ワールドユース壮行試合

  • U-20日本代表 1-1 U-20チリ代表

http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019640.html

今日は4バックの日本。開始早々の前半6分に日本が不用意な失点。本田圭佑がミスからスピードでちぎられてクロスをあげられ、増嶋竜也がクリアを試みるも届かず、フリーの9番がヘッドでゴール。前半は鋭いチリの出足の前に苦しみ、パスも前に繋がらず攻撃が機能しない。ところが後半投入された水野晃樹が流れを変え、日本が右サイドからの攻撃を中心に反撃に移る。78分、前田俊介フリーキックから水野のヘッドで追いつき、後半は日本ペースのままドローに終わった。停滞していた前半とは打って変わって、後半の溌剌としたサッカーには希望も見出せたが、WYに向けて多くの課題を残す壮行試合となった。

  • 機能しない前半

GK西川、CB小林と増島、左SB水本、右SB北斗、ボランチが伊野波と本田、左に家長、右にカレン、トップ下に兵藤、トップに平山の4-2-3-1気味の布陣。途中からカレンがトップの位置に入って、兵藤が右に流れた。
多く選手がJリーグで結果を出しているこの世代。マスコミ上の評価は第2の黄金世代、Jリーグを見ているファンの期待も非常に高く、世界に出てもかなりの期待出来る世代だと、そんなふうに考えていた時期が、僕にもありました。
うーん、未来ある若者に過剰な期待すべきではないのかな。世界の壁は厚い。現U-20日本代表で、チリのU-20に入れる選手はどれ位いるんだろうか。地球の裏側から来て疲労は多大だろうに、それでもチリは強かった。特に右サイドの快速アタッカーはかなり有望。南米はレベル高いね。ブラジルとアルゼンチンはどれだけ凄いんだろう。

アジアユースで全く繋げなかった中盤。中盤に才能ある人材が集まった今回は期待していたけど、本田一人が入ったところで事態が好転するわけなかった。今日もパスミス連発。気の利いたサイドチェンジを蹴れる選手が一人もいない。ボールを受ける動きも少なく、チームとして根本的な欠落を抱えている。今野クラスの選手がいるならともかく、いないなら中盤にポゼッションできる選手を起用した方が良いと思うけど、大熊監督は最初から中盤で繋ぐ事を志向していない。

このチームはボランチのところで全くゲームを作れない。数々のJリーガーを押しのけてレギュラー格となった伊野波だけど、中盤の人選は再考の余地ありだと思った。ルーキーで名古屋のレギュラー獲得した本田といえど、世界を相手にするにはまだまだ経験が必要。低い位置で守備に忙殺され、プレッシャーに負けて得意のパスでもミスが目立つなど、持ち味を出し切れなかった。プレッシャーに慣れれば、今日みたいなレベルで終わる事はないと信じたいが。個人的には、ボランチよりも攻撃に絡めるトップ下起用の方が良いと思う。シュートは強烈。

  • 試合終了後

というふうにネガティブな印象を抱いていた前半から一変、本田に代わって水野が出場した後半は見違えるように良くなった。スタメンGKと4バックに、ボランチに伊野波と兵藤、右に水野、左に家長、セカンドトップにカレン、トップに平山。途中、家長と代わって前俊、カレンに代わって森本。4-2-3-1気味の4-4-2。地球の裏側から来たばかりのチリがバテたのも大きかったけど、ワールドユース本番に向けて確かな希望も感じさせてくれた。A代表よりおもしろい。


ゴールを決めた右サイドの水野は素晴らしい。Jリーグでの活躍をそのまま見せられたのは水野だけ。スピード感溢れたドリブル突破や抜群のキープ力で攻撃に見事なアクセント、これだけできればレギュラー昇格確定でしょう。攻撃力だけならフル代表の右サイドよりあるかもしれない。ダントツのMOM。

FWのカレンは相変わらず良く走る。戦える気持ちも持っている。でもFWとしてシュートへの積極性が足りない。これはカレンの根本的な資質の問題で、そう簡単には改善されないと思う。前線からの守備は必要不可欠だけど、SBの位置まで下がっての守備はちょっと頑張りすぎ。チームの中でそういう役割を任されているかもしれないが。ゴールには絡めなかったけど頑張ってはいた。運動量に欠けている反面シュート意識の高い前俊は逆のタイプで、この二人の2トップは意外と噛み合うかもしれない。

他に良かった選手は左MFの家長昭博。得意のドリブル突破は通用していて、レギュラーとして十分合格点。代わって入った前俊もスーパーサブとして計算できる。GKの西川は合格点。フィードもうまい。Jリーグで成長している選手は、国際舞台でもそれなりのことが出来ることを証明。大学生はこの点で不利。兵藤はプレーが軽い。
エースの平山相太は可もなく不可もなく。キープ力があるのでボールは収められるが、判断の遅さと視野の狭さで展開が遅れる事多数。得意の空中戦でも競り負けるシーンがあり、大学生との高さの違いにも戸惑ったのでは。森本は日テレ系列に贔屓されすぎ。

家長と水野の両翼を活かすサッカーが構築できれば凄く魅力的なチームになりそうだけど、大熊監督が攻撃的な両翼を活かすサッカーを志向するかは微妙だ。果たして育成年代で放り込みやるメリットがあるんだろうか。平山が世界相手に競り勝てるとは限らんぞ。選手としての個性は目立ったけど、チームとしては相変わらずほとんど機能していない。まあ、育成年代はそれで良いのかもしれない。攻撃的な両翼を活かすために4バックという方向性は間違っていないと思う。サイド攻撃を抑えるという守備面を考えての4バックなら機能していない。


とりあえず今日の試合に出た選手はオランダ行き確定かな。逆に出なかった一部の選手は厳しくなってきた。ボランチでパスを繋げそうな梶山、杉山、船谷が揃って落選する可能性もある。どうやって中盤作るんだろう。今野タイプの優れた人材もいない。中盤センターの組み合わせに依然課題を残す。 左サイドの苔口は選出確定だと予想したけど、家長と前俊が良かったので外れる可能性もある。4バックにも目処が立ったので、DFが多く登録されるかもしれない。


まあ、自分が抱えている懸念を押しのけて、ワールドユースで覚醒してくれる事を願っています。結果に拘るサッカーをやるなら、何としてでも結果を出して、才能ある若者に一試合でも多くの国際舞台を経験して欲しい。Jリーグとはまた違った収穫を得られるはず。