スペイン代表

http://jp.euro2004.com/News/Kind=1/newsId=181046.html

  • GK

イケル・カシージャス (レアル・マドリー)
サンチャゴ・カニサレス (バレンシア)
ダニエル・アランスビア (アスレティック・ビルバオ)

  • DF

カルレス・プジョル (バルセロナ)
イバン・エルゲラ (レアル・マドリー)
カルロス・マルチェナ (バレンシア)
ミチェル・サルガド (レアル・マドリー)
ガブリ (バルセロナ)
ラウル・ブラボ (レアル・マドリー)
セサル (デポルティボラコルーニャ)
ファニート (ベティス)

  • MF

ファン・カルロス・バレロン (デポルティボラコルーニャ)
シャビ・アロンソ (レアル・ソシエダ)
ルーベン・バラハ (バレンシア)
ビセンテ (バレンシア)
ダビド・アルベルダ (バレンシア)
ホアキン (ベティス)
シャビ (バルセロナ)

  • FW

ラウル (レアル・マドリー)
アルベルト・ルケ (デポルティボラコルーニャ)
フェルナンド・トーレス (アトレティコ・マドリー)
フェルナンド・モリエンテス (モナコ、FRA)
ホセバ・エチェベリア (アスレティック・ビルバオ)

今冬アーセナルに移籍して無敗優勝に貢献したレジェスが落選。批判も多いだろうけど、左にビセンテとルケがいる選手層では仕方がない。
これまで代表の常連だった今シーズンリーガ18得点のラウール・タムードも落選。なんと純粋なFWはモリエンテストーレスの2人だけ(ラウルは少し特殊)。あくまで1トップにこだわり、2トップはやらないということですかね。
他の有力メンバーではグティルイス・ガルシアマヌエル・パブロも外れている。当落線上だったシャビ・エルナンデスバルサ好調が評価されての選出ですかね。マドリーが不調だったグティはその逆か。本職のいない左SBに不安が。
攻撃的なサイドMFとセンターMFの選手層は世界一といっても過言ではない。若手・中堅の著しい成長で近年のスペイン史上最強のメンバー構成。日韓大会以後最も力をつけたチームの一つ。しかし、優勝候補と言われながらも期待を裏切ってきただけに完全な信用も出来ない。DFの全体の層と、突破型ばかりを揃えたサイドの一本調子さが目立つ点は不安。

       モリエンテス(ラウル)

        
 ビセンテ  ラウール(バレロン) エチェベリア
        

       バラハ  アルベルダ


  プジョル              サルガド
        エルゲラ マルチェナ


          カシージャス

スタメンは不透明だけど恐らくこんな構成になると思う。システムは4-2-3-1で、前線がラウル+FWだとしても2トップの形にはならない。前線の縦の構成はバレロン+ラウルか、ラウル+モリエンテスになると思う。
ラウールはロナウド加入により得点機が減少、自身の調子も現在いまいちだけど、やはりスタメンから外せない。今シーズンのマドリーでは普通のセカンドトップより遥かに低い位置でパス回しに参加し、中盤の底まで戻ってプレスをかけ、前線に飛び込んでゴールを狙い、ロナウドが動きやすいスペースまで作るという世界で彼しか出来ない仕事をこなしていた。代表不動の中心選手。
ただこれまでのスペイン代表と違うのは彼が絶対の存在ではないということ。たとえ彼に何かあっても、バレロンがトップ下に入ってモリエンテスがFWという構成で何の問題もない。むしろ今現在の調子で考えればそれがベストとも思える。

ラウルのパートナー第一候補であるモリエンテスASモナコ移籍で更なる高みへ。決定力の高さや驚異的なヘッドの強さは相変わらず、その上2列目に戻っての攻撃の組み立てや飛び出しなどプレーの幅が広がった。何より、出場機械を求めるために自分の意思でレンタル移籍を志願し、異国の地で結果を残したというメンタリティーが一番成長したと思う。CLでのMVP級の活躍は記憶に新しい。一年ぶりに組むラウールとの名コンビがどれだけ凄いことになるのか楽しみ。

トップ下を務めるバレロン知名度こそ低いが、有名選手に勝るとも劣らない素晴らしい選手。高い位置でもスペースをそれほど必要とせず、抜群のキープ力でタメを作り攻撃を組み立てる世界屈指の司令塔。得点力があるわけでもなく、フィジカルやフリーランニングにも特別優れるわけではない彼が、なぜ現代サッカーで最も厳しいプレスに晒されるトップ下というポジションを務めながら、リーガ・エスパニョーラのCL常連チームで生き残ってこれたのか。
まず自身が次のプレーに移行しやすく、そして相手からは届かない位置にボールを置くファーストタッチが絶妙で、体と手の使い方のうまさと相成って簡単にボールを取られない。しかもファーストタッチだけで相手を交わして次のプレーに移れる。
その前提があるからこそ、味方の上がるための時間を作れて、相手の急所を抉る正確無比なパスが生きてくる。視野の広さや判断力も素晴らしく、ケアレスミスは非常に少ない。サイドに攻撃的なウイングをそろえるスペイン代表にとっては、サイドを活かすという意味でこれ以上ないトップ下の選手。天才肌らしく調子にムラがあるところと、得点力に欠けることが弱点か。闘争心にも欠ける反面、天才肌の選手にありがちなエゴイズムとはまったく無縁。

これに10代では世界最高峰のCFであろうF・トーレスが控えている。年齢からすれば・・・というエクスキューズをつける必要のない、決定力と機動力に優れたストライカー。先に行われたロベルト・バッジョ引退試合でも見事なゴールを決めた。スーパーゴ−ルは決めるけど、簡単なシュートを外したりもする。

このように多種多様の人材を高いレベルで揃える前線に、これといった欠点は見当たらない。


中盤のサイドウインガーの充実度は世界最高レベル。強いて言えば、突破力に優れた人材ばかりで、サイドで起点をつくったり、一発のクロスだけで勝負を決められる選手*1がいない事が不安材料。攻守のバランス感覚に優れた労働者タイプもいない*2

左サイドはビセンテとルケ。
バレンシアの2冠に貢献したビセンテは切れ味鋭いドリブル突破で左サイドから相手DFを切り裂いていく。今シーズンはリーグで11得点を上げている様に得点力も向上し、若い選手にありがちな波も少なくなった。
ルケは抜群の身体能力を活かして左サイドを弾丸のようにぶち抜いていくウインガー。持ち味を発揮するのはボールを持った時だけでなくスペースにも走りこめる。前方にスペースがないと機能しづらいのは弱点。本来FWだけあってゴールへの意識と決定力は非常に高いものがあり、左足から繰り出される弾丸シュートはチーム1。日韓大会で何も出来なかった時とは見違えるよう。個人的には、バレロンがトップ下を務める時はルケ、それ以外ならビセンテ先発がいいと思う。

右サイドはホアキンホセバ・エチェベリア
日韓WCで一躍世界に名を売ったホアキンは抜群のスピードと深い切り返しを活かして、相手DFを独力で交わしていける。ビッグクラブ移籍の噂も数多く、特にレアル・マドリーフィーゴの後継者として彼を狙っている。ただ調子に波がありすぎて、消えている時間帯も多い。
その彼から右サイドのレギュラーを奪ったのがバスクの英雄エチェベリアビルバオUEFAカップ出場権獲得の立役者であり、突破力と得点力を高いレベルで兼ね備えている。ホアキンより安定して力を出せるのも強み。ビルバオではトップ下もやり、複数ポジションできる戦術眼を兼ね備えている。

中盤の底を務める人材も高レベルで多種多様。レギュラーはバレンシアを2冠に導いたアルベルダとバラハ。バレンシアで見せる阿吽の呼吸を代表でも発揮したい。
不動の存在はアルベルダ。代表のピボーテの中で最も守備力に優れていて、中盤のフィルター役を完璧にこなせる。走り回るのを全く厭わず、リーガの優れたトップ下をハードマークで封じ込めてきた。彼と組むことで攻撃的な持ち味を持っている他のピボーテがより生きてくる。
バラハは守備も得意だし、展開力にも優れ、攻撃にも持ち味を発揮する万能タイプ。後方からのミドルシュートとヘディングはチームの貴重な得点源。
シャビ・アロンソは戦術眼と展開力に優れた司令塔タイプ。ハイプレッシャーの中でも一発のロングパスでゲームの流れを変えられ、強烈なミドルシュートも大きな武器。守備も無難にこなし、特に相手の攻撃を食い止めるタックルがうまい。
シャビ・エルナンデスは他のピボーテと比べてより攻撃的な選手。2センターの中盤の一角を任せるには守備力の点で心許ないが、ゲームをコントロールする繋ぎのパス、ゴールに繋がるようなラストパスの能力は突出している。攻撃的オプションとしての起用が濃厚。

*1:全盛期のデポルのフランやソシエダデ・ペドロみたいなタイプ

*2:全盛期のメンディエタ