準決勝

2試合ともなかなかの好試合。試合は関係なしに思い浮かんだことを適当に書きます。まとめるつもりなし。いつもそうだけど。

  • アルゼンチン 1-1 メキシコ

メキシコは今大会最大の発見なんじゃないだろうか。ヨーロッパでプレーしている選手はほとんどいないし、北中米予選を見る機会もあまりないから、日本のサッカーファンにとっては未知の存在。
昔から好チームを世界大会に送り込んできた国だけど、期待に違わず今大会も素晴らしいチームで世界大会に殴り込み。連動した動き出しと小気味良いパスサッカー、素早い攻守の切り替え、組織立った守備を武器にしてアルゼンチンを最後まで追い詰めた。先制点の単独突破は素晴らしかった。
個力もなかなか。全選手に蹴る止めるの基本がしっかりしていて、ドリブルもうまい。ボルヘッティは相変わらず優れたポストプレーヤーで、空中戦にも強い。ワールドカップでイタリアを崖っぷちに追い込んだスーパーヘッドを思い出す。今大会で始めて見たけど、ブラジルから帰化したというシーニャのミドルシュートは正確かつ強力。攻撃以外ではあまり動かないけど。


アルゼンチンはグループリーグで見せた強さをメキシコ相手には発揮できず、内容的には珍しく押され気味の試合展開。カンビアッソだけでなくマスチェラーノもいたら、ここまで速攻を喰らう事はなかったと思う*1。全体的には攻撃より守備で目立ったアルゼンチン。ラフプレーでブーイング喰らいまくりながらも、身体を張ったコロッチーニ守りや、サネッティの老練な攻守に渡るプレー、相変わらず走りまくるソリンが印象的。

延長で先制されて目が覚めたのか、そこからの怒涛の攻めには迫力があった。リードされて大人数で中央に守備を固められて、ソリン*2がFWのようにエリア内に入ってきて、人数を掛けて攻めても、ゴールを決めきれないのが負けパターンだったけども、今回はそれを打破して追いつくまでの粘りを見せた。直前に決定機を逸したフィゲロアが、ヒールでの鮮やかなトラップから意地で押し込んで同点。

最後はPK。ルクスで勝つのは厳しいかと思ったけど、アルゼンチンが全員決めて決勝進出。試合は見ての通り、両者気迫のこもった好試合だった。

とりあえずアルゼンチンの方をコンフェデに限らず適当に考えてみると、ビエルサからペッケルマンへの監督変更で明らかに代わったのがリケルメの起用法。驚異的なテクニックを活かしたキープ力、針の目を通すようなスルーパス、威力抜群のミドルを持つ世界屈指の司令塔。ビエルサ体制では呼ばれもしなかったのが、ペッケルマン就任以降いきなり不動のトップ下で自由を与えられた。

全体が連動して流れるような速攻主体のビエルサのチームに比べて、ペッケルマンはリケルメの個人技に頼る所が多い。まずは異常なキープ力を誇る彼に預けて、そこからゆっくり展開していくサッカー。そんな彼が今日みたいなガス欠を起こすと、チームの攻撃の迫力は半減。守備もあまりしないし、オフザボールの動きも乏しいので、鮮烈なプレーをする反面、試合中に消えている時間帯がかなり多い。現代サッカーにおいては扱いにくいタイプで、規律を重視するビエルサには使われないのも分かる。リケルメを活かそうとするなら、どうしても彼中心のチームにしなければならない。

ビエルサが1トップ(クレスポテベス)+両翼の形に拘ったのに対して、ペッケルマンはサビオラ+大型FW(普段はクレスポ、今大会はフィゲロア)の2トップという前線の形も大きな違い。前者はサイドで徹底的に数的有利を作って連動して崩していくサイド攻撃主体*3、後者は中盤でポゼッションしながら出入りの激しい2トップにパスを供給する中央突破主体*4。監督交代に伴ない、テベスサビオラ*5のプライオリティーは逆転してしまった。

個人的な好みは、テベスアイマールダレッサンドロといったテクニシャンを最大3人も同時に使って、ロサレスやキリ・ゴンザレスのようなサイドアタッカーと共存させて、マスチェラーノルイス・ゴンサレスが脇を固めたビエルサのチーム。コパやアテネ五輪で見せた連動性は凄まじかった。

ペッケルマンはリケルメという特殊な選手に自由を与えるため、どうしても同様なテクニシャンタイプであるアイマールダレッサンドロ(呼ばれることも少なくなった)の出番は少なくなる。就任当初はユース時代にやっていた2トップ+ダブル司令塔が構想だと思われていたけど、蓋を開ければ現実的なメンツによるサッカー。ただこれはこれで強みがあるし、自由を得たリケルメは波に乗れば誰も止められない。チームとして結果も出している。まあここまでは関係ないことを適当に書いただけ。

とりあえずペッケルマンのこの試合での交代策はどうかと思った。アイマールは分かるとして、点を取らなければならないのに、投入した攻撃陣は、エスパニョールの右サイドアタッカーであるマキシ・ロドリゲスと、サラゴサでは右をやっているガジェッティと、どれもサイドアタッカータイプ。後半のDFに代えてマキシ投入は賭け*6に出たとすると納得いくけども、最後の時間帯でのFWに代えてガジェッティ投入は謎だった。あそこは中盤でボール拾うためにフレッシュな選手を入れるか*7テベスで勝負を掛けても良かったと思う。

この試合のアルゼンチンは、前線でキープできていなかったんだから、低身長ながら強靭なフィジカルを活かしたポストプレーに長けていて、得点力と突破力を兼ね備えたテベスをもっと早めに使って欲しかった。ポジションを争うサビオラも不調でプレーに精彩がなく*8、結果的にはイライラが溜まってしまったのか、いらないラフプレーで退場してしまったくらいだし。

まあとにかく決勝ではサビオラがいないんだからぜひテベスを使って欲しい。サイドアタッカーをトップで使っても活きない。あとペッケルマン監督には、得意のダブル司令塔システムを期待したい。リケルメアイマールをうまく共存させて欲しいし*9、それが出来るのはペッケルマンしかいないと思う。ブラジルの猛攻を押さえるために先発からは無理だとしても、劣勢時には早めにアイマールを投入してもらいたいです。本大会を睨んでも、二人の同時期用の正否が勝負の鍵を握るはず。

  • ブラジル 3-2 ドイツ

こっちも眠い目をこすりながらボケーと見てた。
ドイツが運動量とフィジカルを生かした激しいプレスでブラジルを押し込んで、今大会で一番のパフォーマンスを見せた。グループリーグの3試合はあまり良い出来に思えなかったので、本大会に向けて希望を見出せた一戦といえる。
そんなドイツ相手に、全体的な運動量のなさもあって大苦戦するブラジル。それでも試合を決めてしまうのは圧倒的な個人能力。本調子には程遠いアドリアーノ*10が、全3得点に絡む大活躍。特にDFに寄せられているのにファーの決めた3点目は圧巻。あのコンパクトな振りから繰り出される低くて速いシュートは止められない。彼の活躍でブラジルが勝ちを拾った。コパ決勝で圧倒されながら、アドリアーノの個人技のみでアルゼンチンを沈めて優勝した試合を思い出した。

どちらのチームにも言える事は、CBの人選に改善の余地を残す。
ブラジルはいい加減ホッキ・ジュニオールを切った方が良い。彼のあたふた振りは今に始まった事ではないし、今後改善されるとも思えない。一試合に一度はプレゼントパスをやらかす。PSVのアレックスを筆頭に、同じブンデスでもシャルケのボルドン、リヨンのクリスあたりの方が適任。レバクの二人は今シーズン良くなかったよ。
ドイツは若手に経験を積ませているんだろうけど、フートとメルテザッカーの二人ではまだ青すぎる。特にフート。不調のアドリアーノを止められないんでは、ドイツのレギュラーCBは任せられない。メルテザッカーは今シーズンも更なる成長が見込めるけど、フートはチェルシーでは確実に控えで出番なし。メッツェルダーが復調すれば最適な人材だが。

なんかへとへとのブラジル(の一部選手)とかギリシャを見て、本大会でも過密日程と暑さで苦しむ強豪国の受難は続きそうだと感じた。シーズンを終えたばかりの欧州の選手はベストコンディションで大会を迎えられないだろうし、CLを掛け持つビッグクラブの選手は疲労困憊間違いないと思う*11。その点、シーズン中に大半の選手が大会を迎えられて、かつ暑さに強い国は有利と言える。

    • ファイナル

ブラジルvsアルゼンチンの南米頂上決戦。楽しみです。決勝くらいは前日にプレビューをやらねばね。

*1:ブラジル戦ではカンビアッソが累積警告でマスチェを使ったけど、二人いたら結局どちらを使うんだろう。まあユース時代からの教え子であるカンビアッソだと思うけど。

*2:ピッチ上を縦横無尽に動き回る運動量は圧巻、判断力というか決断力も優れているし、そこを埋める他の選手の対応力も普通じゃない、この辺は教えられて出切る事ではなくここが持っている戦術眼の賜物

*3:SHとWGだけでなくトップ下やトップもサイドに流れて、空いた中央のスペースに選手が飛び込んでくる

*4:サイド攻撃やソリンやサネッティの攻撃参加による単発が多い

*5:キープ力がないから1トップ時は使われなかった

*6:弊害として守備は薄くなった

*7:リケルメがガス欠だったし

*8:というか今シーズンはそれがデフォになっていてモナコでも不調、ライカールトバルサに必要としないのも分かる

*9:マスチェラーノカンビアッソを二人とも使いたいなら仕方ないけど、マスチェはいないしサンターナはそんなに良くない

*10:シーズンオフのコパから今シーズンの前半戦にかけてはこんなもんじゃなかった

*11:カカー、ロナウジーニョアドリアーノは明らかに本来の動きではない、ロナウドカフーロベカルが来てても同じようなものでしょう