No.14感想

http://www.nikkansports.com/news2/soccer2/wcup_countdown/0102/wc-010329.html (ヨハン・クライフ

ファンタジスタ草場道輝
 最終回はスタッフロールが付いて、まるで映画のエンディングのような見せ方。選手達のその後の進路紹介と、これからも戦いは続いていくという、傑作とはいえないこの漫画を象徴するような無難な終わり方。ただ最後までこの漫画らしいいい所がいくつかあった。

 4対2に解説を付随するのが最後までこの漫画らしい。他の漫画では疎かにしがちなプレーに対する解説をいちいちしてくれる姿勢が評価できた。一番印象的なのは、退屈だったこの漫画が化けた4巻からの代表合宿編だろうか。ファンハ―レン監督の「パスに情報を込める」というのはサッカー経験者なら共感できるはず。おそらくクライフがモデルで、作者もクライフの自伝を参考にしたのだろう。時折出てくる現代サッカーの最新モードに関する解説も良かった。ファンタジスタを必要としない現代サッカーを解説する事によって、ファンタジスタ達の存在意義にまで踏み込んできた。

 登場人物のその後では、近藤はエスパニョールでピポーテの役割をしていた。近藤の描き方として、司令塔という役割を従来の漫画にありがちだったトップ下のテクニシャンという概念ではなく、現代サッカーの潮流通りに、中盤の底で起点になってボールを展開する役割としたのもよかった。これと似た意味を持つ最近流行の”レジスタ”という、当時サッカファンは知っていても一般には馴染みがなかったこの言葉を、マスコミに先駆けて使っていたのが熱狂的なサッカーファンのこの作者らしい。主人公のようなファンタジスタという人種とは対照的な、フィジカルの強さとシンプルなプレーを武器にする近藤の存在は、ファンタジスタ達を描くこの漫画のもう1つの象徴的存在だった。意固地な彼の成長もこの漫画の見所の一つ。

 ファンタジスタ達のスーパープレーだけではなく、しっかり”サッカー”を描いてくれた漫画として評価したいが、やはりファンタジスタ達のスーパープレーがこの漫画の肝だった。回りの時間が止まり、ボールだけが意思を持ったような描写は素晴らしかった。スーパープレーであっても、個人技だけに頼らずに、チーム全員でボールに意思を込めるというチームプレーとしてのスーパープレーを描いたのも評価したい。スパープレーの見せ方ではこの漫画がサッカー漫画の中で№1。

 いい所も多かったが、不満も多い。現実ではありえないプレー描写は漫画だからしょうがない。なにより構成が不満。ユースカップで一旦盛り上がりの頂点を迎えながら、レベルの落ちる高校サッカーに戻ったことで作品のテンションが落ちてしまった。ただ徹平と周りの能力差によるギクシャクさを描いたのは良かったし、決勝での盛り上がりも凄かった。特に丞南戦ラストのプレー描写は圧巻の一言。ここでまた盛り上がったのに、また舞台を変えてイタリア編へ。全国に行かないことで、山波以外のユースのメンバーをうまく消化できなかった。五代はもっと登場してもいいキャラだと思う。イタリア編もトトとファルコーニの確執等見所も多かったが、せっかくミランユースでの戦いが盛り上がっていたのに、トップチームとの入れ替え戦というありえない展開へ。その決着がついて、さあこれからトップチームでの厳しい戦いを描くかと思いきや、唐突にオリンピック編へ。舞台が二転三転してしまって、作品に見所が散漫になりすぎた。

 オリンピック編はあまりに唐突すぎて、ユース出身以外の魅力的な日本代表のメンバーや、世界各国のライバルを用意できずに、序盤は全く盛り上がらず。あそこまでクライフをモデルにしたオランダ人監督のサッカー観を出したなら、クライフ時代のバルサのような、システィマチックでスペクタクルなサッカーをするチームをライバルとして出して欲しかった。イタリア以外のライバルチームでも、クラッキに頼るブラジル等の個人技重視のチームしか出せなかったのは残念。

 数々の不満点もあるこの漫画。傑作とはとても言えないが、”サッカー”を描いてくれた数少ない漫画だった。まだ終わりを迎えるのは早かったと思う。次回作も頑張ってください。

 これで四大少年誌にサッカー漫画は全滅か。新しいサッカー漫画が早く始まってほしい。でも高橋陽一大島司は戻ってこなくてけっこう。君らのはサッカー漫画ではないからね。ギャグが描ける高橋陽一はまだ価値があるが。

 

結界師田辺イエロウ
 おもしろいなあ。戦略的なバトルもいいし、協力して敵を倒そうとするのもいい。安定。
かってに改蔵久米田康治
 中学生の妄想か。今でも似たようなこと考えてますが何か? でも漂流教室は嫌だ。あれは凄まじいぞ。発狂してしまう。