「GANTZ」11巻 奥浩哉

 主人公の友人がGANTZの世界にいた過去を思い出し、GANTZの世界に人を大勢連れて行くために新宿で大虐殺をしまくる。ありとあらゆる銃火器で人を殺しまくる殺人描写が凄い。人がゴミのようだ。そしてこの新宿にバーチャもどきの不良、超能力者、主人公の恋人という今まで登場したキャラ達が結集する。
 これまで主人公の周辺以外は、読者のまったく知らないところで死んだキャラが、GANTZの世界でモンスター狩りをさせられるという構図だった。その構図を、主要キャラだった幼馴染などを全滅させることによって一旦リセット。これから主人公一人の闘いになると思いきや、10巻で唐突に新キャラ達を登場させる。恐らくこの新宿大量殺人で殺されて、GANTZの世界に連れて行かれることになるだろう。自然な形で共に闘う仲間達を登場させる展開がうまい。唐突だった新キャラの描写が、これ以降の展開に読者を感情移入させることで生きてくる。
 主要キャラをあっさり殺した予定調和ではない展開は、新キャラがいつ死ぬか判らない緊張感に繋がっている。この事件に巻き込まれた主人公の恋人も生き残れるかどうか判らないので、主人公の焦りと共に物語の緊迫感の向上に貢献している。
作者は予想しにくい展開を生み出すために先を決めて描いてないらしいが、この展開はよく考えたのではないだろうか。わかり易い伏線の消化だった。