グループD

いまさらですが。やはり2強が順当に突破しそうなグループ。

アンゴラ 0−1 ポルトガル
[得点]4分:パウレタ
ANG 0-1 POR :試合レポート

アンゴラ 4-2-3-1
GK:ジョアン・リカルド
DF:ジャンバ、カリ、デルガド、ロコ 
MF:フィゲイレド(80分:ミロイ)、マテウスメンドンサ、ゼ・カランガ(70分:エジソン)、アンドレ
FW:アクワ(60分:マントラス)

ポルトガル 4-2-3-1
GK:リカルド
DF:ミゲル、フェルナンド・メイラリカルド・カルヴァーリョ、ヌーノ・ヴァレンテ
MF:フィーゴ、ペティート、ティアゴクリスティアーノ・ロナウド、シモン
FW:パウレタ

         パウレタ

 シモン    フィーゴ    ロナウド

      ペチート チアゴ

バレンテ             ミゲル
     カルバーリョ メイラ

         リカルド

ポルトガルの心臓部であるデコが怪我で欠場。マニシェコスチーニャも控えで、ポルトガルのEURO準優勝、そしてFCポルトで欧州CLを制覇した自慢の3センターを欠いた。そのためか中盤の制圧力がいつもより明らかに弱い。プレスも攻撃の組み立ても本領発揮できず。中盤は間延びしてアンゴラに健闘を許してしまった。デコの不在を大きく感じた。

デコがいないポルトガルの攻撃は、フィーゴが匠の技で彩る。カウンターから見事なドリブルで突破で切れ込み、折り返しをパウレタが決めて先制。その他の場面でもドリブルでアクセントを付け、巧みなキープでデコを欠くポルトガルのボールの預け所になっていた。同時期に時代を彩ったジダンに衰えが見られる中、彼はまだまだ元気のようだ。

これを見るとまだまだロナウドは青い。ドリブルテクは凄いけど、相変わらず実行力が伴わない。ただエリア内での打点の高いヘッド強烈なシュートなど、随所に才能の片鱗は見せた。名ドリブラーと持ち上げられているけど、メッシやロッベンに比べると実効性で劣る。ただ彼らにはないヘディングでの得点力がある。ゴールセンスを活かして、ドリブル一辺倒ではなく、飛び出しからゴールを狙うようなプレーをすればかなり怖いと思うんだが。

マニシェコスチーニャは後半から投入。マニシェは強烈なミドルと見せ場はあったけれど、2人とも往年の存在感を見れなかった。ロシア移籍に失敗して、クラブレベルでは不遇を買っているけれど、大会中に2004年当時のコンディションを戻せれば面白いでしょうね。

ポルトガルの中盤は攻守に堅実で、サイドからチャンスも作れるし、アンドラーデを怪我で欠いた守備もカルバーリョを中心に堅い。課題は決定力。ようはFW(パウレタ)が決めるかどうか。決めさえすればそう負けないし、EUROのギリシャ戦のように決定機を外し続けると勝てない。パウレタはある程度の相手には確実にゴールの計算ができる優秀なストライカーで、現に代表でもクラブでも得点数は突出している。ただ相手がある程度以上のレベルのなると途端に決定力が下がる。アンゴラ相手には決勝点をとったけれど、世界トップクラスの相手との試合では不安が残る。

そしてデコ。攻守の軸である彼が戻ってこないとポルトガルは始まらない。中盤でのつぼを押さえたボールキープ、正確なパスでチャンスを作り、ミドルシュートも決められる。止まってボールを受けるのではなく、ボールレシーブの量・質とも優秀。攻撃面だけでなく守備もサボらず、プレスの掛け方や、ファウルで流れを切るのもうまい。アルゼンチンのリケルメ、フランスのジダンとは対照的な現代的司令塔。その彼が怪我明けでコンディションを戻せないようだとポルトガルは厳しいでしょうね。


アンゴラはよく善戦した。アフリカらしく身体能力があって、技術的にもしっかりしている。ミドルも強烈。ただし試合を決める個の力には欠けて、ポルトガルの堅守を崩すには至らなかった。ポルトガル、メキシコと同居するグループでは厳しいでしょうね。



◇メキシコ 3−1 イラン
 [得点] 28分:ブラボ、36分:ゴルモハマディ(イ)、76分:ブラボ、79分:ジーニャ
MEX 3-1 IRN(マッチ7):試合レポート

単純に試合として面白かった。

メキシコ:3-4-3→3-5-2
O・サンチェス;サルシド、M・メンデス、オソリオ、ピネダ、マルケス、トッラード■(46分L・ペレス)、パルド、フランコ(46分シーニャ)、ボルヘッティ(52分フォンセカ)、ブラボ

イラン:4-4-2
ミルザプール;ゴルモハマディ、レザエイ、カエビ、ノスラティ(81分ボルハニ)、マハダヴィキア、ネクナム■、カリミ(62分マダンチ)、ティムリアン、ハシェミアンダエイ

メキシコはこれまでの1ボランチの3-5-2ではなく、1トップ2シャドー気味の3-4-3。ベストメンバーからザンディを負傷で欠くイランは、普段トップ下のカリミを左にしてダブルボランチの4-4-2。どちらもオプション的な布陣。

序盤からイランが強豪メキシコ相手に一歩も引けをとらなかった。アグレッシブな姿勢でメキシコを攻め立てる。お互いに攻守の切り替えの早い。28分、メキシコがパルドのFKをフランコがすらし、ブラボが決めて先制。しかし、イランも36分にマハダヴィキアのCKのこぼれ球をゴルモハマディがゴール天井に突き刺して追いつく。前半はほぼ互角。

後半からメキシコは選手2人を交代していつもの3-5-2にシステムチェンジ。これでメキシコは息を吹き返し、時間が経つにつれて徐々に実力差を見せ付けた。メキシコの出し手と受け手の動きが連動したパスワークは見事で、イランはなかなかボールの奪い所が見つからない。
スコアが動いたのはイランのミスから。76分、イランの不用意なパスをカットしたジーニャからスルーパスを受けたブラボがゴール。流石にこのレベルになるとミスは見逃してくれない。メキシコは転がってきたチャンスを逃さずきっちり決めた。アジアの甘さが出たか。
ここでイランは意気消沈したのかプレスがかからなくなる。そしてここが勝負ところと一気呵成に攻勢に出るメキシコ。79分、右サイドのフォンセカからのクロスを、ジーニャが頭で3点目を決めて、一気に勝負を決めてしまった。素晴らしいパスワークでイラン守備網を完璧に崩したファインゴール。

イランは衰えの見えるダエイの動きの幅が狭く、前でボールが収まらなかった。怪我明けのカリミもドリブルにいつもの切れがなく、チームの武器であるマハダビキア&カエビの右サイドもメキシコにうまく対処される。
見事だったのはメキシコのCBマルケスダエイ相手に3バックが3枚とも後方に残る必要はないと判断すると、積極的な攻撃参加に打って出る。日本が3バックにすると、相手が1トップでもCBが中央に3枚余たままだとか、3トップで来ても数的同数で対応してしまうなど*1、状況に応じた判断が苦手。このマルケスの判断力は見習って欲しい。Jリーグでもジェフのストヤノフがうまい。
マルケスのオーバーラップをはじめ、メキシコの選手個々の修正力・対応力は素晴らしく、イランは徐々に混乱して押し込まれてしまった。後半はメキシコペース。そしてきっちり勝ち越し。



やはりメキシコは技術・駆け引きに優れた好チーム。連携も組織力もあって、個人技も兼ね備えている。この暑さの中で最後まで尽きない運動量も凄い。ただボルヘッティが怪我をしてしまったので、決勝トーナメントレベルの試合で決定的な仕事の出来るFWが見当たらない。ここがネック。とりあえずポルトガル戦は要注目ですね。 中盤の主導権争いが見物。
イランは健闘したけど、メキシコの方が何枚も上手だった。カリミが怪我で本調子でないのが痛い。後は英雄ダエイを切れるかどうか。ポルトガルが勝利してしまっただけに、トーナメント進出はかなり厳しいでしょうね。でも意地は見せたと思う。

*1:片方のWBが絞ってDFラインが横にずれて変則4バックにするという柔軟な対応が出来ない。個々の判断以前に、サイドのスペースを誰がカバーするかという約束事さえないのかもしれないけど。