ブルガリア 0-2 デンマーク

デンマークのパスワークは相変わらず美しい。イタリア戦と同じように、選手が空いたスペースに自ら走ってパスコースを作り、出し手もそのスペースに早いタイミングで正確なパスを送って、そこからパスを出した選手が再びボールを受けやすいところに動いていき、チーム全体でサイドを崩していく。ボールを持った選手を積極的に追い越していく動きも頻繁に見られる組織的に優れたサッカー。ブルガリアはサイドを崩されて度々ピンチを招いていた。
守備時のプレスも、パスコースを切ったりボール保持者に積極的にチェイスにいく動きがチーム全体で連動していて、ブルガリアはは容易にはボールを回せなかった。選手の運動量も豊富でサボり癖もあまりない。
よく中堅国は選手の個人能力が強豪国より明らかに劣るから規律のある組織的サッカーで渡り合っているように言われるんだけど、デンマ−クに関してはそうとも言えない。単に知名度が低いだけであって、主力選手は強豪国にも何ら引けを取らない実力者揃い(超一流とはいえないけど)。それは代表戦だけでなく、各国欧州リーグでの活躍でも証明されている。特にトマソンヨルゲンセングラベセン、グロンキア、ロンメダールポウルセンといった中盤は欧州屈指。
個人技に劣るから組織に頼っているわけじゃなくて、確固たる技術を個々が持った上で、その選手の特徴を生かした組織的サッカーをやっている点が強み。よく組織されたパスワークも、各選手の技術と判断力が高レベルだから、スピードの速いパスを正確な位置に出し、それを正確なトラップでコントロールしながら、ダイレクトを交えた早いタイミングで繋いで攻められる。そしてサイドに展開すれば、欧州屈指のサイドアタッカーが個人技で崩していける。
で、凄くいいサッカーをやってるんだけど、こういうサッカーは運動量が多くなるから暑さの中では90分は持ちづらい。この試合でも終盤は選手の足が止まって、守備時のプレスやスペースを埋める動き、攻撃時のパスコースを作ったりボール保持者を追い越す動きが減ってきた。なんで序盤のうちに先制点を入れておかないと厳しくなる。今回は前半で先制出来たのが功を奏したけど、その前にも決めれるチャンスはもっとあった。決定機を逃すと強豪刻相手には厳しくなってしまう。堅い守りで省エネサッカーをやるチームには案外脆かったりするのかも。
ブルガリアは予選敗退。集中力が切れやすいのがここ2戦で裏目に出てしまった。先制して波に乗れれば強いんだけど、逆に先制されて思うように行かないと審判の裁定なんかに過剰に苛立ってしまう。このレベル相手に退場者が出てしまうと厳しい。でも中盤の組み立てに可能性を感じる中々いいチームだった。運悪くグループリーグに同居した相手があまりにも強すぎだっただけ。