プレミア関連その2


WC前で大人しかった昨シーズンに比べ、今シーズンは締め切り間際の滑り込み移籍が活発だった。それ以前のも含めて、まずはプレミア関連のまとめ2。一ヶ月前にやった「その1」はここ。ソースはめんどくさいのでuefa.comで統一してます。そこに載っていないのはやらないので、漏れも多いです。


アーセナルFCレアル・マドリーCFは、スペイン代表FWホセ・アントニオ・レジェス(22)とブラジル代表MFジュリオ・セサール・バプチスタ(24)の交換トレードに合意した。契約は2006-07シーズンいっぱいの期限付きとなる。
http://jp.uefa.com/competitions/UCL/news/Kind=1/newsId=451884.html?cid=rssfeed&att=index

レジェスアーセナルから気持ちが離れていたし、バプティスタもカペッロ構想からは外れていたので、その点では妥当なトレード。ただどちらのクラブにもそれなりの旨みがある。ただし、適正価格で売却して、それを補強優先順位高いポジションの獲得資金に回した方が良かったと思う。

アーセナル
左SHは、レジェスだけでなくピレスも放出しているので、選手層がかなり手薄になってしまった。ここは開幕したプレミアでも既にそうしているように、新戦力のロシツキーをコンバートさせるんでしょう。ただ本来は中央の選手で、特に4-1-4-1ならSHより2列目中央が適正ポジション。ペルシも出来ない事はないけど、アーセナルではセカンドトップ起用が多い。まあ左右こなすリュンベリもいるから大丈夫だと思うけど、怪我が多いので不安。アーセナルは左のSBとSHが様変わりしたので、左サイド攻撃の構築に時間が掛かるかもしれない。

ベンゲルの若手補強眼は評価してるけど、選手層へのリスク・マネジメントには欠けていると思う。昨シーズンのリーグ戦での苦戦もそれが一因。プレミア適性のある左SHなら、ブラックバーンペデルセンなんか獲得して損はなかったと思うけど。マルセイユリベリーを獲れていれば最高だったんだけどね。

バプティスタはユーティリティ性のある選手で、マドリーでは負傷者が出るたびに、便利屋的に1トップから1ボランチまでこなしていた。ただアレは、マドリーの歪なポジションごとの選手層と、監督の起用法がおかしかっただけで、本質的には攻撃的な中央MFだと思う。マドリー加入前に所属していたセビージャでは、1トップ下のポジションから、FWを追い越してゴール前に飛び出し得点を量産していた。身体能力がやばくて、ダイナミックなプレースタイルの、ある意味ブラジル人らしくない選手。守備も下手じゃない。
アーセナルにもいないタイプなので、嵌れば面白いかもしれない。4-4-2の中盤中央より、4-1-4-1でアンカーの前方に位置する方が面白いと思う。2トップならセカンドトップもこなせるね。でもアーセナルのパスサッカーにフィットするかは未知数だ。まずはポジションを固める事でしょうね。


マドリー
バプティスタに関しては、オーソドックスなダブルボランチ4-4-2で戦いそうなカペッロ構想に入っていないと思うので、マドリーにとってそれほど痛手ではない。昨シーズンは便利屋的に1ボランチから1トップまで使われて持ち味を発揮していなかったので、本人にとっても悪くないでしょう。

ただ既にドリブラーロビーニョのいる左SHに、レジェスを獲得する必要性はそこまでない。その余波かカンテラの有望株を放出。アーセナルとトレードするなら、ロベカルが衰えている左SHに、アシュリー・コールを補強した方が良かったと思う。

でもレジェスロビーニョと同じドリブラーでも、タイプは違う。左サイドを突破してクロスを上げるプレーは間違いなくレジェスに軍配が上がる。マドリーにはクロスに合わせるプレーに長けたニステルが加入したので、ホットラインを築ければ面白そう。プレミアより故郷リーガの水の方が合うと思うし、本人にとっては良かったかもしれない。喜んでるし。まあ活躍次第ですが。

アーセナルFCチェルシーFCが31日、イングランド代表の左SBアシュリー・コール(25)とフランス代表DFウィリアム・ガラ(29)の交換トレードで合意した。チェルシーはガラを放出するとともに、700万ユーロ(約10億5000万円)をアーセナルへ支払う。
http://jp.uefa.com/competitions/UCL/news/Kind=1/newsId=452053.html?cid=rssfeed&att=index

これは双方にとって微妙なトレード。確かに補強にはなっているけれど、失った選手の重要性を考えるとマイナスも大きい。ただどちらの選手もチームから心が離れていたので、仕方ない部分もある。これでグーナーにとって、Ashly ColeはCashly Coleに格下げですね。

アーセナル

DFラインならどこでもこなせるギャラスの加入は、DF層の薄いアーセナルにとってかなり大きい。能力的にも問題なし。これでキャンベルとシガンの抜けた穴は埋められた、というより、キャンベルは衰えていたしシガンはネタ要員だったので、むしろ戦力向上している。ギャラスとトゥレの中央守備は鉄壁。センデロスとジュルーのスイス代表CBコンビもいるので、中央は磐石。

一方、アシュリーが抜けてしまった事で、左SBがかなり手薄になってしまった。開幕からホイトがやっているけど、明らかに見劣る。ただ負傷中の若手にクリシーという逸材がいるので、彼の成長次第ではダメージを最小限に抑えられる。ギャラスを左SBに回すという手もあるけど、アーセナルのスタイルに嵌るかは未知数*1。昨シーズンのようにフラミニのコンバートという手もある。アシュリー残留でギャラスを獲れたら最高だったんだけどね。


チェルシー

デルオルノを放出したので、本職左SBは手薄といえば手薄だったけど、レギュラーにはイングランド代表のブリッジがいる。開幕から良いプレーもしている。同一国代表の左SBを同一チームに2人も抱えるのは効率が悪い。ただアシュリーの能力自体は文句なしで、この2人がいるチェルシーの左SBは能力も選手層も磐石。

一方、ユーティリティ性のあるギャラスの放出は痛すぎる。チェルシーでは地味な存在だったかもしれないけど、昨シーズンの貢献度はチーム最上位クラスだったと思う。状況に応じてポジションを変えられるから、モウリーニョのスタイルとの相性が抜群だった。HSVからブラルーズを獲得したけど、ギャラスと比べると数段見劣る。そこがどうなるか。セントラルもテリーとカルバーリョが怪我したら穴があく。

どちらかというと金銭を追加したチェルシーの方が損しているかな。どうやらケニヨンの独断らしく、ギャラスを買っていたモウリーニョは切れているらしい。

イングランドプレミアシップウェストハム・ユナイテッドFCが31日、ブラジルのSCコリンチャンスからカルロス・テベス(22)とハビエル・マスケラーノ(22)のアルゼンチン代表2選手を獲得するという、クラブ史上最大級の大型補強を行った。
ウェストハムは次の声明を公式サイトに掲載した。「移籍金は未公表。両選手は31日午後、完全移籍の契約に合意した。そのほかの移籍についての詳細は極秘扱いとし、公表しない」。
http://jp.uefa.com/competitions/UEFACup/news/Kind=1/newsId=451741.html?cid=rssfeed&att=index

毎年恒例、締め切り間際のサプライズですね。
ウェストハムの資金力だけで、この二人を獲得できたとは考えにくい。ウェストハム買収の噂があり、二人のパスを持つMSI、そして油繋がりでチェルシーが絡んでいるかもしれない。プレミアでの適正を見極めて、来シーズンからの獲得を見据えているのかも。

2人とも能力的には全く問題はない。
テベスの個人技はプレミアでも十分通用するだろうけど、チームスタイルにフィットするかが課題。それにテベスのプレースタイルやキャラクターが、マリーシアを極端に嫌うイングランドの水に合うかは未知数。
マスチェラーノはプレースタイルの面で問題はないでしょう。彼のような中盤守備が万全で、繋ぎの確実に出来るアンカーMFは、現在の欧州サッカーシーンでキー・ポジションの一つ。モウリーニョマケレレの後釜に狙っていると思うし、ファギーベンゲルも欲しいはず。

それにしてもウェストハムは面白そうだ。レオコーカーとマスチェラーノの中盤センターは、守備力だけならプレミア最高峰。積極的で突破力のあるエザリントンと、テクと創造性のあるベナユンの両翼。そして個人技のテベスを軸に、ヘアウッドとザモラ、負傷中の逸材アシュトンもいるFW陣。DFにも北京世代最高峰のアントン、イングランド国内ではアシュリーとブリッジに次ぐ左SBのコンチェスキーUEFAカップ圏内躍進を十分狙える陣容だ。MSIが狙ってるらしいのが不安だけど。
個人的にはラシン時代から好きなベナユン推しで。リーガの中堅・下位クラブの中心によくいる天才肌のテクニシャンで、プレミアに馴染めるか心配だったけど、何の問題もなく適応。イングランドにはいないタイプのテクニカルなSHですな。


移籍市場の閉鎖を目前に控え、イングランドミドルスブラFCが最終ラインを強化のため、レアル・マドリーCFからCBのジョナサン・ウッドゲイト(26)を、チェルシーFCからドイツ代表DFロベルト・フート(22)をそれぞれ獲得した。
http://jp.uefa.com/footballeurope/news/Kind=2/newsId=450995.html?cid=rssfeed&att=footballeurope/index

クラブ規模を考えれば贅沢で豪華な補強。でも、どことなくネタ臭がするのは気のせいか。
ウッディは予想通りの感じで、マドリーでは活躍できなかった。1,980万ユーロ(約29億5,000万円)で加入して、度重なる負傷で殆ど貢献できず。そもそもG・ミリートをメディカルチェックで落として、ウッディをすんなり合格させた、マドリーのメディカルスタッフは大丈夫なのかね。これ書くの何度目だ。
本来の能力はイングランド代表クラス。かつてはテリーより評価が高かったくらいで、イングランドでリオとキャンベルの次に評価の高いCBだった。怪我がなければね。コンディションを戻せば十分活躍できるでしょう。
フートは不安定だけど、年齢を考えるとポテンシャルはある。サウスゲイト監督に色々と教えてもらってね。でもフートに890万ユーロ(約13億2,600万円)の5年契約を交わすボロは金ありすぎ。昨シーズン、リーグ14位のクラブでここまで資金力のあるのはプレミアだけ。
ボロはFWのヤクブ、両翼のダウニングとモリソン、控えのCHカッターモールが有望ですね。ヤクブはヴィドゥカを超える可能性あると思うよ。なかなか将来性のあるチーム。

UEFAカップに出場するトッテナム・ホットスパーFCが31日、フラムFCのフランス人MFステード・マルブランク(26)を獲得した。移籍金は未発表。トッテナムのU-21イングランド代表ウィンガー、ウェイン・ルートレッジ(21)はフラムへ1年の期限付きで移籍することになった。
http://jp.uefa.com/competitions/UEFACup/news/Kind=1/newsId=451585.html

サイドアタッカー同士のトレードですね。どちらもドリブラーだけど、マルブランクはテクニカルで中にも切れ込む多様性のあるタイプ、ルートリッジは縦突破型の快速ウインガータイプ。北京世代のルートリッジはかなり将来有望だけど、逸材レノンとキャラが被るので、移籍も仕方ないでしょうね。マルブランクはフラムで燻っていたけど、数年前はプレミア屈指の活躍を見せていた。再生すれば面白い。
今シーズンもスパーズは強力補強。戦力はかなり上積みされている。ただキャリックというプレーメーカーを放出したので、その影響がどう出るか。40億で売ったのは商売的には正解だけど、戦力的な損失も大きい。目標はCL圏内か。CHの新戦力であるゾゴラがフィットしないと、今シーズンは苦戦するかもしれない。

イングランドプレミアシップトッテナム・ホットスパーFCは29日、ASローマのエジプト代表FWアフマド・ホッサム・ミド(23)の完全移籍で合意したと発表した。同選手は昨季まで18カ月の期限付きでトッテナムに所属していた。移籍金は750万ユーロ(11億2000億円)前後。
http://jp.uefa.com/competitions/UEFACup/news/Kind=1/newsId=450629.html

ミドはアヤックス在籍時はズラタンより評価の高かった時期もあった大型CF。スパーズはベルバトフを獲得したので、大金かけて買い取らないと思っていたので、少々意外な展開。精神的に落ち着かず、伸び悩んでいる感もあるけど、まだ若くポテンシャルも感じるので、スパーズもその点を評価したんでしょうね。
これで大型CFにはベルバトフとミドがいて、スピード型FWにロビー・キーンとデフォーがいる。CLに出るわけでもないのに、随分贅沢だね。プレミア・バブル。

ナイジェリア代表FWオバフェミ・マルティンス(21)がFCインテル・ミラノを退団し、移籍金1,500万ユーロ(約20億2,500万円)で、UEFAカップ優勝を目指すニューカッスル・ユナイテッドFCへ移籍した。
http://jp.uefa.com/competitions/UEFACup/news/Kind=1/newsId=448921.html

オーウェン負傷、快速FWを補強と。決定力は物足りないけど、スピードを始めとする身体能力全般は凄まじい。でもイマイチ評価できない所として、年齢詐称疑惑が根強い所。21歳なら凄い選手だと思うけど、噂通りの年齢ならここまでの価値はないね。
まあニューカッスルオーウェンが長期離脱しているので、スピード型FWの獲得は悪くない。オーウェンよりDFラインとの駆け引きや得点力は劣るけど、身体能力や爆発力では上回るね。でも安定感ないよ。あと開幕早々怪我したように、意外と脆い。ただインテルが放出したというのは、欧州サッカー界では有名な爆発フラグでもあります。過去、数多の選手がインテルを出た途端に化けていった。
インテルニューカッスルアトレチコ、補強資金や戦力と成績が見合わないことでは、各リーグを随一のクラブの内、どこが先に抜け出すでしょうね。この3クラブの毎年の補強は凄まじいよ。でも順位は……

ニューカッスルマンチェスター・ユナイテッドのFWジュゼッペ・ロッシを1年間の期限付きで獲得した。アメリカ生まれの19歳のストライカーはマンUと2010年までの契約があり、ファーガソン監督も高く評価しているが、現状では出場機会が少ないため、FW不足のニューカッスルでプレーすることになった。

スピードのあるセカンドトップ。将来性はあると思うけど、現時点ではスーパーサブ止まりでしょうな。
シアラーの引退したニューカッスルにとって必要なのは、快速FWだけではなく、得点力のあってポストプレーの得意なリアルストライカーだと思う。アメオビがけっこうポスト巧くなってるけど、まだまだ総合的には物足りない。若手ならCL予選で敗退したアヤックスフンテラールがオススメ。早めに唾をつけておかないと、値段が高騰して手が付けれられなくなると思う。オランダリーグでの得点力は過剰評価されがちで、トップリーグで苦戦する選手も多いけど、フンテラールはケジュマンらとはレベルが違うと思う。なぜWCメンバーから外したファンバステン

フェイエノールトのオランダ代表FWディルク・カイトが18日、イングランドプレミアシップリバプールFCへ4年契約で移籍した。両クラブは移籍金を公表していないが、1500万ユーロ(約22億円)前後とみられている。
http://jp.uefa.com/competitions/UCL/news/Kind=1/newsId=446491.html

これは良い補強ですよ。WCではファンバステンがなぜかオランダ式3トップの中央で使ったため評価を落としたけど*2、2トップのリバプールでなら活躍する可能性はある。リバプールは小粒な補強が多かったけど、資金はこのために残していたんだね。多くの若手有望株をレンタル放出して、目玉としてカイトを補強したわけだから、これが当たらないと厳しいでしょうね。ここまではそこそこ出来で、ファウラーより期待出来るね。
昨シーズンはシセ、クラウチモリエンテス、ファウラーのFW陣が、一人もリーグ戦二桁ゴールできなかった。今年はベラミーとカイトが加わったし、クラウチも成長している。層の薄かった両SHとCBも補強した。戦力的には増強。ラファは勝負の年ですね。

プレミアシップの開幕前日、王者チェルシーFCが守備陣強化のため、オランダ代表CBハリド・ブラルズ(24)をハンブルガーSVから獲得した。
http://jp.uefa.com/competitions/UCL/news/Kind=1/newsId=446755.html

発表時は未定だったけど、結果的にはギャラスの後釜に。ただSBとしてもCBとしてもギャラスほどの守備力はない。まあオランダ人DFらしく、そこそこフィードキックは巧い。チェルシーのレギュラー張る器ではないけど、控えDFとしては贅沢な存在でしょう。早速SBで使われてたし。
でも昨シーズンのレギュラーCB二人を引き抜かれたHSVはつらいね。

マンチェスター・ユナイテッドFCは10日、ポーランド代表GKトマシュ・クシュチャク(24)を1年の期限付きでウェスト・ブロミッジ・アルビオンFCから獲得したと発表した。
http://jp.uefa.com/competitions/UCL/news/Kind=1/newsId=444238.html

これは的確。控えGKにしては十分すぎる実力者。ファンデルサールが高齢だから、将来を見越してという意味でも悪くない。ただハワードで満足しないファギーの要求を満たせるかは微妙なところだけど。

*1:守備面では問題ないけど、攻撃面に不安がある

*2:ニステル干すならフンテラールマカーイ呼ぶべきだった。