別冊文藝春秋 少しネタバレ

この雑誌は定期的に読んでいるんだけど、新連載の野沢尚の「龍時 03-04」がタイムリーな感じで興味深かったので紹介。天才サッカー選手のリュウジを主人公にしたサッカー小説。サッカーに興味がない人にとっておもしろいかは微妙だけど、サッカーファンならではの楽しみ方がある。既に「01-02」、「02-03」が出ている。
今回は既に日本が五輪出場を決定していて、アメリカ、カメルーンギリシャと同一グループ。物語は最終戦ギリシャ戦から始まる。
登場するサッカー選手はほぼ実名。そのためサッカーファンならどんなキャラか想像が容易なので、すぐに選手に感情移入できる。五輪代表のオーバーエージが曽ヶ端、田中誠、明神と妙にリアル。他にトゥーリオ、茂庭、阿部勇樹、根本、石川、鈴木啓太、大久保、高松、田中達也が出てくる。梶というオリジナルキャラが司令塔のため、山瀬と松井はいないことになっている。平山も登場していない。執筆時にあの大活躍は予想外だったようだ。トゥーリオは、作者があそこまで攻撃的な選手だとは知らなかったようで、地味なストッパーとして描かれている。この辺も深読みすると楽しい。主人公は右サイドのスーパーサブ
試合描写もよく書けていている。けっこう作者にもサッカーの知識があって理に適った事も書いている。合間に挟まれる戦術論では作者のサッカー観が伺える。しっかり取材もしているようだ。この辺は専門家のアドバイザーがいるのかな。
五輪監督のキャラクターもおもしろい。ドイツで学んだ規律重視の戦術。この辺の戦術描写もけっこう細かい。それと比較して暗にジーコ批判をしているのが面白い。ジーコの戦術も判りやすく簡潔に書かれている。サッカーファンなら読んでみる価値はあると思います。
あとドラッグはイカンよ。