み。以前のオランダはどこへやら。

アドフォカートは無能すぎる。マカーイは何のために連れて来たんだか。予選でチェコに遅れをとって1位通過が無理になり、終盤で吹っ切れてラフィとスナイデルといった若手を抜擢したからEUROに出場できたのに、また元のベテラン重用路線に戻ってしまった。しかも攻撃志向を忘れて美しく散ることも叶わず。果たしてここから立ち直せるんでしょうか。ラトビアは簡単な相手ではないし、突破を決めたチェコはドイツ戦に主力温存で挑むと予想される。

チェコは素晴らしかった。守備に不安はあるけど、監督の采配と相成った攻撃的姿勢が素晴らしい。流動的で組織的だった攻撃の機能美だけでなく、各選手の個人技術も凄いレベル。

ネドベドは縦横無尽に駆け回り、ヘイティンガは振り回されっぱなしで、結局は無理に止めようとファウルして退場。ゴールを決めた強烈なミドルシュートも素晴らしかった。

コラーの見事な落しから生まれたバロシュのシュートも素晴らしかった。バロシュはラッキーボーイとして絶好調。2トップで行くのはどうかと思ったけど、バロシュが練習などで好調すぎるため、2トップにしてでも使わざるを得ないんでしょう。その期待に見事に応えた。

ロシツキーの献身的姿勢に想像性豊かなパスセンス、ポボルスキーのドリブルと3点目を演出した落ち着きも目を見張る。

そして何よりブルックナーの積極的な采配が素晴らしい。監督の差配合戦は圧倒的大差でチェコに軍配。これで予選突破一番乗り。この攻撃的姿勢で大会を盛り上げていって欲しい。

*1:世界一正確なロングフィードをもつ男

*2:両足でのキック精度に優れた司令塔

*3:預ければパスで打開してくれる