チェコ代表戦

<日本代表>
GK:1 楢崎正剛
DF:3 坪井慶介、22 田中誠、5 茶野隆行
MF:18 小野伸二(15 福西崇史)、6 稲本潤一(4 遠藤保仁)、14 三都主アレサンドロ(17 三浦淳宏 )、8 西紀寛(21 加地亮)、16 藤田俊哉(19本山雅志
FW:11 久保竜彦、20 玉田圭司(13 柳沢敦

試合後すぐ爆睡。久しぶりにフル代表の試合がおもしろかった。ジーコについて懐疑的なのは変わらないけど、今日の日本代表の選手は良かったと思う。
なんと前半、チェコは普段と違う3-5-2のシステム。右SBレギュラーのゲリゲラ不在もあるのか、EUROに向けての新たなオプションを試してきた。本来攻撃的MFのヤンクロフスキーのCB起用は流石に無茶だと思う。日本を舐めきっての調整モードのため、中盤での組織的なプレスは影を潜め、攻守の切り替えもEURO予選とは比べ物にならない位遅かった。日本ボールになった時のプレッシャーが激しくないので、日本の中盤からのパス出しがうまくいった。しかも慣れない3バックのため両サイドにスペースがあり、FWはサイドに流れればボールをフリーで受けられてた。
久保と玉田のFW陣は積極的にスペースに飛び出すことによって味方のパスを引き出し、攻撃を円滑に機能させた。久保は自ら積極的に仕掛け、体を張って前線での攻撃の起点にもなり、得点も決めるなど見事な出来。チェコが左利きを警戒していないたのもあるかもしれないが、右で撃つと相手に思わせたフェイントからシュートまでが凄くスムーズで、ニアをブチ抜いたシュートのスピードとコースは素晴らしい。玉田も持ち味のスピードを生かしてチェコのDFをかく乱した。
ボランチのコンビも見事に機能した。稲本が相手の攻撃の芽を摘み取って、小野が攻撃の起点になるという役割分担がよく出来ていた。稲本は相手へのチェックも鋭く、体を張って攻撃の中心のネドベドをよくマークしたと思う。移籍先を探すためのモチベーションの高さがいい方向に出たか。小野は気の利いた正確なショートパスで攻撃の組み立て役として機能。相手のプレッシャーが厳しくなかったのも功を奏し割と自由にやれていた。飛び出しとフリーランニングに優れた選手との相性も抜群。藤田は相手のマークが厳しく起点にはなれなかったけれど、効果的なフリーランニングを繰り返し味方にスペースを与えた。右サイドの西は守備に追われて目立てなかったが、左のアレックスはポボルスキーの上がりによるスペースをうまく利用できていた。持ちすぎでリズムを崩すところは相変らずだったが。中盤はスタミナ面が課題か。
3バックはマコを中心に最後まで体を張って守り続けた。1人がボールを持った選手にいったら、もう1人がうまくカバーし、マークの受け渡しもスムーズだった。マコは見事な世界デビュー。こうなることが遅すぎる位ジュビロでは素晴らしかった。危機察知能力の高さを生かしたカバーリングは絶妙で、中盤との距離が間延びしないようにラインコントロールもきっちりこなした。DFラインは2試合目とは思えないくらい安定していたが、高さとフィードの質に課題を残したか。
後半にはチェコも組織をしっかり修正してきて(開始直後は不安定だったが)、日本は相手の厳しいプレスのため自由にさせてもらえなかった。チェコが本来の4バックに戻してきたため、サイドの空いたスペースも少なくなったし、中盤のサイドの選手もサイドのカバーに追われず攻撃に比重を置けた。日本はスタミナ切れとともに押し込まれ続けて、最後はシュートの雨霰。放り込みをされたら高さで劣る分厳しい。しかし楢崎が神懸かったセーブを連発してゴールを割らせない。DFも最後まで体を張って守りきった。日本の選手全員が気持ちでチェコを上回った結果だと思う。



海外組みに移動疲れや時差がなく、国内組みも時差に慣れてきて、チーム全体のコンディションはアジア予選の時とは比べ物にならなかった。ジーコジャパンでの4バック経験が豊富な宮本と中沢の怪我により、3バックで戦うことになったのは怪我の功名。フリーランニングに欠け、ボールの持ちすぎでリズムを悪くする俊輔の離脱もいい結果に繋がったか(試合勘不足・コンディション不良の影響も大きいが)。もし俊輔がメンバー入りしていたらコンディションに関わらずジーコは使っただろう。選手のコンディションがよくて、3-5-2で適材適所に起用された選手個々が自分達の役割をこなせばこれ位できるんですね。
試合勘・コンディションの優劣を考慮しない海外組み偏中志向や、機能しない4-4-2(SBに本職を使わない)のシステムに固執するといった信念がジーコにはあったようだが、その信念を諸事情により断念した途端に良い結果が出てしまった。これで現時点での解任はなくなってしまったでしょう。これをきっかけにジーコ自身が成長してくれれば良いんだが、無理そう。