準々決勝2日目

イングランド−ポルトガル 冷静と情熱の因縁対決(WSP)
ブラジル−フランス 1998年W杯ファイナル再び(WSP)
7月1日:優勝経験国が準決勝進出を狙う(FIFAworldcup.com)
イングランド対ポルトガル:試合のみどころ(FIFAworldcup.com)
イングランド対ポルトガル: 38年の時を隔てた忘れえぬドラマ(FIFAworldcup.com)
ブラジル対フランス:試合のみどころ(FIFAworldcup.com)
フランスとの戦績を5割に戻したいブラジル(FIFAworldcup.com)
ブラジルをいかに倒すか?(FIFAworldcup.com)
イングランドとポルトガル、ブラジルとフランスが対戦 準々決勝見どころ(スポーツナビ)

これだけの好カードが1日に2つも並ぶ事は珍しい。これぞWCの準々決勝。両チームのレベル、対照的なチームスタイルの妙、タレントの充実度、そして因縁など、それぞれに見所がありすぎる。過去の対戦を振り返っても好勝負率高し*1。今日は眠れない*2。審判は試合を壊さないように。

ここまで来ればどのチームが勝ち上がっても構わないけれど、イングランドがアンチ・スペクタクル路線を続けるなら、準決勝以降の試合クオリティーを維持するためにもポルトガルに頑張って欲しい*3。今時イタリアでもあんな省エネ守備的サッカーはやらない。あれだけ充実した攻撃的タレントを複数揃えているんだから、頼むよエリクソンルーニー1トップに放り込みだなんて。

もう一試合、チームとしては南米勢唯一の生き残りとしてブラジルを準決勝以降で見たいけれど、個人でいえばジダンの現役生活をまだ見ていたいというのもある。これはどっちでも良いかな。

順当にいけばイングランド、ブラジル有利でしょう。でも何が起こるかわからない。準決勝の組み合わせ、因縁的には、フランスvsポルトガル(EURO2000準決勝)、イングランドvsブラジル(WC2002準々決勝)になった方が興味深い。まあどうなっても面白いだろうけど。



ルーニーの1トップはどうかと思うけど、今日のイングランドはそこまで退屈ではないなあ。エクアドル戦に比べたら段違い。基本的にリアクションスタイルだから、相手なりに良くなるかもしれない。引き篭もらないで前からプレスにも言ってるし、1トップのルーニーへ安易に放り込まず、中盤でパスを繋いで崩す意図もある程度見られる。


ポルトガルはやはりデコの不在を感じる。中盤でパスは繋げても、バイタル付近でのタメや変化が足りない。代役がチアゴでは能力的にもタイプ的に荷が重い。ほとんど消えてしまっている。コスチーニャマニシェ、デコの熟練の連係が欠けたのは痛いな。


ベッカム負傷交代か。今日はイマイチだったのでダメージはそれほどではないけど、セットプレーの怖さはなくなった。代わりは快速ドリブラーのレノン。早速チャンスを作った。ドリブルはやはり速いなあ。


ルーニー退場。若さが出た。ポルトガルの狡猾さに嵌められたとも。厳しすぎる気がするけどね。暴言でも吐いたのかな。これでイングラドは引き篭もってしまいそう。せっかくの好カード、退場により試合が壊れてしまったのは少し残念。帳尻あわせの退場もあるから、ポルトガルも気を付けなくてはならない。

フェリペは数的有利で点取り屋のパウレタを下げるのか。現時点ではちょっと分からん。ロナウドを真ん中では持ち味が消えてしまう。サイドに流れるから中も薄くなる。


エリクソンはJ・コールからクラウチか。放り込み大作戦かな。イングランドはやる事が明確になって、そこまでダメージはないかもしれない。守りに専念すれば固いし。


ポルトガルは1トップのパウレタがいなくなって、前線に起点がなくなってしまった。サイドからクロス上げてM中で合わせる選手がいない。FWを一枚入れた方が良いと思うけど。OMFのヴィアナ入れたけど、どうなんだろう。



PK戦ではリカルドに神が降臨した。ジェラードとランパード*4を止めるとは。リカルドはPK強いな。今回も最後にグローブ外して止めて、自分で蹴って決めたら面白かったけど。ポルトガルも外してたからヒヤヒヤしたよ。良かった良かった。これ以降の試合のクオリティーを考えても喜ばしい。これで残り試合はどのチームが勝っても負けても構わないです。安心して見れる。


どちらかが先制すれば熱い展開になったと思うけど、お互いに様子を伺う膠着した試合になってしまいましたな。過去2試合のような名勝負にならなかったのは残念。

堅守のチームに引いて守られて攻め手をなくし、カウンターでチャンスを作られるという苦手パターンに嵌ってしまった。パスは繋げても最後が崩せない。パウレタ下げてロナウドの1トップにしたフェリペの采配も外れ気味。負けゲームの流れだった。

似たような展開になったここ数年のイングランド戦では、フィーゴやルイのミラクルがチームを救ったけれど、今日はゴール前の変化に乏しかった。ギリシャ戦の敗北が頭を過ぎったよ。次はデコが戻ってくるので、多少は改善されるでしょう。デコがまだ見れるのは嬉しい。

この試合はイマイチだったけれど、攻守におけるチームバランスの良さは大会屈指。タレント的にはそこまでではないけれど、個々の特徴がチームとして良く機能している。23人の選手選もおかしい所はなかった。こういうチームが勝ち残るのは良いことだと思う。決定力はアレだけど、そもそもFWがいないから仕方ないかな。日本も見習うべき点の多い国だと思う。

それにしてもフェリペはイングランドに相性良いなあ。


エクアドル戦で全世界の眠気を誘ったルーニー1トップの4-1-4-1を継続したのは疑問だった。それでも今日は運動量があって、前からのプレス、後方からの攻めあがりも多く、チャンスは作り出せていた。

退場後は押し込まれてしまったけれど、守ってカウンターとやる事ははっきりしていた印象。まずクラウチに当てるという共通理解が出来たのが大きい。ただクラウチに当てたボールのこぼれを拾って、点を決める選手がいなかった。ルーニー退場したらまともなFWはいない。

黄金の中盤」というメディアが作ったパブリックイメージとは裏腹に、中盤の構成力はそれほどでもないんだから、最初からクラウチをターゲットにして、ルーニーとの2トップの方が良かったんじゃないかな。ルーニーの1トップには無理があるよ。そのルーニーが退場したのは不運。

終盤はスペースが空きだして、レノンのスピードが良く利いていた。素早い攻めから決定機も作る。ただし、今日のイングランドはとにかく決定力を欠いた。決定力さえあれば勝てた試合だった。


ずっと指摘してきた事だけど、エリクソンはこの4年間で一度もイングランド史上最高のタレント達を生かしきれなかった。守備だけはずっと固かったけど、攻撃タレントがあれだけいるのに常に守備的偏重。強豪国の中では一番スペクタクルのないチームだった。タレント不足のドイツでさえあそこまで攻撃的にチームを改良したのにね。


そして常に付きまとったバランスの問題。ジェラードとランパードの2センターの4-4-2にするとお互いに持ち味を消してしまって、2人の攻撃性を活かす為に底にアンカー置いて4-1-4-1にしたら、1トップは適性のないルーニーになってしまう。最適なシステムと人選配置は最後まで未確定のまま、大会中ですら一度も固定できなかった。今大会のハーグリーブスの出来を見る限り、彼とランパードかジェラードを組み合わせた2センターにして、前線は2トップにした方がバランスは良かったと思う。


発表時から疑問視してきた、オーウェンルーニーが怪我持ちなのに、リーグ戦未出場のウォルコットを召集した選手選考。オーウェンが怪我してしまったので、計算できるFWが2人だけになり攻撃のオプションが足りなくなってしまった。だから仕方なくベンチにオプションとしてクラウチを置く事にも繋がったのかな。ルーニーは2トップでこそ活きるタイプなのに。次世代枠を置くなら、第5FWとして呼ぶべきだったと思う。クラウチオーウェンよりプレミアで点取ってる選手達が可哀想だった。


後任のマクラーレンには、優れた選手を順番に並べるだけでなく、適材適所で使って、チームとして機能させることが求められる。当面はルーニーを中心にして、ルーニーが最大限活きるシステムを構築すべきでしょうね。ルーニーを1トップに置くのは宝の持ち腐れ。


最後に、エリクソンの作るチームは退屈すぎた。つまらない試合率は強豪国トップだろう。アンチ・スペクタクルの象徴。タレントのいない中堅・弱小国なら仕方ないけど、そうではないからね。イタリア*5やドイツがモデルチェンジしていく姿とは対照的だった。マクラーレンにはその点でも期待したいです。

*1:イングランドvsポルトガルは、EURO2000・2004屈指のベストマッチ、そしてベストゴールも生まれている(フィーゴとルイのスーペルミドルね)。なぜだか噛み合せが良いんだよな。

*2:仮眠するので前日の試合のレビューはまだなしで。

*3:デコがいないのは厳しすぎるけど。

*4:今大会は本当にシュートが当たっていなかった。

*5:今大会も「カテナチオ:と強調されるけど、以前よりかなり攻撃的になっていると思う。傑出した攻撃的タレントに放り込む単調な攻撃は少なく、中盤でも素早く繋いで攻めていけるようになった。カウンター時に掛ける人数も増えている。SBの上がりも多い。昔ならピルロボランチなんてまずやらなかっただろうしね。そういうのが守備面でも相乗効果になっている。