準決勝2日目

延長前半ロスタイムのゴールで、なんとギリシャが決勝進出。これで決勝のカードはポルトガルvsギリシャ。2-1でポルトガルが敗れた波乱の開幕戦の再現に。

チェコギリシャの体を張った守備に最後まで苦しめられた。個人技と上品なパスを回しに終始して、まんまとギリシャに封じ込められてきたチームと違い、ボールを持っていない選手が積極的にスペースに飛び出したりポジションに拘らない流動的なチェコの攻めが、ギリシャの守備を崩す場面は存在した。しかし、最後の詰めが甘くてゴールを決められない。

ドルトムントコンビのワンツーで崩したシーンがチェコにとっての最大のチャンス。コラーがシュートミスしたため惜しくもゴールとはならなかったけど、演出したロシツキードルトムントで見せているような攻撃的なプレーをようやくお披露目。

今大会は攻守のバランスを取るプレーが目立ったロシツキーだけど、今日は前線が厳しいマンマークで抑えられてるんだから、このシーンのようにもっと積極的に前線のスペースへ飛び出していって欲しかった。ネドベドが負傷退場でそういったプレーをする選手がいなくなってしまったので、ここは彼がもっとやらなければならなかったはず。バーに阻まれた惜しいミドルもあったし、守備時にも献身的に頑張っていたけど、普段ドルトムントで見せているプレー見る限り、もっと出来たという思いが拭えない。ドリブルも上手いんだからさらに積極的に仕掛けて欲しかった。

チェコミドルシュートがもっと欲しかった。これもネドベド不在が響いた格好。ヤンクロフスキーなど強烈なミドルを持っている選手は、引いた相手を崩すために積極的にミドルを打つ必要があった。ミドルの得意なハインツェを投入すべきだったと思う。

これまで効果的だったバロシュポボルスキーの個人技は、ギリシャの上手い対応に抑えられてしまった。チェコだけでなく、ポルトガルもスペインもフランスの個人技も封じ込めたギリシャの選手の守備時の対応は見事。特にバロシュを抑えたセイタリディスの今大会のパフォーマンスは出色。攻撃的な快速SBという触れ込みだったけど、ここまで守備が上手いとは思わなかった。

ギリシャはチーム全体がよく組織されていて、体を張ったり走リ回るのを厭わない姿勢は凄い。その反面、攻撃を組み立てる選手が不在で、こぼれ球を拾ってキープする時間帯はあっても、自発的に相手を崩して決定機を創ることは苦手としている。

そういった役割を唯一担える司令塔のツァルタスはフィジカル的に恵まれていなく、守備的なギリシャの戦術に適応させづらいので、あくまで途中出場で流れを変える存在。今大会では慣れないスーパーサブといった役割を任され、出場すれば必ず仕事をしているのが凄い。デラスのゴールをアシストしたコーナーキックの切れ味は流石だった。まさに「魔法の左足」。点が欲しい場面でリスクを犯して彼を起用したレーハーゲルの選手起用がズバリ的中した。途中出場のジャナコプーロスも良いアクセントになっていたと思う。

逆にこれまで名采配を振るってきたチェコブルックナーは動けなかった。交代は怪我のネドベド一人。後半も悪いリズムではなかったし、チェコの方が決定機を多く演出していた。下手に動いてリズムを乱すよりは既存の選手の頑張りに期待した勝ったんだと思う。でも結果的にはその姿勢が仇となった感も。