オランダvs豪州

オランダ 1-1 オーストラリア
9分 ファンニステルローイ(蘭)、53分 カーヒル(豪)

試合内容はこちらで。手抜きです。

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なにやらオーストラリア戦は楽観視されているようだけど、ドイツより実力上位のオランダに引き分けた実力は侮れないでしょう。そもそも、日本を研究して弱点を突いてくるだろうオーストラリアは、オープンに攻め合ってくれたテストマッチのドイツより厄介な相手だと思う。当然マルタよりは遥かに上。

  • オーストラリア

4-2-3-1
         ヴィドゥカ

ブレシアーノ   クリナ   ステリョフスキ

     グレッラ  ウィルクシャー

チッパーフィールド         エマートン
      ニール   ムーア

        シュウォーツァー

交代
51' ステリョフスキ → ケーヒル
65' ヴィドゥカ → アロイージ
67' ブレシアーノ → トンプソン

ベストメンバーは、これに怪我のキューウェルとカーヒルのプレミア勢が加わる形。前線はキューウェルが左WGに入り、ブレシアーノが右WGにずれる。中盤はカーヒルがトップ下に入って、クリナがウィルクシャーの位置に下がると思う。GKもまだ未定のようだ。今日の試合を見れば、スーパーセーブ連発でドローの立役者となったシュウォーツァーで決まりと思うが。


攻撃は数年前の放り込みイメージとは違い、かなりグラウンダーのパスを繋ぐようにはなったけど*1、良くも悪くも一本調子。ゲームコントロールに際立ったMFがいないので、中盤でボールを動かして、タメを作って、オープンスペースにボールを運んでいく様な崩しは巧くない。この点では日本の方が上。DFからのビルドアップも巧くないので、フォアチェックからショートカウンターのチャンスはありそう。後方からの正確なフィードや、快速アタッカーはいないので、カウンターがそれほど脅威でないのも救い。

ただし基本技術はしっかりしてるし、1トップのヴィドゥカに単純に楔を入れて、彼のポストプレーからサイドを崩す攻撃パターンは他の試合を見ても確立されている。この試合ではオランダがヴィドゥカを自由にさせなかったので、攻撃はイマイチ機能しなかったけど、日本のDFにとって彼の強さ・高さを伴なったポストプレー、そこから派生する攻撃は脅威でしょうね。特に早いタイミングで楔を当てられて、カバーする間も無くサイド裏を突かれると厳しい。ヴィドゥカを抑えれば攻撃力は半減するだろうけど、果たしてそれが出来るのか。宮本とミスマッチを狙われたらやばい。

守備面では、布陣はコンパクトに維持して、中盤からかなり激しくプレッシングを仕掛けてくる。プレスの掛かり具合によって積極的にラインも上げていた。強豪相手に引き篭もって守る中堅国というイメージではない。プレスは激しすぎてオランダに怪我人が続出したほど。WC直前の出場国同士のテストマッチとは思えない空気の読めなさは、同じくヒディンクが率いた4年前の韓国を思わせる。流石にオランダはいなしてチャンスを作っていたけど、プレスが苦手な日本はかなり苦しむでしょうね。審判のファウル基準が試合に影響するかも知れない。

厄介だと思ったのは、一人退場後の守備。引いて守るとかなり固い。日本戦で始めから引いてくる事はないだろうけど、先制したら守りを固めてくる事は十分考えられる。こうなると、前のスペースを消されると日本がゴールを奪うのはかなり困難だと思う。

日本は引いた相手に有効とされる、パワープレーを可能とする高さもないし、強烈なミドルシューターもいないし、パサーばかりで独力での局面打開に優れたドリブラーもいない。FWの飛び出すスペースを消されると攻撃が膠着するのは、これまでの試合内容が証明済み*2。逆にオーストラリアが攻めざるを得ない状況を作れば、スペースを突いてチャンスを作るのはそう難しくないと思う。先制点は絶対必須でしょうね。

守備も高さ・強さ以外は世界レベルだと凡庸。裏への対応はそれほど強くないと思う。ただロッベンに翻弄されている映像を出して、日本のメディアはドリブルが有効だと騒ぐけれど、日本にロッベンほどのドリブラーは存在しないのであまり参考にならない。ロッベンをある程度止めるシーンもあったから、前評判ほど地上戦の一対一には弱くないでしょうね。相手を引き出して裏をとりたい。

日本戦では、始めから引き気味の守りでスペースを消されて、カウンターリスクのないパワープレーに徹されると厳しいだろうけど、そこまでリアクションでは来ないでしょう。先制点を取って主導権を握りたい。そしてリスタートにも要注意ですな。控えにもラ・リーガで今シーズン二桁ゴールした長身FWアロイージが控えるのは怖いよ。

  • オランダ 

4-1-2-3
       ニステルローイ
 ロッベン           ファンペルシ

     コクー    ボメル

        スナイデル
ジオ               クロンカンプ
     オプダム  オーイエル

      ファン・デル・サール

交代
37' コクー(怪我) → マドゥロ
46' クロンカンプ → ハイティンハ
50' スネイデル(怪我) → ランツァート
64' ジオ(怪我) → カイト

これまでのレギュラーメンバーとの違いは、怪我のファン・デル・ファールトの代わりにスネイデル、ランツァートの代わりにファン・ボメル、カイトの代わりにファン・ペルシ、ブラルーズの代わりにオーイエル。展開タイプのスナイデルをアンカーに置く形はあまりやっていないはずで、テストマッチらしい実験的要素の大きい布陣。

ただし、荒すぎるオーストラリアのせいで怪我人が続出したため、テストマッチとしてはマイナス要素の方が大きかった。ジオとコクーは軽症らしいけど、スナイデルは大分重いらしい。要のファデルファールトも怪我しているので、中盤でクリエイティブな選手を欠くことになってしまう。

神懸かったシュウォーツァーの前に決定力を欠いただけで、攻撃はそこそこ巧くいっていた。ニステルポストプレーウインガーの突破力を活かしたサイド攻撃。中盤で激しくプレスを掛けられても、DFラインからのビルドアップでいなしてしまう。

ただラフィーがいない分、攻め手が少しパターン化されていて、攻撃に創造性を欠く嫌いがある。ファンバステンは本番でラフィが完治しないことを見越して、右サイドに確実性のあるFWのカイトではなく、攻撃に変化の付けられるペルシがコンバートされているんでしょう。中盤にラフィとスナイデルの二人を欠くようだとオランダはかなり苦しい。ファンバステンセードルフを呼ぶつもりはないだろうし。

万国共通、相手に引かれたときの打開策にも課題がある。終盤は司令塔のスナイデルも怪我で欠いた為、攻撃に工夫がなくなり、場者が出て10人になったオーストラリア相手に勝ち切る事は出来なかった。初戦を戦うセルビア・モンテネグロの守備はオーストラリアを遥かに上回る。死のグループCで初戦を落とす事は絶対できない。

また、この試合では相手CFのヴィドゥカを総体的には抑えていたけど、ゴール前フリーでヘッドされたり、失点の要因となるPK奪取をされるシーンもあった。同グループのコートジボアールドログバは、トータルでヴィドゥカより数ランク上のCF。オランダは他のポジションに比べてCBが弱いので、彼への対応に一抹の不安がある。

そして総合的に傑出したアルゼンチン相手に、今日のように決定力を欠くと厳しい。他グループならトーナメント進出は固いチーム力だけど、死のC組を突破するのは容易ではないでしょうね。最注目のグループだ。


次はクロアチアvsスペインと、両チームの分析かな。

*1:高さに劣る日本にとっては単純に放り込まれた方が嫌。

*2:マルタ相手にでさえ苦戦した。