グループリーグ最終戦

  • 日本代表 2-2 ブラジル代表

プレワールドカップでグループリーグ敗退してしまったわけだから、今大会でのノルマ達成はならなかった。ただこの試合に関しては、それを理由に取り立てて非難する気は起きない。勿論反省は必要だけど、評価するべき点も多い一戦だった。
コンディションの差を考慮するとしても、あのブラジルと真っ向正面に戦ってドロー。個人技の差は歴然としていたし、内容的には押されていたとはいえ、今日の選手達のプレーは上出来。最後まで熱くなれた。

GK:23 川口能活
DF:2 田中誠、5 宮本恒靖(cap)、14 三都主アレサンドロ、21 加地亮
MF:7 中田英寿、8 小笠原満男→6 中田浩二(後半0分)、10 中村俊輔、15 福西崇史
FW:9 玉田圭司→16 大黒将志(後半0分)、13 柳沢敦→11 鈴木隆行(後半28分)

GK:12 マルコス
DF:3 ルシオ、13 シシーニョ、14 ジュアン、16 レオ
MF:8 カカ→19 ヘナト(後半17分)、10 ロナウジーニョ(cap)、11 ゼ・ロベルト→22 エドゥ(後半33分)、17 ジルベルト・シルバ
FW:7 ロビーニョ、9 アドリアーノ→20 ジュリオ・バプティスタ(後半16分)

ブラジルはまさかのベストメンバー(ほぼ)。

開始早々はワンタッチツータッチでパスがどんどん繋がって、人もボールもスペースに動く小気味良い攻撃が機能した。ダイレクトのパス回しから、小笠原が最終ラインの裏にスルーパス。抜け出した加地がエリア内に持ち込んでGKと一対一からシュート。ゴールかと思ったら、なんとオフサイド。これは誤審でしょ。

そのシーンに象徴されるように、日本は良いリズムで試合に入れた。ただ時間が経つに連れて個人技で優るブラジルペースに。

前半10分、不用意なプレーでロナウジーニョにボールを奪われてカウンタ一を喰らってしまう。エリア付近で2対2になるも、最初は内にいたロビーニョが、状況を見てロナウジーニョの外側に回り込んだのに対して、内にいたアレックスはただ突っ立ってるだけ。そのロビーニョにパスを出されて日本が失点。実質的には2対1で、ブラジルはその隙を確実に決めてきた。ミスが招いた勿体無い失点。

その後はブラジルの個人技に苦しめられるも、日本もダイレクトプレーを主体にして攻めるシーンもあった。ブラジルのプレスが緩かったのもあるけど、アジアでの低調振りが嘘のような好内容。ただ時間が経つにつれてブラジルの個人技を恐れて引き気味になり、前からのプレスも効き難くなってしまう。

前半27分、日本は中田英のリスタートから福西が俊輔へパスをつないで、ノンプレッシャーの俊輔が振り向きざまに左足でミドルシュート一閃。ファインゴール。これで同点。俊輔は良いキック持ってるんだから、もっとガンガン打っていくべき。後半にもミドルを打って欲しかった。

リードしたのもつかの間、前半32分、カカがペナルティーエリア手前までドリブルで進んで、左のロビーニョにパス。ロビーニョはエリア付近で縦にドリブル突破し、中央へマイナス気味に折り返す。手前のFWにはDF二人がついていたのに、アレックスがロナウジーニョを完全にフリーにしてしまい、簡単に右足で合わされて失点。日本はすぐに突き放されてしまった。

日本は簡単に点を取られすぎだけど、前半はわりと良い内容。パスサッカーで渡り合っている。ただブラジルはリードした途端ペースを落として、リスク回避を念頭にDFラインでゆっくりとパス回し。抜群の技術で安全にプレーされると、日本はボールの取りどころが見つからない。こういうサッカーをジーコはやりたいと思う。

後半開始と同時に、日本は玉田に代えて大黒、小笠原に代えて中田コを投入。

前半ボランチだった中田英が前に上がる。これでボランチのところでボールを拾えるようになるけど、日本はボランチからゲームを作れなくなってしまう。中田が下がってボールを受けに来るけど、そうなると前線は手薄に。後半開始早々はチャンスを多く作り出すも、時間が経つにつれて手詰まりに。

ブラジルは極力リスク回避してパスを回してくるから、高い位置でボールが奪えず良い状態で攻められない。逆に引っ掛けられてカウンターを喰らったりして、かなり危ないシーンの連続。川口のファインセーブや、DFの身体を張った守備がなかったらいつやられてもおかしくなかった。

ただ時間が経つに連れて、コンディションの優れないブラジルがばててきたので、中盤でのプレッシャーも弱くなりマイボール時にはある程度キープもできた。大黒のボールを引き出す動きも相変わらず良質。積極的にスペースへ抜け出そうと動き回り、チャンスを作り出す。大黒の折り返しからの俊輔のシュートは決まったと思ったけど、無人のゴール前でブラジルDFが身体を張ってブロック。

ジーコは柳沢に代えて鈴木を投入するも、鈴木はゲームの流れに乗れなかった。日本の足も徐々に止まり、なかなか肝心の得点が奪えない。ブラジルは流し気味。

後半43分 中田がファウルを受けて、中央やや右よりからのFKをゲット。俊輔の直接FKは惜しくも右ポストを直撃するも、そのリフレクションに反応した大黒がダイレクトで押し込んで同点。ただしもう一点取らないとグループリーグ突破は出来ない。

何とか勝ち越そうと攻撃に移るも、ブラジルは嫌らしく時間稼ぎ。ロスタイム、右サイドからのダイレクトクロスから、ファーへうまく流れた大黒のヘッドが枠に飛ぶも、GKマルコスがセーブ。マルコスが出したからコーナーキックのはずなのに、主審の判定はなぜかゴールキック。万事休す。

ブラジル相手に2-2でドローも、結果的にはグループリーグ敗退が決定。良い内容だった。こうなるとメキシコ戦での勝ち点0が悔やまれる。ワールドカップでも、初戦で負けたらトーナメント進出は絶望と考えるべき。グループリーグ勝ち抜きのための勝ち点計算など、今回の反省を本番に活かしたい。


日本の辛い所としては、2点取らなければならない状況で残り時間も少なくなった時に、投入できるFWが鈴木しか残っていなかった所。鈴木は得点力があったり、途中交代で流れを変えるのに長けたタイプの選手ではない。ゲームの流れに乗れず、効果的なプレーは何もできなかった。ただ他にFWがいなかったし、柳沢もばてていたので仕方がない。本山投入でもおもしろかったと思うけど。

今後ジーコには、大黒(先発に昇格させるべき)以外のジョーカーを発掘することが求められる。怪我から復帰してくる高原と久保、リーガで揉まれている大久保あたりが候補か。鈴木は今の流動的なサッカーが機能している現状では先発させるべきではないし、スーパーサブにも向いていないので、このチームでの必要性は少ないのかもしれない。

このまま4バックで行くなら、左SBの人選にも一考の余地がある。アレックスにはDFとしての守備に信頼が置けない。ドリブルが得意ではないのに、ドリブル突破しようとする姿勢は疑問。不用意に取られてカウンターの起点になってしまう。シンプルに走ってボールを捌いていれば良いのに。
現メンバーでは本職SBでなくても中田コを使った方がまだ良いと思う。DFとしては信頼できるし、正確な左足のフィードで攻撃の起点にもなれる。サイドで一対一の突破には期待出来ないけど、それはアレックスも同じ。


今日のような試合をしてくれれば、このチームに特別文句はないです。あとは課題点を修正して、好調の部分を継続するだけ。選手間の話合いが長く持てる長期間の合宿でチーム状態が好転しても、一時解散するとまた元に戻ってしまうようではいけない。
昨年のヨーロッパ遠征のチェコ戦やイングランド戦も好内容だったけど、それを継続できなかった事がアジア予選の苦戦を招いてしまった。如何にしてチームとしての好調を維持できるのかが今後の焦点。ジーコには新戦力も試して欲しい。

コンフェデ総括はまた後で。