アジアカップ制覇

アジアカップ連覇、アジア・アフリカ・チャンピオンシップ(vsチュニジア)とコンフェデレーションズカップへの出場権獲得おめでとうございます。憎たらしい中国サポのブーイングの中、その中国相手に快勝しての優勝という結果は喜ばしい。怪我やオリンピックの影響による主力不在、仕組まれたかのような過密日程、ろくな暑熱対策のない中での高温多湿の環境、国家斉唱中もブーイングの鳴る完全アウェーの重圧、審判の不可解な裁定、稚拙なチームマネジメントによる足枷がありながら、アジアカップ優勝という結果を残したのは素晴らしいと思います。
日本選手のレベルは本当に上がったと実感。ギリシャ組織力でEUROを制し、ブラジルは個の力でコパ・アメリカを制した(どちらもそれだけではないけど)。アジアカップを勝ち取った日本は後者でしょうね。日本が強みにしてきた組織力でのアドバンテージというものはあまり感じられず、選手個々の力で対戦チームを上回って勝ち取った栄冠。特にセットプレーを得点に結びつける効率の良さ、接戦を物にする勝負強さはずば抜けていた。ろくな組織・戦術もない中、アジアカップを優勝してしまったというのが、日本選手の実力向上の証左でしょう。
ここであえて苦言も。
優勝という結果は残した日本代表だけど、チームとして完成したとは全く思わない。このアジアトップクラスの個人能力に、チームとして確固たる組織力が根付けばもっと強くなるんじゃないかと。現時点での組織力はアジアレベルでも誇れるものではなかった。守備一つをとってもそう思える。
日本のGKとDFの能力の高さは大会屈指だった。川口はスーパーセーブの連続で鬼神の如き活躍ぶり。でもスーパーセーブが多いということは、それだけピンチが多かったといこと。DF組織は何度も崩されていた。一対一で負けることが皆無に近かった中澤や、抜群のカバーを見せた宮本を中心にしたDF陣がいるのに、あそこまで失点が多くピンチもあったのは、チーム全体の守備が組織として未成熟だから。ラインを下げてがっちり守りを固めているといえば聞こえは良いけど、両サイドの守備に不安がありすぎるし、中盤でプレスの決め事さえもなくプレッシングが機能していないのだから引いて守るしかない。DFラインが下がりすぎてるから、中盤が間延びして余計プレスが掛からない。高い位置でボールが奪えないから攻撃の手数も限られてしまう。
暑熱対策を含めたコンディショニングや、過密日程を考慮したチームマネジメントもしっかりやる必要がある(これは散々書いてきたので省略)。そういった意味で、アジアを制したとはいえ課題は山積み。アジアカップで改めて露になったジーコジャパンの欠点というのは沢山あった。アジアレベル(というか今大会)で通用しても、個でアドバンテージのない対世界で勝てるかどうかは疑問。数少ない攻め手であるセットプレーが通用しない相手にはどうするのかと。
監督が選手を生かす戦術というものを構築する気がなく、選手の話し合い中心にチーム作りを固めていくというジーコサッカーアジアカップというチームがまとまった期間一緒にいれて、選手の話し合う時間が取れる機会が増えたことによって、このチームとしての完成度は高まったと思う。でも中田英寿小野伸二、稲本、久保、坪井(高原、柳沢もか)といったこれまでの主力選手は不在。彼らが戻ってきたらジーコは問答無用でスタメンに置くだろうし、そうなったらチームをある程度作り直さなくてはならない。選手の力量の総和では向上したとしても、それがチームの強さに即結びつくとは限らず、まだまだ今後に楽観視は出来ないです。
でも結果的にこれまで控えだった選手が計算できるようになったことは確かで、選手層的には飛躍的にアップしたと思う(ジーコがそれを有効利用するのかは分からないけど)。主力選手が代表復帰してどんな変化が起こるかは注視して見届けたい。そして優勝万歳だけでなく、『なぜアジア相手にこのような劇的勝利の連続になったのか』を改めて考える必要があると思う。