ガーナ戦メンバー

GK:
川口能活(磐田)、山岸範宏(浦和)、西川周作(大分)
DF:
三都主アレサンドロ(浦和)、駒野友一(広島)、水本裕貴(千葉)
MF:
羽生直剛(千葉)、遠藤保仁(G大阪)、二川孝広(G大阪)、中村憲剛(川崎)、鈴木啓太(浦和)、阿部勇樹(千葉)、佐藤勇人(千葉)、田中隼磨(横浜FM)、山岸智(千葉)、長谷部誠(浦和)
FW:
播戸竜二(G大阪)、巻誠一郎(千葉)、我那覇和樹(川崎)、佐藤寿人(広島)

トゥーリオ、坪井、加地は怪我。海外組みは選考外。ポジションのバランスが少しおかしいけど、追加召集があるのかな。ないならCBが少なすぎ。まだ不確定なので、そこは追加召集後に追記する。

【追加招集】
DF 山口智ガンバ大阪)、青山直晃清水エスパルス
MF 今野泰幸(FC東京)

極端に層の薄かったCBは予想通りの妥当な人選。山口はガンバで左SBをやっているので、そこで使われる可能性もある。2人ともJリーグで活躍しているし、オシムのサッカーに必要な資質も備えている。
今野に関しては、個人の能力としては問題ないけれど、召集人数の多いボランチの選手を追加したという点で少しだけ疑問もある。ただ、昨シーズンにSBやっていた事もあるし、ユーティリティ性を重視したのかな。低迷中の同じFC東京でも、前回の伊野波選出より適切だと思う。

追加召集としては、概ね納得いく人選でしたね。この急造メンバーが僅かな練習時間でガーナ相手に通用するかは別として。


とりあえず、教え子のジェフ勢が優遇された事は別にして、これまでよりJリーグの活躍度が重視された選考という印象。全部が全部そうではないけれど、選ばれるべき旬の選手が順当に選ばれた。初選出のボランチ中村とFW播戸は、それぞれのポジションでWC中断明けのJリーグにおいて最も活躍している選手で、ここでも呼ぶべきと何度か取り上げてきたので、ようやくという感じ。オシムはツボを外さないね。こうなると、海外組みを合わせたベストメンバーが早く見てみたい。


これまでは、代表に相応しい活躍をリーグでしていないのに選ばれていた選手達が少なからずいたけれど*1、今回はあからさまに不当な選手はいない。勿論、他に選ばれてもおかしくない選手、外れて残念な選手もいるし、自分との好みの違いもあるけれど、国内組み限定なら、とりわけ問題視すべき選考はないと思う*2。それよりも重要なのは数日後の試合内容。


国内組み限定で、ガーナ相手にどこまでやれるかは不安だけれど、選手たちには良い経験になるでしょうね。とりあえず誰を使ってもいいから、適材適所で使うことを希望しておく。このメンバーで勝てるとは思わないけど、ホームでやる意地は見せてもらいたい。



ジェフ勢優遇に非難の声も大きいようだけど、個人的には選手選考以外の部分の人選の方に大きな不満がある。オシム本人に「なぜあんな大声を出しているか分からない」と言われたらしい某コーチですよ。選手達が自主的に判断する必要のあるサッカーで、あのオーバーコーチングは利より害の方が大きいのではないのかな。コーチング自体が的確かも分からんし。オシムが指示していないと分かった以上、これは見逃せない。



それではポジションごとに見てみよう。追加召集されたので、追記と修正をしました。

  • FW

FWに関しては単純明快で好感が持てる。J1での日本人得点ランク上位4人が順当に選考され、僅か4ゴールの達也が外された。この得点力重視の選考基準*3は、Jリーグの他のFWにも良い刺激になると思う。ポスト系では二桁決めている前田と高松、スピード系では9点の松橋が候補に挙がっていると思うけれど、実際に代表召集された4人よりゴール数が少ないわけだから、それぞれに納得の行く選考でしょう。得点数が重視されるというのは、ジーコ時代にはなかった新たな基準。

  • MF

これまでボランチの人選には、守備力や走力が重視されていて、技術や展開力はそこまで重視されていなかった。今回は川崎の技巧派レジスタ中村憲剛が選出された事で、選手構成のバランスは良くなったと思う。中東遠征の鈴木と阿部の組み合わせだと、守備面は計算できても、楔のパスやゲームメイクの点で問題もあった。彼らのようなタイプとコンビを組む存在として、相互補完性のある中村のようなタイプもぜひ試して欲しい。遠藤も中東遠征での2列目より、ボランチの方が適職だと思う。

2列目では山瀬と梅崎の落選が残念*4オシムは遠藤やサントスを2列目で使っていたけれど、それぞれの本職はボランチとサイドであって、ゴール前に飛び出せる山瀬や梅崎ら本職OMFの方がより適性はあると思う。ただ他に選ばれた羽生や二川も実力者なので、枠が限られている限り仕方がないでしょうね。大宮の大悟は調子を落としていたので、落選は妥当かな。中村直志もポジション的な使い所が見えなかった。

  • サイド

右SBの加地が怪我したけれど、駒野と隼磨が右SBをこなせるので、明確な代役はなし。これまでサイドはSB兼任タイプが優遇されてきたけれど、攻撃的なタイプとして山岸が初選出。サイドではなく、2列目のサントスが使われていた位置に置く可能性もある。個人的にはジュビロの太田を選んで欲しかったけど、まだ波が激しいので仕方がないか。
相変わらず本職の左SBは不在。これまで左で使われている駒野は、やはり右サイドが適職だと思うので、ここの人材の発掘は急務。一度、新井場、根本、服部公らを呼んでみても良いのでは。追加された今野、山口を左サイドで試すのかもね。

  • CB

ただでさえ層が薄いポジションなのに、レギュラーのトゥーリオと坪井を欠いて、本職が初選出の水本だけになってしまった。ボランチの阿部が下がって守れるとしても、本職が一人だけでは少なすぎる。ここに追加召集がなかったら少し疑問。まあ、あるだろうけど。ガンバの山口、川崎の伊藤、清水の青山と高木、鹿島の岩政、マリノスの栗原あたりか。
追記:ガンバの山口、清水の青山が追加招集。納得の人選。急造DF陣がガーナ相手に通用するかは別として。

  • 所属クラブの順位と選出数の比較

1 浦和レッズ ・・・4名
2 ガンバ大阪 ・・・4名
3 川崎フロンターレ・・・2名
4 清水エスパルス・・・1名
5 鹿島アントラーズ
6 大分トリニータ
7 ジェフユナイテッド千葉・・・6名
8 ジュビロ磐田・・・1名
9 横浜F・マリノス・・・1名
10 アルビレックス新潟
11 名古屋グランパスエイト
12 ヴァンフォーレ甲府
13 大宮アルディージャ
14 FC東京・・・1名
15 サンフレッチェ広島・・・2名
16 京都パープルサンガ
17 アビスパ福岡
18 セレッソ大阪

チーム状況を考えると、ジェフ千葉勢が多すぎる気はしないでもない。これは代表にオシムの意図を浸透させる為に、教え子を多く呼びたいという事と、練習期間がない状況では、同一チーム中心にチーム構成した方が効率が良いという理由からでしょうか。これがずっと続くなら問題だけれど、就任して間もない現段階では仕方がないのかもしれない。千葉枠と揶揄されるだろうけど、ピッチ上の試合内容と結果で見返すしかないですね。


千葉より上位チームなら、ガンバの山口、明神、橋本、川崎の谷口、伊藤、鹿島の野沢、新井場、岩政、清水の枝村、伊東、高木、青山、市川、大分の梅崎、高松、松橋、根本、深谷あたりは選ばれてもおかしくない実力者とは思う。特にポジションごとのバランスを考えると、CBと左アウトサイドの選手は追加招集されるかもしれない。追記:青山と山口が追加。


下位チームでは広島から2名選出されているけれど、寿人と駒野は代表レベルのプレーを見せているので、ここは不当な選出ではない。特に寿人は、この順位のチームであそこまでゴールを量産している事が、逆に凄い。広島は2度も監督交代しているけれど、どの監督になっても結果を出している点も特筆。


初選出者の雑感

スピードがあって、マンマーク力のあるCB。彼より知って失点数の少ないチームで活躍しているCBはいるけれど、マンマーク戦術のオシムサッカーへの適応度からすると上位に入ると思う。85年生まれとまだ若いので、将来性を重視した側面もあると思う。WYでは日本のDFの中で一番安定していた。

人に強く、得点力のあるCB。上背はそれほどでもないけれど、セットプレーでの飛び込みのタイミングが良い。ガンバでは4バック時に左SBをやるユーティリティ性もある。対人なら、同じガンバの宮本より強いと思う。

得点力のあるサイドアタッカー。サイドに張ってドリブル突破からクロスというタイプではなく、シャドーストライカーのように中に絞って積極的にゴールに絡んでくる。スピード、フィジカル、運動量に優れ、元FWらしい得点感覚も魅力。リーグとナビスコ含めると、かなりの数のゴールに絡んでいて、実行力のあるタイプ。右利きだけれど、左サイドの方が得意な印象。ただ代表だと、どこで使うかが難しいかもしれない。

川崎躍進の原動力である、展開力のあるボランチ。海外ではレジスタプレーメーカーピボーテなどと形容されるタイプですね。単にキック精度が良いだけではなく、状況判断が良く、視野も広くて、危険なスペースを的確に突いてくる。的確にパスを散すゲームメイクも巧い。ミドルやプレスキックも得意。運動量もあって、ゴール前の飛び出しもこなせる。弱点はフィジカルコンタクトと守備全般。マンマーク、DFラインに入るプレーは苦手。そこがオシムの求めるボランチ像に合わない懸念もある。国際経験が全くないのも未知数。最近は川崎の試合について多く書いてきたので、詳しくはそこを参照してください

Jリーグで一番旬のストライカー。通算14ゴール、90分あたりの得点率が1点以上と、驚異的な得点率を誇っている。パスを引き出す動きなど、シュートまでのアプローチが絶品で、トラップからシュートまでのタイミングも早い。反応速度に優れ、こぼれ球を詰めるのも得意。スピードもあって、前線からのチェイシングにも献身的。国際レベルのDF相手にどこまでやれるかが焦点。



恒例?のオシム・ジャパン未経験者の代表候補。オシムが順当に中村や播戸を選んだので、そろそろ苦しくなってきた。

    前田(高松) 松橋(新居)

鈴木慎(本田)       太田(石川)

    橋本(伊東) 谷口(枝村)

新井場(根本)       市川(徳永)
   岩政(高木) 松田(伊藤) 

       楢崎(藤ヶ谷)

*1:まあ、若手に経験を積ませるためなど、確固たる意図があるなら、リーグでの活躍度を軽視するのも、場合によってはアリだと思う。ただ言われているほど、リーグでの活躍度にオシムの選考が比例していた訳ではない。

*2:Jリーグで結果を残している選手を外して、出場0の選手を呼ぶ五輪代表よりは遥かに納得が行く。

*3:まあ、それだけではないだろうけど。4人はゴールだけではなくその過程も充実しているしね。

*4:この2戦でそれぞれと当たった磐田戦で比較すると、梅崎のキレは凄まじかった。あの積極性と多様性は日本人OMFでは異質。山瀬はファブリシオのハードマークに苦労していたけれど、他の試合では活躍していた。まあ今後もチャンスはあるでしょう。