アルゼンチンvsイタリア

これがオリンピックサッカー『事実上の決勝戦』って少しおかしいような。イタリアはこれまでの試合内容も良くないし、グループリーグでパラグアイに負けてるのにね。

こことかで散々プッシュしてきたコパ・アメリカ以降のアルゼンチン代表。今日は手放しで絶賛するほど素晴らしすぎる出来ではないけれど(勿論良い事には間違いない)*1、やっぱこのチームのサッカーはおもしろい。この陣容のチームを始めて見る人も多いでしょう。テベスダレッサンドロ(少しイマイチだったど)、ルーチョ(ルイス・ゴンサレス)、マスケラーノと、A代表レギュラーを奪取した若手選手のクオリティーの高さに驚いた人も多いのでは。アルゼンチンリーグ所属なので見れる機会は少ないし。

  • ここからはハーフタイムに書いた前半の感想(加筆修正あり)。

前半のテベスサビオラ控えも納得の出来。前線でのフィジカルと足裏を生かしたキープ力や、中盤に戻っての組み立てへの参加という点で、サビオラより優位に立っている。ボレーによるゴールも素晴らしい。コパのように(4バック時)テベスがトップ下起用だと、サビオラとの併用の可能性はあるんだけど、そうするとダレッサンドロは使えないしね。あくまで劣勢時のスーパーサブ扱いかな。
イタリアは相変わらずピルロジラルディーノ頼みの攻撃。チームとしての実力差は明らか。そのピルロマスチェラーノに押さえられ、ジラルディーノも百戦錬磨のDF相手にいつもにキレがない。
前半のイタリアは前線が孤立。サイドからの押し上げが欲しい所だけど、SBもSHも押し込められて思うように攻撃参加できず。サイドで徹底的に数的有利を作っていくアルゼンチン相手に、サイドで主導権を握れないのは仕方ないかな。サイド攻撃を得意とするポルトガル、オランダ、スペインのA代表であっても押し込まれると思う。下手に押し上げたらカウンターの餌食だし。前半はセットプレー以外で点が入る気がしない。

  • ここからは後半の感想。

後半はイタリアも人数をかけて攻め出す。アルゼンチンも綺麗に崩すことの拘ったり、無駄にボールを捏ねるなどの悪い癖が徐々に出てきた感じ。
と思ったら素晴らしいカウンターでアルゼンチンが突き放す。ボールを受けた最前線のテベスが、キープから前を向いてルーチョへスルーパス。受けたルーチョがゴール。ルーチョのスペースへの効果的なフリーランニング、正確なトラップからのシュートは素晴らしい。相手が戻りきル前に電光石火のカウンター。イタリアは苦しいな。
また実況の「サビオラの出番はないんですよ(不満げに)」が発動。それでもテベスが活躍するにつれて大分マシになってきたけどね。井原さんもうまくフォローしてくれたし。実況はアルゼンチン代表を始めて見るのか、グループリーグでのサビオラ待望口調は酷かった。自分もサビオラは好きだし観たいけど、このシステム・戦術が機能しているんだから仕方がない。純粋なFWの2トップにすると機能しないのは南米予選なんかで証明されているわけだしね。ファンの人が言うのは分かるんだけど、中立な立場の実況アナには控えて欲しい。
3点目。勝負ありですかね。チームの完成度が違いすぎた。またテベスが絡んだのか。凄い。

  • 試合終了。

イタリアライン下げすぎ、中盤のスペースありすぎ、中盤で選手をフリーにしすぎ。アルゼンチンの中盤はコンパクトで、中盤でのチェックも厳しく、攻守の切り替えが早すぎた。司令塔のピルロが押さえられ、イタリアは自由に攻撃をさせてもらえい。プレッシャーの激しいトップ下付近だとは厳しい。やっぱ低い位置からタクトを振るっていた方が似合うな。
アルゼンチンは強すぎ。これだけ個人技・判断力にすぐれた選手に、成熟した組織に基づいて戦われ、攻守に献身的に走られたら、普通のチームでは勝ち目はないですよ。

そしてもうひとつ、よく見てもらいたいのは、あれだけ才能のある選手たちなのに、どれだけ走っていたか。ラウールもベッカムもロべルト・カルロスもしっかり走っていました。そこを見てほしいんです。日本の才能ある選手は、逆にあまり走らない。才能のない選手が走っています。あの選手たちは才能がありながら、最大の努力をしています。そこを一番見るべきだと思います。彼らは自分たちが何をすべきか知っているからだと思います。そして、あれだけのテクニックを持った選手がシンプルにプレーしているんです。
http://www.jsgoal.jp/club/2004-08/00010534.html

これはレアル・マドリーの選手に対するオシム監督のコメントですけど、アルゼンチンにも同じような事が言えますね。そして下手なクラブチーム以上に組織的成熟度が素晴らしい。まあ、テベスダレッサンドロには遊び癖(足裏でのコネ癖)が出ますが。それもまた愛嬌。良いアクセントにもなってるし。

このチームに勝つとしたら、圧倒的な個の一撃。コパのアドリアーノのような。ジラルディーノアドリアーノにはなれませんでしたね。そしてアルゼンチンの破壊的な圧力に押されず、3バック1ボランチの弱点をうまく狙える強豪チーム。DFラインやサイドが押し込まれる前に、こちらも攻めて押し返す。まあ、アルゼンチンと真っ向勝負できるチームなんてそういないと思いますが。
後は徹底的に守ってカウンター。それを完遂するのは至難の業だけれど、アルゼンチンはそういう相手に結構取りこぼしている。決勝にはパラグアイが来てくれるとおもしろいかも。イラクにも頑張って欲しいですけどね。

*1:お前、何様だよって感じですな、すみません