№5 ミラン

久し振りのビッグクラブ補強ポイント考は、UCL決勝で敗れたことも記憶に新しいACミラン。次は旬のリバプールか、以前リクのあったアーセナル

同じミラノのお隣のクラブとは違い補強方針に一貫性があるミラン。最近はそれほど大金をかけずに、フリー移籍やレンタル移籍で必要最低限の補強。そして弱点をピンポイント。資金力も豊富で、いざという時には大金を惜しまず、それまで貯めていた資金で大改革に乗り出すこともある。3シーズン前のルイ・コスタネスタ獲得が良い例。

今年はセリエAとCL共に2位と無冠。けして悪い成績ではないが、勝利を義務付けられて言えるビッグクラブにとっては満足いくものではないことも確か。機能しているチームをいじる必要はないとはいえ、それなりの資金をかけてチームに刺激を与えることも必要。過密日程で不動のレギュラーを酷使せざるを得なかった反省も踏まえて、バックアップの充実を進めたい。

特殊な環境であるセリエAで実績のない選手はリスクが大きい。獲得選手は基本的にセリエA経験者から。方針はあくまでアンチェロッティの継続路線。

  • FW(現状維持)

シェフチェンコクレスポインザーギトマソン。何の問題もない。ただクレスポはチェルシ-からレンタルしているので、来シーズンも使うためには買い取らなければならない。チェルシーがそう安値で放出するとは思えず、ミランはそれなりの代償を支払う必要がある。新たに連係を作り直す必要がないので、買うだけの価値はあると思うが。
クレスポが獲れない、もしくは他の誰かが移籍してしまうなら、代わりのFWを獲らなければならない。有力獲得候補に上がっているのはパルマジラルディーノ。年齢的にも若く、セリエAでの実績も兼ね備えた最高の人材。ただし破格の値段。50億以上の移籍金が本当なら、ミランにしてもすんなり買うのには躊躇をするはず。果たしてどうなるのか。
どうやらロナウド獲得を狙っているらしいが、大金をかけてまで獲得する必要はない。確実にゴールを決める反面、前線からの守備に期待はできないし、パートナーの得点力も低下する恐れがある。というかガセっぽい。若手ではアトレチコF・トーレスレッチェヴチニッチ獲得の噂が。どちらにしろクレスポの方が良いと思うが。
移籍の噂のあるインザーギトマソンは何としてでも確保しておきたい。貴重なバックアップであり、スーパーサブになりうる。個人的にはデポルにレンタルしてくれると最高だが、まずないでしょう。

  • MF(バックアップの充実)

カカー、セードルフガットゥーゾピルロという不動のレギュラー陣。抜群の完成度を誇る中盤だが、バックアップとレベルの差が大きく、ターンオーバー時の戦力低下が激しい。それに長年同一メンバーで構成し続けるとマンネリ化してしまう恐れある。新戦力投与で刺激が必要。
ガットゥーゾの控えであり守備固め要員のアンブロジーニ、トップ下の控えでありツリーシステム時のポゼッション増加要因のルイ・コスタは必要不可欠なバックアップ。ただしそれ以外はレギュラーとの力の差が激しい。計算できる万能型を一人、そして代えに効かないピルロのバックアップも欲しいところ。既に万能型にはフォーゲルを獲得

中盤の底でタクトを振るうレジスタピルロが不在だと、ミランは途端に別のチームに代わってしまう。トップ下のルイ・コスタが代わりを務める場面もあったが、ここはもっと同タイプのレジスタが欲しいところ。
セリエA屈指のレジスタであるウディネーゼピサロが最適の人材か。ただしバックアップにしては贅沢な人材でもある。予算を遥かに超えた高値がつく場合は、安値で済むモザルト、ミラネット、ヴォルピ、コリーニといったセリエA経験豊富な選手の方が得策かもしれない。若手ではレッチェの司令塔レデズマも有力候補。

  • DF(若返り)

マルディーニネスタ、スタム、カフーの4バックは、欧州最高峰の完成度を誇る。ただし平均年齢は30を超えており、控えも含めて高齢化の問題を抱えている。現状では致命的な衰えは目立っていないが、中・長期的視野から考えても、粗が出る前に若手DFを獲得しておきたい。

当面の課題は最高齢のマルディーニの後継者。並大抵の人材では代わりは務まらないが、現状ではローマのキブが最も相応しいと思う。左利きで読みと展開力に優れたエレガントなプレー、CBもSBもこなす柔軟性、若くしてルーマニア代表のキャプテンを務めた天性のリーダーの資質。ゴタゴタが続くローマでは苦しんでいるも、スタムやネスタのようなタイプと組ませればきっと輝きを取り戻すはず。SBとCB両方こなせる若手有望株というとウディネーゼのフェリペも。

  • GK

ジーダアッビアーティで何の問題もなし。

  • 攻撃的なオプション

攻撃的オプションとしても機能しながらレギュラーのアクシデントにも対応できる選手が、セルジーニョの他にもう一人くらい欲しいところ。既に獲得濃厚とされているウディネーゼヤンクロフスキーは最適。サイド攻撃が右のカフーに偏っている問題を解消する攻撃的左SBとしても使えるし、ウインガーの位置でも使える。先発としてはリスクは大きいが、ビハインド時のオプションとして役に立つはず。左右ともこなせるので、セルジーニョがいても使い道は十分ある。あとはSBとMF両方をこなせるパリージやカセッティも有力候補。

05-06シーズンの理想布陣


       シェヴァ  クレスポ(orジラルディーノ


           カカー(ルイ)


  セードルフフォゲ)      ガットゥーゾ

           ピルロピサロ


 キブ(マル)                   カフー
       ネスタキブ)  スタム(マル)


             ジーダ

システムや戦術は維持したまま、バックアップの充実と若返りを図ってスケールアップ。全ポジションに穴の少ない、理想的な布陣に近い。想像しただけで強すぎ。ジラルディーノに全ての補強資金を費やすのなら、全体的な戦力アップの方が優先順位は高いと思う。
ミランは資金面や戦術面で致命的な問題を抱えていないので、チームの強化はすんなり行くはず。無理な改革はせず、ゆるやかな世代交代を念頭に置きながら、バックアップの充実を進めていくのが最適。今後も大崩れすることのない、欧州屈指の強豪クラブとして君臨していきそう。