監督人事

次節の広島vsセレッソの直接対決で敗れた方は危ないかと思っていたら、その直接対決を前に両チームとも監督交代。

サッカーJリーグ1部(J1)サンフレッチェ広島は18日、小野剛監督(43)が同日付で監督を辞任して退団し、望月一頼GKコーチ(44)が新監督に就任したと発表した。広島は今季リーグ戦8試合を終え、3分け5敗、勝ち点3の最下位で、成績不振が交代の理由。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/headlines/20060418-00000021-kyodo_sp-spo.html

今シーズンいまだ勝ち星なし、そして前節で今のジュビロに0-3で負けた試合を見ると、この辞任劇も致し方ないのかな。個人の球際やマークの甘さから生じる守備面の問題は監督の責任だけとは思えないけど、現実的に考えて選手を総入れ替えするわけには行かないし、真っ先に責任を取らされるのは監督しかいない。

今シーズン小野監督が目指した流動的な中盤フラットへの挑戦は、広島の中盤の選手の特性を考えるとかなり無謀だったと思う*1。担当ゾーンが決められていないかのような中盤の流動性と、元来小野監督が志向するダイレクトサッカーの相性も悪かった。世界中で流動的な中盤を強みにするチームの大半は、ボールを逸する回数を減らすためにポゼッションサッカーを志向している*2。昨シーズン活躍した前俊を全く使わないFWの起用法にも疑問はあった。

ただフロントの補強面の不備も低迷の理由でしょうね。昨シーズンの広島を見ると、最補強ポイントはジニーニョとコンビを組むCBだったはず。そのジニーニョが出場不可能な現状では、J1クラスのCBが1人もいなくなっている。*3ウェズレイ森崎和幸、ジニーニョと主力クラスが3人も怪我や体調不良で試合に出れない運のなさもあった*4

とはいえ小野さんはJ2に降格した広島を1年でJ1昇格に導き、昨シーズンはチームを一時は優勝争いするところまで押し上げ、最後は賞金圏内入りまで果たした。この功績は消えてなくなるものではない。1段落すれば次の仕事先も見つかるかるでしょう。大熊監督よりは五輪代表暫定監督に推したい*5

サッカーJリーグ1部(J1)のセレッソ大阪は18日、小林伸二監督(45)を成績不振のため同日付で解任し、塚田雄二氏(48)の新監督就任を発表した。
小林監督は大分監督を経て2004年7月、C大阪監督に就任し、昨季リーグ戦は終盤まで優勝を争ったが、今季はリーグ開幕から8試合で1勝1分け6敗の勝ち点4で17位と低迷していた。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/headlines/20060418-00000027-kyodo_sp-spo.html

こちらは意外。前節の福岡戦はスコアレスドローで、守備面では一時の惨状からは大分立ち直っている印象を受けた。リーグ戦では新潟に勝っているし、ナビスコではジュビロにも勝っている。リーグ戦・カップ戦含め0勝で、ジュビロにも惨敗した広島とは状況が違う。もう少し様子を見るのが妥当と思うが。せめてWC中断前まで。
小林監督は一昨年残留争いをしていたチームを、昨シーズンは最終節まで優勝争いするまで導いた実績がある。これはセレッソの戦力を考えると偉業に近い。その監督を開幕8試合の低迷で解任してしまうとは。解任だから広島の辞任と違って違約金も生じるはず。
セレッソの低迷はフロントの強化策に問題がありすぎた。ボランチファビーニョ、右WBの工藤という中心選手を放出して*6、代わりの人材がピンゴ、河村と全く違うタイプ。特に河村をサイドに補強した意図が分からない。これは誰が監督でも厳しいでしょう。ようやくボランチでは新戦力の山田がフィットしてきて、後は右サイドが固まれば何とかなったはず。
セレッソは昨シーズンも序盤は不調で、持ち直してきたのは中盤以降だったはず。監督も無念でしょう。小林監督には1段落すればオファーが殺到するんじゃないですかね。やはり昨シーズンの実績には説得力がある。大熊監督よりは五輪代表暫定監督に推したい。

両チームが新指揮官に与えた役割は対照的だ。広島の望月監督は公式戦がワールドカップ(W杯)で一時中断するまでの中継ぎ役。一方、C大阪の塚田監督は、天皇杯もにらんだ来年1月末までの契約だ。低迷脱出へ、成功するのはどちらの策か。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/headlines/20060418-00000039-kyodo_sp-spo.html

大事なのは、結果の出せない監督を辞めさせる事より、優秀な後任監督を招聘できるのかどうか。シーズン途中の監督交代劇では、どちらも経験・実績とも豊富な監督を招聘する事はできなかった模様。これが吉と出るか凶とでるか。基本的にチームの低迷は監督だけでなく選手の責任もあるので、いかに選手が奮起するかでしょう。
開幕一試合で安達監督を解任して実績のない高木新監督を据えた横浜FCは、ほぼ全ての人が事態は好転しないだろうと予想していたのに、なんとその後は無敗街道を突き進んでいる。低迷チームの監督交代は、良い影響を与えることも少なくない。実質暫定監督の広島は、WC中断までに昨シーズンの大分のシャムスカのような辣腕監督を見つけられるかでしょうね。


こう考えるとジュビロのフロントは良くも悪くも我慢強すぎますな。上記2チームが羨むほどの破格の補強費を監督の希望通りに使えて、所属選手に各年代の代表経験者をズラリと揃えた戦力を有し、シーズン通してテストとリセットを繰り返して、自身が目標に掲げた覇権奪回からいくら遠のいても、解任話のかの字も出ない。まあフロント業務も兼ねたも執行役員兼現場監督、しかも3年契約で違約金も高いだろうから、そう簡単には切れないんでしょうけど*7。フロントはブラジルに外人FWを探しに行ってるらしいけど、不測の事態に備えてシャムスカのような辣腕監督をリストアップしておいて下さい。

ジュビロの新スレのタイトル(笑) いや、笑えないけど。

*1:中央MFは沢山いても、ワイドに開いた中盤のSHを務める人材がいない。それに急造フラットはバイタルエリアの守備が甘すぎだった。昨シーズンのダイヤ継続の方が良かったと思う。

*2:流動的に動いてダイレクト素早く攻めた所にカウンターを喰らうと、守備陣形は整っていないので失点の可能性大。流動的中盤では、ボール逸のリスクを減らす安定したポゼッションは必須。

*3:西河と吉弘の若手コンビはやはり経験不足。戸田をDF起用するというのも一つの策かもしれない。

*4:層の薄い広島にとって致命的。それに加えジュビロ戦では戸田も累積警告で出れなかった

*5:アテネ世代初期のツーロンはおもしろかったしね

*6:帰国願望のあったファビーニョは仕方ないとしても、工藤は給料をケチらなければ慰留できたはず。

*7:というか五輪代表の仕事振りを見て、そんな厚遇で迎えたフロントが信じられない。1年契約+延長オプションで良い思うんだが