最終節

劇的な幕切れでしたな。

セレッソ大阪 2-2 FC東京
得点者:'3 西澤明訓C大阪)、'20 鈴木規郎(F東京)、'48 西澤明訓C大阪)、'89 今野泰幸(F東京)

川崎フロンターレ 2-4 ガンバ大阪
得点者:'12 アラウージョ(G大阪)、'37 寺田周平(川崎F)、'56 宮本恒靖(G大阪)、'62 谷口博之(川崎F)、'79 遠藤保仁(G大阪)、'89 アラウージョ(G大阪)


主にこの2試合をザッピングしていたわけだが、混戦Jリーグを象徴するような目まぐるしく展開が変わる優勝争いだった。

結果はガンバの逆転優勝。先行してもセットプレーで2回も追いつかれ、前線のスペースを消されて攻めあぐねるなど、流れは非常に悪かった。それでも最後は攻撃力が爆発。ルーキー家長が値千金のPK奪取。遠藤が落ち着いて決めて逆転。そして最後はロスタイムにアラウージョが止めの一撃。2失点の守備不安を帳消しにする圧倒的な得点力、最終節でシーズンの集大成を見せた。

終わってみれば、強い内容をシーズン通して最も多く見せたガンバが順当に優勝。一時は圧倒的アドバンテージがあっただけに、混戦を招いたのは終盤の思わぬ停滞が原因だった。最終的には優勝でそれも帳消し。最終節も賞金圏内入りを狙う本気の川崎に勝ったのだから、この優勝には文句がつけられない。最後まで攻撃志向を貫いての栄冠は見事。

勝てば優勝のセレッソはロスタイムに追いつかれてしまった。レギュラーFW陣のいない東京の攻撃に脅威はあまり感じられず、守備の要ブルーノ・クアドロスの不在による影響も最小限で、流れは良かったと思うが。それでもらしくない2失点。
やはり優勝へのプレッシャーに負けたんでしょう。最後は守りを意識するあまりラインを下げすぎてしまった。経験豊富なチームならもっと巧く時間を使ったはず。最後の最後に集中力の切れたところを今野に決められた。ここで膝をついたり下を向く選手が多く、セレッソの選手の気持ちは切れてしまったような気がした、まだまだ逆転は不可能ではなかったはず。
そういえば前節のマリノス戦も試合終了間際に松田に決められ痛恨のドローだった。この点ではまだまだ力不足の点もある。これまでの王者はここからさらに逆転するような力があったし、現にガンバは今シーズン劇的な逆転勝ちがあった。
最終節に優勝を逃した2000年ファーストステージの悪夢再び。地力優勝可能な最終節単独首位から一転、最終順位は5位にまで落ちてしまった。それでも今シーズンのJリーグを盛り上げたチームの一つに違いはない。脆弱な選手層でここまできたのは立派だった。

アルビレックス新潟 0-4 浦和レッズ 
得点者:'4 堀之内聖(浦和)、'13 ポンテ(浦和)、'60 マリッチ(浦和)、'80 山田暢久(浦和)

鹿島アントラーズ 4-0 柏レイソル
得点者:'7 野沢拓也(鹿島)、'44 アレックスミネイロ(鹿島)、'53 野沢拓也(鹿島)、'79 本田泰人(鹿島)

ジェフ千葉 2-1 名古屋グランパス
得点者:'81 鴨川奨(名古屋)、'89 坂本將貴(千葉)、'89 阿部勇樹(千葉)

上位陣は残留が決定した下位チームから手堅く勝利も、ガンバが勝利したため惜しくも優勝には届かず。千葉は思わぬ苦戦もロスタイムに逆転。これで優勝していたら一番劇的だったかも。

  • 最終順位
  1. ガンバ大阪 60
  2. 浦和レッズ 59
  3. 鹿島アントラーズ 59
  4. ジェフ千葉 59
  5. セレッソ大阪 59
  6. ジュビロ磐田 51
  7. サンフレッチェ広島 50
  8. 川崎フロンターレ 50
  9. 横浜F・マリノス 48
  10. FC東京 47
  11. 大分トリニータ 43
  12. アルビレックス新潟 42
  13. 大宮アルディージャ 41
  14. 名古屋グランパス 39
  15. 清水エスパルス 39
  16. 柏レイソル 35
  17. 東京ヴェルディ 30
  18. ヴィッセル神戸 21

上位5チームの実力差は勝ち点差が表すようにあまりない。
優勝したガンバは超過密日程と移動距離の負担が凄まじいのACL出場が決定。来シーズンの優勝候補の一つではあるが、これで筆頭には推せなくなった。移籍が濃厚なアラウージョの穴を埋められるかが鍵になってくる。
その他の4クラブは来シーズンの有力な優勝候補でしょう。特にエースFW2人がシーズン途中に離脱するというアクシデントに見舞われながら、それでも2位に入ったレッズには地力がある。選手層も厚い。FWに大型補強を敢行しそうだし、来シーズンはかなり手強そう。
鹿島は小笠原の残留次第で大きくチーム力が変わる。若手が成長しているとはいえ、小笠原の代役はそう見つからない。新監督の当たり外れも重要。選手層の薄いセレッソとジェフは現有戦力の残留が重要ポイント。特にジェフはオシム監督の残留が一番の補強になる。

リーグ№1の総年俸と大量補強を敢行した優勝候補ジュビロはまさかの6位と低迷。数年後を見越した世代交代なのか、タイトルに向けて勝利至上主義なのか、どこか中途半端なシーズンだった。これまで経験不足だった若手が成長した事が数少ない収穫。発言と行動が矛盾した新人監督の成長は来年に持ち越し*1。選手層的には分厚いので、ACLから解放される来シーズンのノルマはタイトル奪還しかない。

7位の広島は土壇場で賞金圏内入り、8位の川崎は土壇場で賞金圏内入りを逃した。両チームとも脆弱な選手層での中位進出には及第点を与えられると思う。限られた既存戦力をうまく活用するサッカーをしていた。ただし、さらに上位進出するためには選手層を厚くする補強が必要になってくる。主力の残留も必要。アウグストが抜ける川崎は左サイドの補強次第。

優勝候補マリノスは、ACLと怪我人続出に苦しんだ9位とまさかの低迷。理想のサッカースタイルの模索にも苦労していたし、怪我のエース久保の穴を最後まで埋められなかった印象。ACLの過密日程から解放される来シーズンは、その分厚い選手層が1シーズン制で効力を発揮しそう。久保の完全復活、もしくは外人FW補強次第では有力な優勝候補だと思う。

一時は残留争いをした東京は、後半の追い上げで何とか10位まで巻き返してきた。ケリーの穴を埋められず、主力に怪我人が出て苦しんだが、終盤は怪我人の復帰と若手の成長で巻き返した。若手が有望なので補強次第では来シーズンはおもしろそう。ただここも選手層を厚くする必要がある。

中盤まで下位に低迷した大分は、シャムスカ就任以降の快進撃で11位まで上昇。主力の残留次第では来シーズンの台風の目になるかもしれない。ただし大分は深刻な資金難で補強もままならないだろうし、マグノと高松の移籍が既に噂されている。そうなるといくら名将でも苦しい。

下位の新潟、大宮、清水、柏は来シーズンも残留が第一目標になる。今シーズンの終盤に若手の成長が目立ち、新卒入団選手が大豊作の清水は、マルキーニョスが残留すればおもしろい存在。名古屋は戦力・資金力だけなら上位。ただしここはどうなるか分からん。新監督・新戦力の当たり外れも重要だが、それより優秀なフロントが必要なような。

  • 得点ランキング

1. アラウージョ ガンバ大阪 33
2. ワシントン 東京ヴェルディ1969 22 (4)
3. エジミウソン アルビレックス新潟 18 (1)
  佐藤寿人 サンフレッチェ広島 18
5. マグノ・アウベス 大分トリニータ 17 (2)
6. 大黒将志 ガンバ大阪 16
  ジュニーニョ 川崎フロンターレ 16 (2)
8. アレックス・ミネイロ 鹿島アントラーズ 15
9. カレン・ロバート ジュビロ磐田 13
10. 阿部勇樹 ジェフ千葉 12 (4)
  巻誠一郎 ジェフ千葉 12
  前田遼一 ジュビロ磐田 12
13. 小笠原満男 鹿島アントラーズ 11 (2)
14. 遠藤保仁 ガンバ大阪 10 (4)
  野沢拓也 鹿島アントラーズ 10
  西澤明訓 セレッソ大阪 10

得点王はダントツでガンバのアラウージョ。独力での局面打開力と決定力が並外れていた。得点以外でもチャンスメイクでチームの得点数にも貢献大。今シーズンのMVP最右翼でしょう、

2位のワシントンは降格クラブで一人気を吐いた。3位のエジミウソンはフォローの少ないチームでの見事18得点。マグノ・アウベスシャムスカ就任以降好調の大分で数字を延ばした。資金難の大分が引き止められるかは微妙で、来シーズンの目玉選手か。快速ジュニーニョは川崎の高速カウンターの急先鋒。得点だけでなくチャンスメイクの貢献度も大きい。ミネイロは怪我で苦しむも素早い動き出しで鹿島の躍進に貢献。

日本人得点王は広島佐藤寿人。独力での局面打開力はないものの、飛び出しやDFとの駆け引きに優れ、クロスやパスに点で合わせるゴールが抜群に巧かった。ストライカーは旬が大切、ジーコは代表に呼ぶように。
日本代表の大黒は終盤の不調で数字を伸ばせず。2年目で13得点のカレンは素晴らしい。スピードと献身性に優れた新世代のごっつぁんゴーラー。ただ得点ランキング上位の中でシュートは一番下手。決定機に凡ミスしなければ20ゴールも夢ではない。巻、前田は12得点と着実に成長。ボランチながら12得点の阿部も凄い。

*1:果たして上積み要素そのものがあるのか?